よくあるご質問(株式・上場会社)

上場会社

Q1. 決算情報に関する開示資料(決算短信など)は、どこに掲載していますか。
A1. 当ウェブサイトから、以下の2つのサイトにアクセスすることにより、決算情報に関する開示資料をご覧いただけます。
・適時開示情報閲覧サービス
・東証上場会社情報サービス

1. 適時開示情報閲覧サービス
以下のページから、会社情報が開示と同時に閲覧いただけます。
適時開示情報

※主なサービス内容
・証券取引所(東証、名証、福証、札証)の上場会社及び日本証券業協会が指定するグリーンシート銘柄(フェニックス銘柄含む)がTDnetで開示した、投資判断上重要な会社情報を掲載します。
・会社情報の開示と同時に閲覧が可能となります。
・開示日を含めて31日分(土・日 祝日含む)の情報を掲載します。

2. 東証上場会社情報サービス
以下のページから、過去5年間分の東証上場会社の決算情報に関する開示資料(決算短信・中間決算短信、四半期財務・業績の概況)をご覧いただけます。
東証上場会社情報サービス

※閲覧情報について
・会社ごとにまとめて閲覧できます。
・毎営業日の夜間の定時点(午前1時半頃)に更新されます。
・利用方法については以下をご参照ください。
東証上場会社情報サービス利用案内

なお、TDnetデータベースサービス(有料)に申し込まれますと全国証券取引所上場会社(外国株含む)と店頭上場会社の情報をご覧いただくことができます。詳細は以下のページをご覧ください。
適時開示情報(TDnet)
Q2. 有価証券報告書はどこで閲覧できますか。
A2. 有価証券報告書は、東証アローズ内にあるインフォメーションテラスのEDINET専用端末で閲覧することができます。
インフォメーションテラス

また、自宅等のPCでもご覧になれます。詳しくは、以下のサイトををご参照ください。
EDINET(金融庁)
Q3. 各企業の決算発表日を知りたい。
A3. 「翌営業日の決算等の発表予定会社」と「決算等の発表会社予定日一覧」は、以下のページに掲載しておりますので、ご参照ください。
決算発表予定日
Q4. 個別銘柄の株価を調べ方を知りたい。
A4. 株価検索サイトをどうぞご利用ください。
トップページ上部「銘柄検索」にて、社名またはコードを入力して検索できます。

所属部や業種ごとの条件検索機能もあり、業種ごとに株主資本利益率などを比較することも可能です。
また、「マイ・ポートフォリオ(資産運用表)」機能もあり、銘柄を登録することで、値動きや評価損益を一覧することができます。
■株価検索サイト内容:
・株価情報・チャート:
現在値、四本値、売買高、売買代金等 (20分遅れ)
・決算情報:
一株当り当期利益、一株当り株主資本、期末配当金、 発行済株式数
・投資指標情報:
株主資本利益率(ROE)、株価収益率(倍)(PER)、株価純資産倍率(倍)(PBR)
株価検索サイトの使用方法について
Q5. 税金の申告に必要な過去の株価(終値)を知りたい。
A5. お問い合わせ方法としては、自ら調べる方法と、取引所側に依頼する方法があります。

1. 自ら調べる方法
・過去1年以内の株価は、「東京証券取引所日報」をご利用ください。
    東京証券取引所日報

・過去2年以上前の株価は、「過去の株価情報」をご利用ください。
    株価情報(過去分)
    該当する年月の東京証券取引所日報が格納されたZIPファイル等をダウンロードのうえ、対象銘柄の株価情報をお調べください。
    なお、掲載しているのは、東京証券取引所の分だけで、他の取引所の分は掲載しておりませんので、ご留意ください。

・過去10年分の「終値平均」 は、「月間相場表」をご利用ください。
    月間相場表

2. 取引所側に依頼する方法
・お問合せは「郵便」または「E-mail」のみで、電話やFAXではお受けしておりません。

(1) お問合せの際の注意事項
・取得日が不明な場合は、株主名簿管理人の「信託銀行」に「株式異動証明書」を発行していただき、その後当社へ株価をお問い合わせください。
・無償増資(株式分割)や株式配当は、購入ではないのでお調べしません。
・有償増資の払込み金額等は発行会社様に直接お問合せください。
・個人情報は保持しておりませんので、株主名や株価からの検索はできません。また、実際の購入価格もお調べできません。
・「株式異動証明書」をお送りいただく場合は、コピーをお送りください。(返却はしません)

(2) 必要事項
I. お調べになりたい銘柄名(銘柄コード)、お調べになりたい年月日
  ※銘柄名は、当時の銘柄名(会社名)をご記入ください。
  ※税金の申告に必要な株価をお調べしますので、必ず「年月日」をご指定ください。
    不明な場合はお調べできません。また、連続した日にちではお調べいたしません。
  ※1回のお問合せの上限は20件です。銘柄が複数ある場合でも、合計で20件までが一区切りとなります。
     20件超える件数の場合は、20件ごとに分けて複数回お申込みください。

II. 連絡先氏名、電話番号【必須】(銘柄等の確認をさせていただく場合があります。)
  ※回答書には宛名は記載されませんので、ご了承ください。
 
(3) E-mail の場合
・以下のアドレス宛にお送りください。送信いただいたアドレス宛にPDFファイル(回答書)を添付して返信いたします。
  ※受信確認のメールは送付しておりません。
  ※返信メールが「受信拒否」、または「迷惑メール」として処理される可能性がありますので、
    必ず上記のアドレスが「受信」できるように設定していただきますよう、お願い致します。

    databank-geppou@jpx.co.jp

(4) 郵便の場合
・以下の宛先に、返信用封筒(住所、氏名を記載し、所定の料金の切手を貼る)を同封してお送りください。
  ※返信用の封筒は20日分ごとに1通ずつ必要です。

〒103-8220
東京都中央区日本橋兜町2-1 東京証券取引所 株式部データサービス室 株価担当

(5) お問合せ
・ご不明な点は下記までお電話でお問合せください。
  東京証券取引所 株式部データサービス室
  050-3377-7774(9:00~17:00)

新規上場・市場区分の変更

Q1. 新規上場会社や市場区分変更会社はいつ発表されますか。
A1. 新規上場会社及び市場区変更会社は、承認の都度発表を行っており、承認日の午後3時30分頃を目途に、当ウェブサイトにも掲載しております。
新規上場銘柄
市場区分の変更銘柄一覧
Q2. プライム市場、スタンダード市場、グロース市場のそれぞれの上場審査基準について知りたい。
A2. 各市場の上場審査基準の概要については、以下のページをご覧ください。
上場審査基準概要(プライム市場)
上場審査基準概要(スタンダード市場)
上場審査基準概要(グロース市場)

