信用取引の仕組み

担保

信用取引は証券会社から資金や株を借りて取引を行うわけですから、それに見合う担保を証券会社に預けなければなりません。そこで、証券会社から融資を受けて株を買い付けた場合はその買付株が、株を借りて売り付けた場合は売付代金が、担保として証券会社に預けられることになります。

委託保証金

しかし、信用取引で買った株が値下がりした場合や売った株が値上がりした場合、損失が発生し、証券会社に預けてある買付株式や売付代金だけでは担保が不足してしまいます。そのため、価格変動に伴う損失による担保価値の減少をカバーするため、委託保証金と呼ばれる一定の保証金を証券会社に預けることになります。委託保証金は、買付価格、売付価格の30%以上と定められており、現金のほか有価証券でも代用できます。
さらに、株価の変動により損失が拡大し、当初の委託保証金だけでは担保価値が不十分となってくる場合もあります。そのため、当初の委託保証金から損失や費用を差し引いた金額が売買代金の20%を下回った場合は、追加の保証金(追証)を証券会社に差し入れる必要が生じます。

2_信用取引の仕組み_1

品貸料(逆日歩)

信用取引では、証券会社が顧客に資金や株を貸すことにより売買の決済を行いますが、制度信用取引(「決済」の説明(注1)参照)においては、証券会社がそれらを自社において調達できない場合、証券金融会社(注2)から融資や借株を受け、それにより決済を行います。このような制度信用取引を補完するための、証券会社と証券金融会社との間の取引を貸借取引といいます。
この貸借取引においては、証券金融会社は融資を行った証券会社からその担保として当該証券会社が顧客から預かった買付株式の差入れを受け、これを、借株を申し込んできた証券会社に貸し付けることとしています。
しかし、貸株残高が融資残高を超過して株不足が発生した場合には、証券金融会社は、その不足株数を入札形式で証券会社または生損保等の機関投資家から調達します。その入札により決定された料率を品貸料と呼びます。(逆日歩とも呼ばれています)
品貸料が付いた場合には、この銘柄について制度信用取引を行っているすべての売り顧客は、相当する金額を支払わなければならず、一方すべての買い顧客は相当する金額を受け取ることができます。

  • 信用取引には、返済期限が6か月以内であること、品貸料を授受することや対象銘柄等が証券取引所の規則により定められている「制度信用取引」と、返済期限等について証券会社と顧客との間で合意した内容に従って行う「一般信用取引」があります。
  • 金融商品取引法の規定により内閣総理大臣の免許を受けた会社で、制度信用取引の決済等のために、証券取引所の取引参加者である証券会社に対して有価証券及び資金の貸付けを行う貸借取引を主要業務としています。
2_信用取引の仕組み_2

決済

信用取引による貸付けは、6か月以内に返済しなければなりません。(品貸料(逆日歩)の注1参照)
返済の方法は2通りあります。1つは「転売・買戻し」と呼ばれる反対売買による決済です。これは、信用取引の買方は、融資の担保として証券会社に預けられている買付株式を売ることで入手できる売却代金を使って融資金を返済し(転売の図参照)、一方、売方は貸株の担保として証券会社に預けられている売付代金を使って貸株と同種同量の株を買い付け、貸株を返済する(買戻しの図参照)ものです。この時に発生する過不足分が、顧客の利益または損失となります。
もう1つの返済方法は、「現引き・現渡し」と呼ばれる方法です。これは、買方は融資相当額の現金を自ら用意することで融資を返済し、担保として預けられている株式を引き取ります。(現引きの図参照)一方、売方は、売付株と同種同量の株を自ら用意することで貸株を返済し、担保となっている売付代金を受け取る方法です。(現渡しの図参照)

  • 株券の取引等がより安全かつ迅速に行われることを目的として、2009年1月から紙に印刷された上場会社の株券が廃止され、株主の権利は証券保管振替機構 (ほふり)と証券会社などの金融機関の口座で電子的に管理されています。したがって、株式の引渡しは、実際には口座間の振替のみとなっています。
2_信用取引の仕組み_3