変わる株主総会

いわゆる1980年代のバブル経済崩壊後、株価が急落していく過程で株式持合が崩れていきました。

取引先や金融機関が手放した株式を買ったのが資産運用を専門に行っている「機関投資家」であり、 特に外国の機関投資家が積極的に日本の株式を購入しました。

国内外の機関投資家は株主として会社の価値を高めるため上場会社にいろいろな意見や要求を行うことがあります。

一方、消費者を裏切る行為、嘘の会社情報を流すなど企業における不祥事が発生しています。

株主の意見に耳を傾ける会社

株主総会で選んだ取締役が適法かつ適切に業務を行っているかを監督監視しようとする動きが強まり、株主総会を有効に利用しようとする株主が増えています。株主総会にかけられた議案も内容によっては反対票が投じられ、なかには会社提案が否決されるケースも見られるようになりました。

株主に十分な説明をし、株主の意見に耳を傾け、尊重するスタンスが求められるようになりました。そこで株主や投資家と直接対話ができる機会を企業が積極的に設けるようになってきています。

投資部門別の株式保有率の推移

出典:東京証券取引所

例えば、会社説明会や決算説明会、工場見学会などを開催したり、投資に役立つ情報は会社のHP等で常時見ることができるようになっています。こうした活動をIR(Investor Relations)活動と言います。

IR活動を通じて、新たな株主を増やし、長期間にわたり株式を所有してもらうため、投資判断に必要な情報をわかりやすく伝えることを積極的に取り組む上場会社が増えています。

また、株主総会においても様々な取り組みが行われています。
例えば、より多くの株主が株主総会に参加できるような取り組みがあげられます。

これまで多くの会社が特定の日に株主総会を開催していたため株主が参加しにくい環境でしたが、開催日を前倒ししたり、土日に開催する企業も増えてきています。

3月決算会社の株主総会の特定日開催の集中率

出典:東京証券取引所

株主総会の後に懇談会や経営報告会を開催したり、株主限定のイベントを行ったり、株主総会参加者にお土産を配布するなど、より多くの株主に参加してもらい、株主との直接対話の機会を設ける様々な工夫が行われています。

開かれた株主総会

こうした上場会社の株主に対するスタンスの変化は、活発な発言や質疑応答が行われるようになり、株主総会の開催時間が長くなる傾向にあります。

このように「形骸化した株主総会」は「開かれ活性化した株主総会へ」へ変わろうとしています。