また、各市場の上場審査基準等の詳細を記載した「新規上場ガイドブック(新市場区分)」も掲載しておりますので、併せてご覧ください。
新規上場ガイドブック(プライム市場)
新規上場ガイドブック(スタンダード市場)
新規上場ガイドブック(グロース市場)
Q3. 新市場区分の概要について知りたい。
A3. 新市場区分の概要については、以下のページをご覧ください。
市場区分見直しの概要

信用取引

Q1. 信用取引は何のためにあるのですか。
A1. 株式市場の役割は、新たに株券を買いたい人や現在持っている株券を売りたい人に売買の場を提供することですが、この役割を十分に発揮するためには、いつでも売買が可能な高い流動性と円滑・公正な価格形成が求められます。

そこで、実際に株券を買うための資金を持っている投資者や売るための株券を持っている投資者による需給(実需給)に加えて、手持ち資金や手持ち株券がないが、買ってみたい、売ってみたいという投資者による需給(仮需給)も信用取引という手段を通じて取り込むことによって、市場に参加する需給の量の拡大と価格形成に反映する投資判断の多様化が進み、流動性の向上とより円滑・公正な価格形成が実現できると考えられています。
Q2. 投資者にとっての信用取引の利用法やメリットはどういったものですか。
A2. ■主な利用法
1.割安と判断した株券の買付け:現在の株価は割安で今後株価が上昇するだろうと判断しているが、手元に買付資金がない場合に、信用取引を利用して買付けを行う。
2.割高と判断した株券の売付け:現在の株価は割高で今後株価は下落するだろうと判断しているが、手元に株券がない場合に、信用取引を利用して売付けを行う。
3.ヘッジ売り:現在保有している株式について、今後短期的に株価は下落するだろうと判断しているものの、長期保有を目的としている等、何らかの理由で当該株式を売却せず、引き続き保有し続けたいという場合に、信用取引の売付を行うことで保有株式の損失をカバーすることが可能。
■メリット
1.タイミングを逃さず投資:手元に資金がないが今買っておきたい、逆に株券は持っていないが今売っておきたいというときなどに利用することにより、投資のタイミングを逃さず株式の売買に参加することが可能となります。
2.投資資金の節約:約定金額の30%以上の額に相当する「委託保証金」と呼ばれる担保を証券会社に差し入れることにより、買付資金や売付株券の全てを用意することなく株券の売買ができるので、資金の節約が可能となります(実際には委託保証金のほか、付帯する諸費用の支払いが必要となります)。また保有している有価証券を、委託保証金の代用とすることができるので、保有有価証券の有効活用にもなります。
なお、レバレッジ型・ダブルインバース型ETF及びETNの信用取引にかかる委託保証金は、約定金額の60%以上が必要です。
■デメリット
株価の値動きが売買をする際の投資判断とは異なった結果となった場合には、差し入れた委託保証金以上の損失を被る危険性があります。
Q3. 上場会社にとっての信用取引のメリットとは何ですか。
A3. 実際に株券を買うための資金を持っている投資者や売るための株券を持っている投資者による需給(実需給)に加えて、手持ち資金や手持ち株券がないが、買ってみたい、売ってみたいという投資者による需給(仮需給)も信用取引という手段を通じて取り込むことによって、上場銘柄の売買に参加する需給の量の拡大と価格形成に反映する投資判断の多様化が進み、流動性の向上とより円滑・公正な価格形成が実現できると考えられています。

また、こうした流動性の向上によって、さらに新たな投資者の参入が容易になり、株価変動率をより小さくする(価格形成をより安定的にする)効果があるといわれています。
Q4. 制度信用取引、一般信用取引とは何ですか。
A4. 信用取引の種類には2つあり、そのうち、品貸料(逆日歩)(問7参照)、返済期限及び株式分割などの権利が付与された際の権利処理方法が取引所の規則により規定される信用取引は「制度信用取引」といい、これは上場銘柄のうち、取引所が選定した銘柄(制度信用銘柄・貸借銘柄)に限り行うことができます。
一方、品貸料、返済期限及び権利処理方法について顧客と証券会社の間で決定することができる信用取引は「一般信用取引」といい、これは上場銘柄のうち、証券会社が取り扱うと決定した銘柄(上場廃止基準に該当した銘柄を除く)について行うことができます。一般信用取引においては制度信用取引と異なり、証券会社が証券金融会社(問6参照)から信用取引に必要な資金や株券を借りることはできません。
一般信用取引のうち、原則として返済期限を設けないものを「無期限信用取引」と呼んでいる証券会社もあります。
なお、一般信用取引については、取り扱っていない証券会社もあることから、事前の確認が必要です。
Q5. 信用取引はどの銘柄についてできますか。
A5. 制度信用取引においては、上場銘柄のうち、取引所が選定した「制度信用銘柄」及び「貸借銘柄」についてのみ、信用取引を行うことができます。
制度信用・貸借銘柄一覧
制度信用銘柄においては、証券会社が信用取引の買方の顧客に貸し付ける資金を、証券金融会社(問6参照)から借りることができます。
貸借銘柄においては、証券会社が信用取引の買方の顧客に貸し付ける資金と、売方に貸し付ける株券の両方を、証券金融会社から借りることができます。
こうした結果として、信用取引の売方に貸し付ける株券を独自で調達することができない(又はしない)証券会社においては、制度信用銘柄についての信用取引の売付けができないことになります。
なお、証券会社によっては、さらに自社のルールによって独自に制度信用取引の注文を受け付けない銘柄を定めている場合があり、事前の確認が必要です。
一方、一般信用取引については、上場銘柄(上場廃止基準に該当した銘柄を除く)のうち、証券会社が取り扱うと決定した銘柄について信用取引を行うことができます。
Q6. 「証券金融会社」とは何ですか。
A6. 信用取引は、顧客(投資者)が委託保証金を証券会社に担保として差し入れ、新規の買付けの場合は買付資金を、新規の売付けの場合には売付株券を、それぞれ証券会社から借りて売買を行う取引です(弁済する際には、反対売買又は現引き・現渡しの方法により、借りた資金又は株券を証券会社に返済することになります)。
証券会社が顧客の信用取引の新規の売買注文を受けるためには、信用取引の買方の顧客に貸し付ける資金や、売方に貸し付ける株券を調達する必要がありますが、各証券会社が独自にその全てを調達することは困難です。
この場合において、「証券会社に対し、信用取引(制度信用取引(問4参照))に必要な資金や株券を貸し付ける」という役割を果たしているのが証券金融会社となります。証券会社の多くは信用取引に必要な資金・株券を、証券金融会社から借りています。(証券金融会社がこのように資金・株券を貸し付けることを貸借取引といいます。)
証券金融会社は、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の免許を必要とする会社です。現在は日本証券金融(株)の1社のみがあり、東証では同社を指定証券金融会社として指定しています。

