信用取引の権利処理

制度信用取引を行っている銘柄について新株予約権又は売買単位の整数倍以外の新株式が割り当てられることとなる株式分割等が行われた場合には、証券金融会社において行われる権利入札により決定される権利処理価格で約定値段を調整することにより、権利の処理が行われます。

では、権利入札の仕組みについて具体例に基づいて説明します。

<条件>
例えば、証券金融会社におけるA銘柄の権利付き売買最終日申込み現在の貸借取引残高が、貸株残高 20,000株、融資残高50,000株あり、分割比率が1:1.5の株式分割が行われると仮定します。この場合、証券金融会社において処理される株式数は、証券金融会社名義となる融資超過分の30,000株に対して割り当てられる15,000株となります。

権利入札について1
  • まず、権利入札に先立って、5,000株分について新株引受けの申込みがありました。

    証券金融会社は権利入札に先立って、まず、A銘柄の権利付最終日までに、A銘柄の融資先証券会社から、それぞれの融資残高株数の範囲内で引き受けの申込みを受け付けます。この引受けは、証券会社だけでなく、制度信用取引で買付けを行っている顧客も取引先証券会社を通じて買付株数の範囲内で申込み可能です。この申込み株数が証券金融会社への新株割当数を超過した場合は、各証券会社の申込株数に応じて按分割当を行います。
  • この結果、残りの10,000株が入札にかけられることになり、取引所における権利落日に証券金融会社において権利入札が行われます。
 
権利入札について2
  • 権利落日の入札に付される10,000株について、顧客(当該銘柄について信用取引を行っていない方も可能です。)は証券会社を通して証券金融会社に入札を申し込みます。この際、入札価格(一般的には権利落日前場の終値を基準として、その値段からディスカウントした価格で申し込まれます。)と入札株数を指定することが必要です。
  • 入札価格の高い順に入札株数の範囲内で落札が決まります。
  • 落札合計代金/落札株数=落札平均単価 落札平均単価×分割比率=権利処理価格
    この権利処理価格に基づいて調整がなされます。
  • 上の例は、証券金融会社において融資残高が貸株残高を上回っている場合に行われる「売入札」の場合です。証券金融会社において貸株残高が融資残高を上回っている場合には、証券金融会社が新株式等を入札で買い取る「買入札」が行われることになります。