最近の国債先物・オプション取引市場における制度改正

大阪取引所では、市場関係者の御要望等を踏まえ、これまで様々な取引制度の見直し等に取り組んでまいりましたが、市場関係者における取引ニーズの多様化や取引手法の高度化等に伴い、これらの御要望も一層多様化・複雑化しております。大阪取引所としては、これらの市場ニーズに応えるべく、今後も国債先物・オプション取引における様々な取引制度の見直し等を計画していきたいと考えております。最近の国債先物・オプション取引市場における制度改正等についてご紹介いたします。

デリバティブ市場統合

(株)東京証券取引所及び(株)大阪証券取引所(以下「大証」という。)は、2013年1月1日に経営統合を行い、(株)日本取引所グループが発足いたしました。経営統合に伴い、これまで東証及び大証がそれぞれ有していた市場機能の集約及び取引システムの統一による速やかなシナジーを実現させるため、株式等の現物市場を2013年7月16日に東証に集約するとともに、国債先物・オプション取引を含むデリバティブ市場を2014年3月24日に大証(同日、「株式会社大阪取引所」に商号変更)に集約いたしました。また、あわせて取引制度及び取引参加者制度等に関して所要の整備を行いました。このほか、4月からは取引を休止していた超長期国債先物取引を再開しております。

デリバティブ市場統合に伴う関連諸制度の整備について (パブリックコメント・2013年6月18日)

超長期国債先物の商品性見直し

大阪取引所は、超長期国債先物取引の取引活性化を図る観点から、2015年7月に同商品の商品性見直しを行いました。これにより、標準物利率を実勢金利に近づけるとともに、受渡適格銘柄の年限を現物債市場の流動性の高い年限に変更し、さらに呼値の単位を縮小するなど、超長期国債市場における市況環境の変化等を踏まえ、超長期国債を保有する投資家がヘッジ取引等をより行いやすくなるよう制度改正を行っております。

超長期国債先物取引の商品性の見直しについて (マーケットニュース・2015年4月28日)

国債先物取引とOTC金利スワップのクロスマージンの導入

㈱日本証券クリアリング機構において、国債証券先物取引及びOTC金利スワップ取引に係るリスクの相殺を可能とすることで、国債先物取引参加者及び金利スワップ清算参加者等の担保負担の軽減を図る「クロスマージン制度」を導入しております(2015 年9月開始)。

株式会社日本証券クリアリング機構におけるクロスマージン制度導入に伴う当社関連諸規則の整備について (2015年4月28日)

国債先物取引における取引最終日の繰下げ(2015年12月限月から)

2013年度税制改正において、金融所得課税の一体化を進める観点等から、公社債等の課税方式が見直され、2016年1月1日から実施される予定です 。これに伴い、当社は、国債証券先物取引の受渡決済における経過利子の計算方法を変更するとともに、決済リスクの削減及び取引機会の拡大を図る観点から、取引最終日から受渡決済期日までの期間を2日間短縮し、取引最終日を受渡決済期日の5日前とする等、所要の改正を行うこととしております。

公社債等の課税方式の見直しに伴う国債証券先物取引における取引最終日から受渡決済期日までの期間の短縮等について (パブリックコメント・2014年11月26日)

日本国債ボラティリティー・インデックス(S&P/JPX日本国債VIX指数)の算出開始(2015年後半から)

日本取引所グループ及び大阪取引所は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスとともに、「S&P/JPX 日本国債 VIX 指数」の算出・公表を開始いたします。この「S&P/JPX 日本国債 VIX 指数」は、大阪取引所で取引される日本国債(長期国債)先物オプション取引の価格を利用し、日本国債のインプライド・ボラティリティを算出するもので、世界の主要な株式ボラティリティ関連の指標であるシカゴ・オプション取引所ボラティリティ指数®(VIX® 指数)と同様のメソドロジーを利用した日本初となる本格的な債券ボラティリティ指数です。具体的な算出・公表の開始は今年後半を予定しております。

日本初となる本格的な債券ボラティリティ指数の算出開始について (マーケットニュース・2015年7月22日)

次期デリバティブ売買システム(次期J-GATE)の稼働(2016年央)

大阪取引所は、日本取引所グループが目指す「アジアで最も選ばれる取引所」に向けた4つの重点戦略の1つである「デリバティブ市場の拡大」をインフラ面から支える重要な施策として、次期J-GATEの開発を進めています。次期J-GATEにおけるシステム処理能力の向上及び新たにサポートされる新機能を活用し、市場利用者の利便性の一層の向上につなげるとともに、新商品導入等の制度変更等を実施します。こうした一環として、国債先物・オプション取引におけるナイト・セッションの終了時刻を現行の翌日午前3時から翌日午前5時30分に延長する予定です。

次期デリバティブ売買システム稼働時における 新商品の導入及び取引制度の変更について (マーケットニュース・2015年6月24日)

”JPX国債先物指数シリーズ”の算出及び公表について(2016年央)

日本取引所グループ及び大阪取引所は、次期デリバティブ売買システム(次期J-GATE)稼働時から、“JPX国債先物指数シリーズ”の算出及び公表を開始します。当指数シリーズは、大阪取引所で取引されているLarge長期国債先物取引の前日比価格変動率に対して一定の倍数を乗じた変動率となるように運用した場合のリターンを数値化した指数で、「JPX国債先物指数」「JPX国債先物インバース指数」「JPX国債先物レバレッジ指数」及び「JPX国債先物ダブルインバース指数」の4つから構成されます。
当指数シリーズは、2008年12月末の数値を10,000として指数化し、1日1回、終値を公表します。起点時の数値を統一することで各指数の値動きが比較可能となり、国債投資に当たっての新たな参考指標として御利用いただけます。

“JPX国債先物指数シリーズ”の算出及び公表について(マーケットニュース・2015年9月18日)