日本証券金融(株)
Q7. 品貸料(逆日歩)とは何ですか。
A7. 証券会社の多くは制度信用取引に必要な資金・株券を証券金融会社から借りていますが(問6参照)、証券金融会社において、証券会社への貸付けが増加したために株券が不足した場合には、証券金融会社は証券会社、機関投資家、株主などに対して借り賃を支払い、株券の調達を行います。
この調達の際には、証券金融会社において行われる入札によって、証券金融会社に株券を貸す貸主と、証券金融会社が貸主に対して支払う借り賃が決定されます。
この借り賃は「品貸料」と呼ばれるもので、証券金融会社が証券会社に転嫁し、これを証券会社はさらに制度信用取引の売方の顧客に転嫁します。(「逆日歩」とも呼ばれています。)
信用取引の売りを行う場合には、こうしたコストが事前の予告なく発生する可能性があることについて注意する必要があります。

日本証券金融(株)貸借取引情報(品貸料率/融資・貸株残高 検索)
Q8. 信用取引の「売り」と、「空売り」は同じものですか。
A8. 信用取引の新規の「売り」は、投資者が証券会社から株券を借りた上で、その証券会社を通じて市場で売却するという行為です。
「空売り」とは、投資者が株券を借りた上で売却する行為全般を指し、この場合は、信用取引制度を利用して(上記のとおりの方法で)売却する方法を含みますが、それ以外にも、信用取引制度を利用せずに、例えば投資者が株券を株主から借りてきて売却するといった方法も含んでいます。
「空売り」は「信用取引の売り」を包含する、より大きな概念となります。
Q9. 信用取引に関しては、どのような規制・措置がありますか。
A9. 信用取引に関する規制・措置としては、主なものとして、取引所による「日々公表」及び「規制(委託保証金の引上げ)」と、証券金融会社による「貸株注意喚起(貸株利用等に関する注意喚起通知)」及び「貸株申込停止(貸借取引申込みの制限又は停止)」が挙げられます。
取引所による「日々公表」及び「規制」は、信用取引の過度の利用による市況の過熱を防止するという目的のために、原則として数値基準によるガイドラインに基づいて行われるものです。(問10参照)

信用取引に関する日々公表
信用取引に関する規制等
「日々公表銘柄」の指定等に関するガイドライン(口座設定約諾書等)
信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン(口座設定約諾書等)
一方、証券金融会社による「貸株注意喚起」及び「貸株申込停止」は、信用取引に必要な株券を証券会社に貸し付けている証券金融会社(問6参照)において、貸し付けるための株券が不足して調達が困難となるおそれがある場合、又は調達が困難となった場合に、それぞれ行われるものです。(問11参照)
日本証券金融(株)貸借取引情報(貸借銘柄情報(制限措置・選定関係))
取引所の行う規制と、証券金融会社の行う措置とは、実施する主体と目的が異なることにご注意ください。
Q10. 東証による規制・措置はどういったものですか。
A10. 信用取引に関する東証の主な規制・措置としては、「日々公表」及び「規制(委託保証金の引上げ)」があり、これらは信用取引の過度の利用による市況の過熱を防止するという目的のために行われています。
■日々公表
「日々公表」は、信用取引の過度の利用を未然に防止するために、通常は週に1回公表される個別の銘柄の信用取引残高を、信用取引の利用が活発である銘柄については毎日公表することで、投資者に注意を呼びかけるものです。
また、「日々公表銘柄」のうち、信用取引残高が継続的に増加している銘柄を「特別周知銘柄」として公表し、周知を図っています。
信用取引に関する日々公表
■規制
「規制(委託保証金の引上げ)」は、信用取引の利用が過度であると認められる銘柄について、通常、新たに行われる信用取引に係る委託保証金率の引上げ及び、一部の現金での徴収という措置を実施するものです。(この規制は、「増担保(ましたんぽ)規制」ともいわれています。)
信用取引に関する規制等
■ガイドライン
これらの日々公表及び規制の実施・解除は、「信用取引残高」、「株価(25日移動平均との乖離)」、「信用取引売買比率(売買高に占める信用新規売付比率及び買付比率)」などの数値基準によるガイドラインに基づいて行っています。.
「日々公表銘柄」の指定等に関するガイドライン(口座設定約諾書等)
信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン(口座設定約諾書等)
Q11. 増担保規制がかかったのですが、どうしてですか。また、いつどんな条件で解除されるのですか。
A11. 「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」の「Ⅰ.実施基準」「Ⅲ.解除基準」をご覧ください。
Q12. 貸借銘柄について証券会社から「信用取引で売ることができない」「信用取引の売付けが禁止になっている」と言われましたが、これはどういった規制によるものですか。
A12. 証券会社によっては「信用売りの停止」、「信用売りの禁止」、「売り禁」、又は「信用売りの規制」などと呼んでいるところもあるようです。
信用取引の新規の売付けにおいては、証券会社が売方の顧客に対して株券を貸し付けることになりますが、多くの場合には証券金融会社が必要な株券を証券会社に貸し付けています(問6参照)。
しかし、証券金融会社において、証券会社への貸付けが増加したために株券が不足し、調達が困難となった場合には、その銘柄について、証券会社に対し「株券が手元になく、これ以上貸すことができない」として貸株の申込みを受け付けない措置(「貸株申込停止」)を行うことがあります(問9参照)。
こうした措置がとられた場合、独自でその銘柄の株券を調達することができない(又はしない)証券会社では、信用取引の新規の売付けに必要な株券を顧客に対して貸し付けることができなくなるため、信用取引の新規の売注文を受けなくなります。
以上のとおり、貸借銘柄において「信用取引の売付けができない」という場合には、原則として、証券会社が信用取引の売方に貸し付ける株券がない、ということがその理由になっています。この状況を「規制」や「禁止」と呼ぶ投資者・証券会社もあるようですが、その実態としては何らかの機関(当局や取引所など)が投資者の信用取引の売付けを規制・禁止しているのではない、ということにご注意ください。

