上場制度

制度の沿革

会社法制定前の旧商法下では、株主に割り当てられた新株引受権の譲渡が認められており、会社は新株の発行に際して、株主に新株の引受権を与えることおよび当該引受権を譲渡できることを決議し、株主に新株引受権証書を交付することが可能でした。東京証券取引所(以下「東証」という)でも新株引受権証書の上場制度を整備し、一定の上場基準を満たす新株引受権証書について上場の申請があった場合には、当該新株引受権証書を上場するものとしていました。

2006年に施行された会社法の下で新株引受権制度が廃止されたことによって、新株引受権証書の上場制度も廃止されましたが、それを引き継ぐものとして新株予約権証券の上場制度を定めることとなりました。
当制度施行後、2014年9月までに東証では22件の新株予約権証券が上場され、これらの上場事例を踏まえ、2014年10月には新株予約権証券の上場制度の規則改正が行われました。

新規上場

新株予約権証券の上場基準としては、上場株券等を目的とするものであること、新株予約権無償割当てにより発行されたものであること、行使期間満了の日が割当てに係る基準日後2か月以内に到来するものであることなどが定められています。
また、2014年10月の規則改正をうけて、ノンコミットメント型(注1)を実施する場合には、一定の業績基準を充足することや増資の合理性を評価するための一定の手続を行うことが定められています(以下の図表参照)。

上場基準
  • 上場株券等を目的とするものであること。
  • 新株予約権無償割当てにより発行されるものであること。
  • 行使期間満了の日が割当てに係る基準日後2か月以内に到来するものであること。
  • 上場後の分布状況等が著しく悪いと認められないこと。
  • 新株予約権証券の数が2,000単位以上であること。
  • 新株予約権が指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は上場の時までに取扱いの対象となる見込みのあること。
  • 公益又は投資者保護の観点から、その上場が適当でないと認められるものでないこと。

  • (以下は、ノンコミットメント型の場合のみ)
  • a又はbのいずれかの手続が実施されていること
    1. 取引参加者による増資の合理性に係る審査 (注2)
    2. 株主総会決議などによる株主の意思確認
  • a及びbのいずれにも該当していないこと
    1. 最近2年間において利益の額が正である事業年度がないこと
    2. 上場申請日の直前事業年度又は直前四半期会計期間の末日において債務超過であること
  • ノンコミットメント型とは、新株予約権無償割当てに際して、取引参加者等の引受人が未行使分の新株予約権の取得などを約束する契約を締結しない類型を言います。
  • aの手続きによりノンコミットメント型の新株予約権証券を発行する場合は、上場会社による事前相談予定日の1週間前までに、審査を実施する取引参加者から日本取引所自主規制法人上場審査部にご相談ください。

上場期間

新株予約権証券の上場期間は、新株予約権無償割当ての効力発生日の以降の日から、新株予約権の行使期間満了の前の日であって東証が定める日までとしています。このうち上場廃止日については、原則として、新株予約権の行使期間満了日の3営業日前を見込んでいます。

また、新株予約権に取得条項(一定の日に新株予約権の全部を取得する条項)が付されている場合には、取得日の前日までに全ての取引の決済を完了するように最終売買日を定め、その翌日を上場廃止日とするほか、行使期間の満了以前に、新株予約権の全てが行使された場合等においても上場期間を短縮する場合があります。

上場管理

新株予約権者は、その権利行使のときに株主になります。このため、上場期間中に新株予約権の残存数が急減することも想定されることから、東証では新株予約権の行使の動向を把握・管理することとしています。

具体的には、新株予約権の残存個数が1,000売買単位未満や1売買単位未満となった場合、発行会社は直ちに東証に報告を行うこととしています。

上場廃止時期
  • 新株予約権証券の上場廃止日は、原則として、新株予約権の行使期間満了日の3営業日前。
  • 新株予約権に取得条項が付されている場合、新株予約権のすべてが行使された場合等は、上場期間が短縮する場合がある。