大証からのニュースリリース

(株)東京証券取引所グループによる当社株式に対する公開買付けの成立について(社長談話)

平成24年08月23日

経営統合に向けて、株式会社東京証券取引所グループが平成24年7月11日から平成24年8月22日まで実施しておりました当社普通株式に対する公開買付けが成立しました。今後開催する両社の臨時株主総会において承認を頂くことが前提ではありますが、来年1月1日に当社を存続会社とする合併により統合持株会社「株式会社日本取引所グループ(仮称)」が発足する見通しになり、当社代表取締役社長・米田道生が談話を発表しました。

「もはや"小さなコップ"の中で東証と争っている時代ではない」—。私はそう判断し、東証との経営統合を決断致しました。世界の取引所業界は国境を越えて投資家を争奪し合う、グローバルな市場間競争の時代に突入しております。大証と東証の全社員が一丸となり、「アジア・ナンバーワン」の取引所を目指していかなければ、経営統合する意味は全くありません。

紀元前のギリシャは、全く異質な古代オリエント文化との融合に挑戦しました。それが「ヘレニズム」という形で結実し、ギリシャ人は更なる発展の推進力を手に入れたといわれます。われわれも東西の取引所が培ってきた企業文化の融合にチャレンジし、お互いの長所を採り入れながら、全く新しいカルチャーを創造します。そのためには、社員一人ひとりが「開拓者」の自覚を持ち、未知なる世界を切り拓くというフロンティア・スピリットを発揮しなければなりません。大証、東証という衣(ころも)を脱ぎ捨てて、「オールジャパン」の取引所を一から創り上げていきます。

当社は、日本の取引所の中では最も早く、株式会社化と上場を実現し、旧態依然とした体質の改善に取り組んできました。デリバティブの分野では様々なイノベーションを実現してきたと自負しており、わが国の新興市場を代表するジャスダックとの統合にも成功を収めました。

しかしながら、それでもまだ、グローバル市場で鎬(しのぎ)を削る日本の代表的な企業に比べると、当社にも甘さが残っています。第一に、取引所で働く者は全員、「金融サービス業」に従事していることを自覚しなくてはなりません。コンビニエンスストアやファミリーレストランと同様に、サービス業の一員なのです。顧客に提供するものが株式やデリバティブといった金融商品というだけで、「お客様に最大の満足を提供する」という意味ではコンビニエンスストアやファミリーレストランと何ら変わりはありません。優れた金融サービスの提供を通じて、株式会社として安定した収益を確保しない限り、取引所は持続可能な組織になり得ないのです。

その一方で、われわれは国から免許を交付されている業種であり、国民生活に欠くことのできない「社会インフラ」として公共性を追求していかなければなりません。「公共性」を敢えて大胆に言い換えるなら、「取引所に信頼を寄せてくれる確かなファンを、一人でも多くつくる」ということになるでしょう。「日本取引所グループが誕生したおかげで、日本経済は成長の新たな推進力を手に入れた」という国民の評価が定着するよう、日本取引所グループは全力で取り組んでいきます。

平成24年8月23日
株式会社大阪証券取引所
代表取締役社長 米田道生

 
誕生の経緯