信用取引・貸借取引に関する規制

日本証券金融(株)貸借取引情報(貸借銘柄情報(制限措置・選定関係))
また、信用取引の買方の顧客による現引きについても、証券会社が顧客に渡すための株券を調達する必要が生じます。よって、証券金融会社が証券会社に対して株券を貸し付けることができなくなった場合には、上記と同じ理由により、証券会社が現引きの申込みを受け付けなくなることがあります。
Q13. 50単位を超える株式を信用取引で売ろうとしたところ、「値段によっては発注できないことがある」と言われたのですが、この規制はどういうものですか。
A13. 信用取引による新規の売付け(投資者が証券会社から株券を借りた上で、その証券会社を通じて市場で売ること)を含む空売り(投資者が株券の保有者から株券を借りた上で売る行為)を取引所などで行う際には、その売り付けることができる価格が規制される場合があります。(信用取引の売りと空売りの関係については問8参照)

この規制は、法令(金融商品取引法施行令第二十六条の四及び有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第十二条)によって定められており、前日終値等を基礎として算出される基準価格から10%以上低い価格での約定が発生した場合に、一定の期間(規制の適用開始時点から翌日の取引終了時点まで)以下の行為が禁止されることになります(なお、本価格規制が適用以前から、前日終値等を基礎として算出される基準価格から10%以上低い価格での発注は行えません。)。

•株価の上昇局面(直近値がその直前の異なる価格を上回っている場合)において、直近値未満での売付け
•株価の下落局面(直近値がその直前の異なる価格を下回っている場合)において、直近値以下での売付け

ただし、こうした規制の例外の一つとして、個人投資者等(注)が行う1回当り50単位以内の信用取引については、売る価格について規制がかからないことになっています。
なお、価格規制を回避する目的のために50単位を超える注文を分割して発注することは認められず、こうした発注については価格規制を回避するための不公正取引とみなされることがありますのでご注意ください。.
(注) 金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第十条で定められている適格機関投資家(これに類する外国法人を含む)に該当しない者を指します。
Q14. 信用取引残高とは何ですか。
A14. 投資者が信用取引の新規の買付けのために証券会社から資金を借りたり、信用取引の新規の売付けのために証券会社から株券を借りたりして、その借りた資金や株券を返済していない場合における資金や株券の量を信用取引残高といいます。 信用取引残高として表示されている資金及び株券については、売残高(貸し出されている株券)については市場での買戻し又は現渡し、買残高(貸し出されている資金)については市場での転売又は現引き、によって、いずれ返済されることとなります。
信用取引残高等
Q15. 東証の公表する残高(信用取引残高)と証券金融会社(日本証券金融(株))の公表する残高(融資・貸株残高)との間には、なぜ差異が生じるのでしょうか。
A15. 東証が公表する「信用取引残高」は、東証市場において行われた信用取引に係る全ての残高(未返済建玉)です。
一方、日本証券金融(株)が公表している「融資・貸株残高」は、証券会社が日本証券金融(株)から借りている資金・株券の残高のみを示しています。したがって、制度信用取引のうち証券会社が日本証券金融(株)から借りずに、独自に調達してきた資金・株券を顧客に貸し付けて行うものや、一般信用取引の部分が含まれていないため、両者の数値には差異が生じる(「信用取引残高」は常に「融資・貸株残高」と同じか又はより大きい)こととなります。(制度信用取引と一般信用取引の違いについては問4参照)
信用取引残高等
日本証券金融(株)貸借取引情報(品貸料率/融資・貸株残高 検索)
Q16. 外国株券等の信用取引を行う場合における口座の取扱いはどのようになりますか。
A16. 外国株券等の信用取引を行う場合には、信用取引口座設定約諾書の規定(第1条)に基づき、顧客と金融商品取引業者との間における、金銭、有価証券、委託保証金、その他授受する金銭は、全て信用取引口座で処理されることとなります。したがって、外国証券取引口座の開設の有無にかかわらず、信用取引口座において取引を行うこととなります。
ただし、信用取引による買付けに係る弁済を現引きにより行う場合には、当該買付株券が信用取引口座から外国証券取引口座に移管されることから、あらかじめ外国証券取引口座を開設しておくことが必要となります。外国証券取引口座における配当金の交付、新株予約権その他の権利の付与があった場合などの取扱いについては、下記のページをご参照ください。なお、既に外国証券取引口座を開設している場合であっても、外国株券等の信用取引を行う際は、前述のとおり、信用取引口座で処理されることとなりますので、ご留意ください。

外国株の株式事務及び決済制度
※外国証券取引口座を開設するためには、まず、取引先の金融商品取引業者に対して口座設定の申込書を提出し、「外国証券取引口座約款」の交付を受ける必要があります。この約款には、投資家と金融商品取引業者との間の外国証券取引に関する権利義務関係が定められています。
※外国株と内国株の売買の仕組みは基本的には同様ですが、外国株の売買には、現物取引、信用取引の売買手法にかかわらず、為替リスクやカントリーリスクといった外国株特有のリスクが考えられますので、こうした点を十分に理解したうえで、取引を行ってください。
Q17. 「「日々公表銘柄」の指定等に関するガイドライン」及び「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」は、直近ではいつ改正していますか。
A17. 本ガイドラインは、信用取引の過度の利用の未然防止及び抑止を目的として導入しており、これまでも市場環境の変化や信用取引利用状況にあわせた改正を実施しています。
当社では、本ガイドラインに規定した「信用取引残高」、「株価(25日移動平均との乖離)」、「信用取引売買比率(売買高に占める信用新規売付比率及び買付比率)」及び「売買回転率(売買高を上場株式数で除したもの)」等の数値基準に基づき、「日々公表」及び「規制(委託保証金の引上げ)」の実施・解除を行っています。
直近では、2021年3月に、売買回転率基準や解除基準の見直しをするなど、一層きめ細かく、適時に信用取引管理を行うために、「「日々公表銘柄」の指定等に関するガイドライン」及び「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」改正を実施しています。
また、2023年1月には、レバレッジ型・ダブルインバース型ETF及びETNを売買する場合、約定金額の60%以上の委託保証金が必要となる「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令」の改正を踏まえて、「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」の改正を実施しています。
Q18. 新株予約権の無償割当てが行われる場合、制度信用取引の権利処理の取扱いはどのようになりますか。
A18. 新株予約権の無償割当てが行われる場合には、原則、制度信用取引の権利処理を行いますが、新株予約権に譲渡制限が付されている(例えば、買収防衛策として新株予約権の割当てを行う場合などがその一例になります)等、権利処理対象としての条件を満たさない場合、権利処理を実施できないことがあります。権利処理が実施されず適切な価格調整が行われない場合、権利落日以降も制度信用取引を継続すると、不測の損失等が発生する可能性がありますので注意が必要です。
また、割当ての中止や、割り当てられた新株予約権の無償取得が行われる可能性があるような新株予約権の無償割当てにかかる権利入札においては、入札価格が著しく低くなるなど、約定価格の調整に大きな影響を及ぼす可能性があります。権利落日以降に、割り当てられた新株予約権の無償取得が行われても、権利処理を無効にすることや約定価額を再調整することはありませんので注意が必要です。
制度信用取引の権利処理

発行日決済取引

Q1. 発行日決済取引とは何ですか。
A1. 発行日決済取引とは、有償株主割当増資が行われる際に発行される新株式について、その新株式が発行される前の段階で行う売買をいいます(※)。権利落日から証券保管振替機構における新株式の新規記録日の2営業日前まで取引され、決済は売買の約定日に関わらず発行日決済取引の取引期間の最終日から起算して3営業日目の日に一括して行われます。そのため、取引期間の始めの方に売買が約定した人と、終わりの方に約定した人とでは、決済までの期間が異なることになります。

なお、同一銘柄について売付株数と買付株数が同数となっている部分は、損益金の授受による決済を行うことができます。

発行日決済取引の売買のルールは基本的に普通取引と同様ですが、委託保証金制度(Q8参照)が設けられているなど、普通取引とは大きく異なる点があります。また、発行日決済取引を行う前に、取引期間中における証券会社との権利義務関係を定めた「発行日決済取引の委託についての約諾書」(Q7参照)を差し入れる必要があります。
Q2. なぜ発行日決済取引が行われるのですか。
A2. 上場会社が有償株主割当増資を行い、新株式を発行する場合、その新株式が効力を発生するまでの間、割当てを受ける株主は価格変動リスクを負うことになります。そのリスクを回避するために、取引機会を提供することが発行日決済取引の目的です。
Q3. 具体的にどういうときに発行日決済取引は行われるのですか。
A3. 有償株主割当増資によって発行される新株式を、発行日決済取引によって東証に上場するには、発行会社が東証に上場申請を行い、東証が一定の基準に照らして承認をすることで行われます。
なお、発行日決済取引が行われる対象有価証券は、内国株券及び優先出資証券等です。

<発行日決済取引による上場の取扱い基準の概要>
(a)金融商品取引法第4条第1項の規定による届出等の効力が発生していること。
(b)株式数が4,000単位以上であること。
(c)上場後の分布状況等が著しく悪いと認められないこと。
Q4. 有償株式割当増資が行われると、必ず発行日決済取引が行われるのですか。
A4. 発行日決済取引は、上場会社の申請に基づく当取引所の審査及び承認を経て行われますので(Q3参照)、上場会社の申請がない場合や一定の基準を満たさない場合は行われません。そのため、有償株主割当増資が行われても、必ずしも発行日決済取引が行われるとは限りません。
Q5. 発行日決済取引の日程について知りたい。
A5. 発行日決済取引の期間は、通常、新株式の割当に係る権利落日から新株式の新規記録日の2営業日前までとなります。また、その決済は、売買最終日から起算して3営業日目の日に一括して行われます。

発行日決済取引の日程の概要は次のとおりです。
・売買開始日 権利落日(ただし、東証が必要と認める場合には、権利落ち日以降の日とする場合があります)
・売買最終日 証券保管振替機構において新株式が新規記録される日の2営業日前
・決済日 売買最終日+2営業日
Q6. 発行日決済取引の売買のしくみについて知りたい。
A6. 発行日決済取引であるということを注文の際に指示する必要がありますが、指値注文や成行注文で発注し、板寄せ方式とザラバ方式に基づいて個別競争売買で行うことは、普通取引と全く同じです(売買単位や呼値の単位についても普通取引と同様です。ただし、呼値の制限値幅は、旧株券のその日の制限値幅と同一になります。)。ただし、発行日決済取引を取り扱っていない証券会社もありますので、あらかじめ確認しておく必要があります。
なお、新株の銘柄コードは旧株の4桁のコードの末尾に1を付した5桁の数字になります(例:ソニー新 67581)。
普通取引と大きく異なる点は、取引期間が限られていて、かつ決済までの期間が長く、当該期間中に同一銘柄について、売付株数と買付株数が同数となっている部分は、損益金の授受による決済を行うことができるという点です(発行日決済取引は、新株の割当てを受けていなくても売付けを行うことができます。ただし、この場合、決済日までには買付けを行うなどして決済に支障がないようにする必要があります。)。
決済の履行の確保と過当投機の抑制を図るため、発行日決済取引を行う場合には、所定の委託保証金(約定価額の30%以上)を売買成立の日から起算して3日目の日までの証券会社が指定する日時までに証券会社に預託しなければならないことが決められています(Q8参照)。取引期間中は、証券会社との権利義務関係を明確にしておく必要がありますが、取引を始める前に、証券会社との権利義務関係を定めた「発行日決済取引の委託についての約諾書」(Q7参照)を証券会社に差し入れることになっています。
なお、発行日決済取引は、ToSTNeT取引では取り扱われていません。
Q7. 「発行日決済取引の委託についての約諾書」には、どのようなことが書かれていますか。
A7. 発行日決済取引を証券会社に委託するには、まず「発行日決済取引の委託についての約諾書」に所定事項を記載し、署名又は記名押印して差し入れる必要があります。
発行日決済取引は、取引期間が長く、委託保証金の預託など証券会社との権利義務関係が長期にわたって発生しますが、これら取引期間中の権利義務関係を明確にしておくため、約諾書には債務不履行時の損害賠償方法など、了解しておかなければならないことが記載されています。したがって、発行日決済取引を行う前には、約諾書を熟読しその内容を十分に理解しておくことが必要になります。
なお、約諾書は、原則として、印紙税法に規定する「継続的取引の基本となる契約書」に該当し、1通につき4,000円の印紙税が課されます。ただし、契約期間が3ヶ月以内であり、かつ契約の更新に関する定めのないものについては、「継続的取引の基本となる契約書」には該当せず、印紙税の課税対象外となります。
「発行日決済取引の委託についての約諾書」のダウンロードはこちらをご覧ください。
口座設定約諾書等
Q8. 委託保証金について知りたい。
A8. 1.委託保証金
発行日決済取引は、決済までの期間が長く、決済の履行の確保と過当投機の抑制を図るため、発行日決済取引を行う場合には、所定の委託保証金を売買成立の日から起算して3日目までの証券会社が指定する日時までに委託した証券会社に預託しなければならないことになっています。委託保証金の所要額は「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令」及び東証の規則により約定価額(約定値段×売買株数)の30%以上と定められています。また、証券会社により、独自に30%を超える保証金率を定めている場合もあります。
なお、委託保証金の率については、発行日決済取引の過度の利用により市場が過熱化するおそれがあるなどの場合には、発行日決済取引の利用を抑制するため、内閣府令の改正又は当取引所の判断でその率を引き上げることがあります。この場合は、約定価額に引上げ後の委託保証金の率を乗じた額の委託保証金が必要となります。

2. 代用有価証券
委託保証金は、現金に代えて有価証券をもって差し入れることが認められており、これに用いられる有価証券を代用有価証券と呼びます。
しかし、有価証券であればどんなものでも良いというわけではありません。代用有価証券の種類は、上場株券、国債、地方債、政府保証債、上場内国会社の発行する社債、転換社債型新株予約権付社債、公社債投信、株式投信、ETF、不動産投信など、内閣府令及び東証が定めるものに限られます。
また、これらの有価証券には値動きがあるため、差入れ後にそれよりも価格が下がってしまうおそれがあります。そこで時価に一定の率を乗じて評価することとしています。この率を「掛目(かけめ)」といいます。この掛目は、有価証券の種類ごとに定められており、例えば株券であれば80%となっています。
なお、規則上「代用価格は委託保証金を預託する日の前日の時価に掛目を乗じた額を超えない額(すなわち、証券会社は時価に取引所が定める掛目を乗じた額を超えて代用有価証券を評価してはいけないということです。)」とされているので、証券会社の独自のルールにより、例えば株券の掛目を60%としたり、またある銘柄についてのみ60%としたりすることがあります。

<代用有価証券の種類と代用掛目>

委託保証金として代用できる有価証券の種類 時価に対する代用掛目
(1)国内の証券取引所に上場されている株券 100分の80
(2)国債証券 100分の95
(3)地方債証券(その発行に際して元引受契約が証券会社又は外国証券会社により締結されたものに限る。) 100分の85
(4)特別の法律により法人の発行する債券
 ・政府が元本の償還及び利息の支払いについて保証しているもの
 ・その他のもの
100分の90
100分の85
(5)国内の証券取引所に上場されている社債券(新株予約権付社債権(同時に募集されかつ同時に割り当てられた社債券及び新株予約権証券であって一体で売買するものを含む。以下同じ。)及び交換社債券を除く。以下同じ。)又は国内の証券取引所にその株券が上場されている会社が発行する社債券で、かつ、外国法人以外の会社の発行するもの(その発行に際して元引受契約が証券会社又は外国証券会社により締結されたものに限る。) 100分の85
(6)国内の証券取引所に上場されている新株予約権付社債券又は国内の証券取引所にその株券が上場されている会社が発行する新株予約権付社債券で、かつ、外国法人以外の会社の発行するもの(その発行に際して元引受契約が証券会社又は外国証券会社により締結されたものに限る。) 100分の80
(7)国内の証券取引所に上場されている交換社債券(その発行に際して元引受契約が証券会社又は外国証券会社により締結されたものに限る。) 100分の80
(8)国内の証券取引所に上場されている外国国債証券 100分の85
(9)国内の証券取引所に上場されている外国地方債証券 100分の85
(10)国際復興開発銀行円貨債権 100分の90
(11)アジア開発銀行円貨債権 100分の90
(12)(8)~(11)に掲げる債券の発行者を除く外国法人の発行する円貨建外国債券(国内の証券取引所に上場されているものに限る。) 100分の85
(13)投資信託受益証券及び投資証券(国内の証券取引所に上場されているもの及び投資信託協会が前日の時価を発表するものに限る。)
 ・公社債投資信託の受益証券
 ・その他のもの
100分の85
100分の80
(14)受益証券発行信託の受益証券(国内の証券取引所に上場されているものに限る。) 100分の80
Q9. 委託保証金はなぜ必要なのですか。
A9. 発行日決済取引は、売買成立から決済までの期間が長くなるため、委託保証金の差入れは、投資者が決済履行をすることを確保するための担保としての意味を持っています。
また、発行日決済取引の委託保証金はその率などについての制限があることで、過当投機を抑制する性格も持ち合わせています。発行日決済取引は、同一銘柄について売付株数と買付株数が同数となっている部分は、損益金の授受による決済を行うことができ、手持ちの資金より大きな取引が可能なため、過当投機に利用される可能性をはらんでいます。そこで、この委託保証金の率を変えることによって、発行日決済取引の過当投機を抑制することが可能になります。
このように委託保証金は担保としての意味のほか、発行日決済取引の利用を適正なものとする目的達成のための手段であるため、完全に証券会社の自由に任せることはせず、法令や東証の規則等で一定の制限を設けています。
Q10. 委託保証金を引き出したり、他の目的に使用することはできるのですか。
A10. 預託された委託保証金は、原則として、発行日決済取引の決済が終了した後でなければ、これを引き出したり、新規の発行日決済取引の委託保証金として充当したりすることができません。
ただし、所要額よりも多く委託保証金を預託している場合は、その超過額について引き出したり、他の目的に使用したりすることができます。以下、引出し・充当可能額の計算方法について説明します。
委託保証金の引出し・充当にあたっては、まず、預託している委託保証金の実質的な担保価値を計算し、そこから利用できる額の計算を行うこととなります。
委託保証金の価値は、常に変動します。例えば、当初100万円の委託保証金を現金で預託していたとしても、その後、発行日決済取引で買付け又は売付けを行った株券の価格変動によって、30万円の計算上の損失が発生しているのであれば、委託保証金の実質的な担保価値はその30万円を差し引いた残りの70万円となります。
また、委託保証金が代用有価証券で差し入れられている場合は、その有価証券の価格の変動により担保価値が変動します。そこで、まず、委託保証金の実質的な担保価値である受入保証金の総額を計算します。計算方法については、次のとおり「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令」及び東証の受託契約準則により定められています。
受入保証金の総額 =現に預託されている委託保証金の合計額
 - 相場の変動及び対当売買による計算上の損失額-発行日決済取引に関して顧客の負担すべきあらゆる債務

・現に預託されている委託保証金の合計額・・・委託保証金が代用有価証券で差し入れられている場合は、計算する日の前日の時価とその代用有価証券の種類ごとに定められた掛目で金銭換算した額。
・相場の変動及び対当売買による計算上の損失額・・・発行日決済取引に係る有価証券の相場の変動に基づく損失及び対当売買による損失から発行日決済取引に係る有価証券の相場の変動に基づく利益及び対当売買による利益を差し引いた計算上の差損額(差益額が出ている場合には加算できません。)。
・対当売買・・・発行日決済取引の売建てや買建てに対当する数量の同一銘柄の買付けや売付けのことを言います。例えばある銘柄について発行日決済取引で5,000株の売付けを行っているときに、発行日決済取引により2,000株の買付けを行うことを言います。
・顧客の負担すべき債務・・・委託手数料など顧客が支払わなければならない費用が生じていればこれらのものが該当。

例えば、ある銘柄を発行日決済取引で、100円で5,000株買い付け、当該約定価額の30%相当額である150,000円を委託保証金として現金で差し入れていた顧客が、この銘柄を110円で2,000株、90円で1,000株売り付け、決済日到来前の現時点において、株価が80円になっている場合の受入保証金の総額は、以下のとおり計算されます(計算の単純化のため、委託手数料等は省略。)。

損失部分 利益部分
受入保証金の総額=150,000-{(40,000+10,000)-( 0 +20,000)}(※1)=120,000円

・相場の変動に基づく損失(※1):(100-80)円×{ 5,000-(2,000+1,000)}株=40,000円
・対当売買による損失(※1):(100-90)円×1,000株=10,000円
・相場の変動に基づく利益(※1): 0 円
・対当売買による利益(※1):(110-100)円×2,000株=20,000円

(※1)仮に{ }内で差益額が出ている場合(損失部分<利益部分の場合)には、加算できません。
(※2)複数回又は複数銘柄を取引している場合、それぞれ合算します。

引出し・充当できる額の計算についてですが、基本的には、上記で計算した受入保証金の総額から、委託保証金の所要額(約定価額の30%相当額)を差し引いてもまだ残りがあるとき(受入保証金の総額が所要額を超えるとき)に、その分を引き出したり、新たに行う発行日決済取引の委託保証金に充当することができます。
引出し・充当可能額=受入保証金の総額-発行日決済取引による約定価額の30%相当額
発行日決済取引による約定価額・・・発行日決済取引を行ったときの約定価額。複数回又は複数銘柄の発行日決済取引を行っているときは合算。充当する場合においては、同一銘柄の対当売買に係る約定価額を除く。
同一銘柄における対当売買を行った場合はその対当数量分の委託保証金の返還を受けることができます。ただし、その対当売買により計算上の損失が生じているときは、その損失に相当する額の金銭を差し入れなければなりません。
また、発行日決済取引の決済日が到来したときに、預託している委託保証金を当該決済に使用するために引き出すことができますが、決済日の異なる複数の銘柄を発行日決済取引によって取引している場合、先に決済が到来する銘柄の決済日において、受入保証金の総額が全ての発行日決済取引に係る委託保証金の所要額を上回った場合にかぎり、その超過分を決済に使用するために引き出すことができます。
同様のケースにおいて、先に決済が到来する銘柄の決済によって受け取ることとなる買付株券又は売付代金の全てを委託保証金として差し入れることを条件として、当該決済に使用するために全ての委託保証金を引き出すことができます(差入れ後の受入保証金の総額が、他の全ての発行日決済取引に係る委託保証金の所要額を上回る場合に限ります。)。
なお、発行日決済取引の決済前において、買付けを行っている新株の値上がりや対当売買などにより計算上の利益が生じた場合であっても、その利益に相当する額を引き出したり、新たに行う発行日決済取引の委託保証金に充当したりすることはできないのでご留意ください(Q11参照)。
Q11. 決済前に計算上の利益が出た場合、これを引き出したり、他の目的に使用することは可能ですか。
A11. Q10の受入保証金の総額の式にあるとおり、決済前に計算上の利益が出ている場合であっても、その利益に相当する額を実際に預託した委託保証金に上乗せして計算することはできません(その他の発行日決済取引による損失の控除はできます。)。そのため、その利益に相当する額を引き出したり、新たに行う発行日決済取引の委託保証金などに充当したりすることもできないことになっています。
このような措置を取っている理由ですが、相場の変動による計算上の利益は、一時的な評価であって、その後どのように変化するかはわからないものであり、また決済を完了するまで手に入れることはできないものです。これにもかかわらず、一時的な評価により算出された計算上の利益について引出しや充当を認めることは、一定額以上の委託保証金を担保として行うこととしている発行日決済取引の運営そのものを不安定なものとし、さらには過度な投機を招くおそれがあるためです。
Q12. 追証とは何ですか。
A12. 「追証(おいしょう)」とは、発行日決済取引による売買が成立した後に発行日決済取引の買いを行った銘柄の株価が下落又は発行日決済取引の売りを行った銘柄の株価が上昇といった相場の変動や対当売買により計算上の損失等が発生した場合に、証券会社に対して「追加して差し入れる委託保証金」のことをいいます。

追証の差し入れには、(1)「計算上の損失分の任意差入れ」と(2)「維持率を下回る場合の強制差入れ」の2つがあります。

(1)「計算上の損失分の任意差入れ」
受入保証金の総額の計算方法のところでも説明したように相場の変動により計算上の損失が発生した場合には、その分委託保証金の実質的な担保価値は減少します。
このため、証券会社が自社の債権保全を図る観点から、委託保証金の担保価値を維持するため、次の(2)にある維持率の規定に該当しない場合でもその損失額に相当する額を委託保証金として顧客に追加差入れを求めることができることとしています。
(2)「維持率を下回る場合の強制差入れ」
a. 維持率とは
当初差し入れた委託保証金の価値は、計算上の損失額の増加や代用有価証券の評価価値の減少により減少した場合、担保としての目的が達せられなくなることがありえます。
しかし、日々の相場変動により、計算上の損失額や代用有価証券の評価価値は上下することから当初の担保価値を維持するためにはその都度証券会社との間で委託保証金の授受を行うこととなり、双方に頻繁に事務手続きが発生してしまいます。
そこで、受入保証金の総額が約定価額の一定率以下になるまでは、委託保証金の追加差入れを義務付けないこととし、その一定率を割り込んでしまった場合には証券会社の債権保全上の問題につながりかねないことから、最低限その一定率を維持するように当取引所の受託契約準則において定められています。この一定率というのが「維持率」と呼ばれるもので、発行日決済取引による約定価額(対当売買が行われた約定価額を除く。以下、維持率について同じ)の20%となっています。
 
b. 差入れ時限
受入保証金の総額が発行日決済取引による約定価額の20%を下回った場合には、当該日の翌々日までの証券会社が指定する日時までに、30%を維持できる額以上の委託保証金の追加差入れをしなくてはなりません。また、一旦発生した追証については、その後追加差入れをするまでの相場変動により受入保証金の総額が発行日決済取引による約定価額の20%以上に回復したとしても、当初差し入れることとなった時限までに差し入れる必要があります。
c. 追証を差し入れない場合
追加の差入れを行わなかった場合、証券会社はその追証発生の原因となった発行日決済取引を決済するために、証券会社の任意で顧客の計算で売付け(買残高がある場合)及び買付け(売残高がある場合)を行うことができます。また、この他、具体的な取扱いについては、発行日決済取引を行うにあたって差し入れる「発行日決済取引の委託についての約諾書」に記載されており、こうした取扱いがなされることを承諾したうえで発行日決済取引を行うこととなります。
Q13. 保証金代用有価証券を差し換えることはできるのですか。
A13. 委託保証金の差換えとは、委託保証金として差し入れられている金銭又は代用有価証券をそれに相当する額以上の金銭又は代用有価証券と同時交換することをいいます。
したがって、そのような条件を満たして行われるのであれば、受入保証金の総額の多寡にかかわらず差換えを行うことができます(受入保証金の総額が約定価額の20%未満であっても差換えは可能ということです。)
また、差換えは、差換え金銭又は代用有価証券を証券会社に預託して行うほか、既に差し入れられている代用有価証券を原資に売買を行うことによる場合も可能となります。すなわち、委託保証金代用有価証券を売却し、当該売却代金を委託保証金として差し入れることや、当該売却代金で買い付けた銘柄を委託保証金代用有価証券として差し入れることができます。
ただし、新たに差し入れる委託保証金等が差換え前の委託保証金代用有価証券の評価額を下回る場合には、差換えを行う日までにその差額分以上の額の金銭又は代用有価証券を別途差し入れなければ差換えと認められませんので、注意が必要です。
Q14. 売買証拠金とは何ですか。
A14. 売買証拠金は、一般投資家の方々にとっては、直接関係ありませんが、証券会社は発行日決済取引にかかる担保として、銘柄ごとの売付けと買付けの差引き株数について清算機関((株)日本証券クリアリング機構)へ売買証拠金を一定時限(約定日から起算して4日目の正午)までに預託します。
その額は、発行日決済取引開始日の最終値段に100分の10を乗じて算出した額に、売付けと買付けの差し引き株数を乗じて算出した額以上となっていて、清算機関が決めた有価証券でも代用できます。なお清算資格を有しない取引参加者である証券会社は、取引所の規則に従って清算参加者に売買証拠金を差し入れることになります。
Q15. 発行日決済取引の決済方法について知りたい。
A15. 発行日決済取引の決済は、売買成立日に関わらず、売買最終日から起算して3営業日目の日(売買最終日+2営業日)に一括して行われます。そのため、売買成立日の違いによって、決済までの期間が異なることとなります。発行日決済取引において、売っている場合は新株式を、買っている場合はその代金を、原則として決済日の午前9時までに証券会社に交付しなければなりません。
同一銘柄について売付株数と買付株数が同数となっている部分は、損益金の授受による決済を行うことができます。この点が、発行日決済取引の大きな特色と言えます。
例えば、取引期間中に同一銘柄を100円で1,000株買付け、一方、120円で500株の売付けを行った場合、決済において、対当部分を差し引いた結果、40,000円の支払い(120円×500株-100円×1,000株)、500株の受取り(1,000株-500株)がなされることになります。
Q16. 発行日決済取引の決済時に、旧株式で決済することはできますか。
A16. 発行日決済取引で売っている場合、旧株式を保有していたとしても、旧株式で決済することはできません。
確かに旧株式は同じ会社の株式ですが、そもそも発行日決済取引は、効力発生前の新株式のみを取引させることを目的としていて、旧株式で決済することを認めると、旧株式をも含めた取引が行われることになり、過当な投機取引を誘引する可能性があるため、発行日決済取引の決済では新株式での決済しか認められておりません。
Q17. 新株式は、いつから旧株式として売却できるのですか。
A17. 新株式は新規記録日の翌営業日(発行日決済取引の決済日の翌営業日)に旧株式に併合されますが、新株式の保有者は、当該併合日以降、旧株式の取引における決済時に新株式を充当させることが可能となるため、新旧併合日の2営業日前より保有する新株式を旧株市場で売却することが可能となります。
ただし、証券会社によって、対応が異なる場合がありますので、売却時には証券会社に確認する必要があります。

イメージ
Q18. 発行日決済取引に関する情報は、どこで入手することができますか。
A18. ウェブサイト上にて、実施銘柄の一覧を掲載しておりますので、実施銘柄や発行日決済取引の日程等を調べることができます。また、新株の株価については、新聞の株価欄や東証HP上の株価検索等で確認することができます(新株は銘柄名の後に「新」が付されます。例:ソニー新)。
委託保証金の引上げや委託保証金の有価証券による代用の制限などの規制措置が行われる場合、ウェブサイト等で公表されます。
Q19. その他の注意事項について知りたい。
A19. 保証金率や預かり資産等の取扱いについて、証券会社によって対応が異なる場合があるほか、発行日決済取引の売買の状況に異常がある場合又はそのおそれがあると東証が認める場合には、委託保証金の引上げ、委託保証金の有価証券による代用の制限又は発行日決済取引の制限などの規制措置が行われることがあります。

その他

Q1. 現物市場における売買手口に関する情報(取引参加者別の売買情報)は公表しないのでしょうか。
A1. 現物市場における売買手口情報については、市場関係者の皆様に議論いただいた結果を踏まえ、提供しておりません。
市場関係者の皆様からの意見を踏まえても、売買手口情報は、憶測に基づいた情報が流布され、それが投機的な取引行動を助長するおそれがあるなど、市場に提供する情報として適切ではないことから、公表を行わないこととしております。