企業価値向上表彰の概要
表彰の対象・狙い |
資本コストをはじめとする投資者の視点を強く意識した経営を実践し、高い企業価値の向上を実現している会社を表彰(2012年度創設)
表彰を通じ、ベストプラクティスを提示することで、上場会社には企業価値向上経営の必要性とその参考事例を、投資家には東証市場における株主価値の創造を目指す企業の存在を発信 |
表彰社数 |
毎年度大賞会社1社、ほか優秀賞を選定 |
選定委員 |
座長 伊藤 邦雄(一橋大学CFO教育研究センター長)
委員 澤上 篤人(さわかみ投信株式会社 取締役会長)
委員 スコット キャロン(いちごアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長) |
後援 |
日本IR協議会、日本証券アナリスト協会、日本証券業協会、日本投資顧問業協会、日本ベンチャーキャピタル協会、日本経済新聞社 |
2020年度の企業価値向上表彰の実施見送りについて
新型コロナウイルス感染症の急速な拡大から、グローバルに経済環境が大きく変化しつつある中、上場会社の皆様の経営方針や事業活動も、様々な制約の下でそうした急激な変化への対応が求められる状況となっております。
そうした昨今の事情を踏まえ、2020年度の企業価値向上表彰の実施を見送らせていただくことといたします。
第8回企業価値向上表彰の表彰会社の決定について
この度、「上場会社表彰選定委員会」(座長:一橋大学大学院・伊藤邦雄特任教授)による審議の結果を受け、本年度の企業価値向上表彰の表彰会社を決定しましたので、お知らせします。
第8回企業価値向上表彰の表彰会社の決定について
(2020年1月28日付 プレスリリース) |
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第8回(2019年度) 大賞
会社名 |
コード |
市場区分 |
業種 |
株式会社小松製作所 |
6301 |
市場第一部 |
機械 |
株式会社小松製作所が優れていると評価されたポイント
1.企業価値向上の実現に向け、経営目標・指標等が資本コストを意識したものであり、長期にわたり継続して活用している。
自社の株主資本コスト水準(8%程度と想定)を踏まえ、これを上回るROE目標(10%以上)を設定すると共に、資本コスト水準やその低減に向けての取組を統合報告書で公表。
2.企業価値向上の実現に向けて資本生産性を踏まえた経営管理の仕組みを構築している。
【事業ポートフォリオ管理(新規投資・事業撤退)】
2000年代初めから、NPV・EVAを継続して用い、投資案件の業種・地域・リスクに応じた資本コストを踏まえ投資判断を実施。また現在においても、買収後事業の全社への企業価値向上への貢献度をモニタリングするためEVAを継続活用。
【既存事業管理】
2017年度より、各グループ会社の業績管理指標としてROICを採用。
3.経営トップ自らが、投資者らとの対話の重要性を認識し積極的に実践している。
投資家をはじめとするステークホルダーと対話することの重要性を認識し、経営トップ自らが対話を率先して実践。現中期経営計画においては、投資家との対話を踏まえ、ESGに関する具体的な定量目標等を策定し、公表している。
- EVAは米国スターン・スチュワート社の登録商標です。
第8回(2019年度) 優秀賞
会社名 |
コード |
市場区分 |
業種 |
株式会社資生堂 |
4911 |
市場第一部 |
化学 |
ANAホールディングス株式会社 |
9202 |
市場第一部 |
空運業 |
株式会社ニトリホールディングス |
9843 |
市場第一部 |
小売業 |
株式会社資生堂が優れていると評価されたポイント
■ 企業価値向上の実現に向け、資本コストを意識した経営目標・指標等を設定している。
・経営目標指標としてROE・ROIC・CCCを設定し、資本コストや資産効率を意識した経営を推進。
・特にROEは、経営目標として1999年から継続的に対外公表。
・2014年3月期のROEは8.3%だったが、中長期戦略VISION2020によって順調にトップラインが成長し、2018年12月期には14.1%と躍進。2019年の目標値は、自社の資本コストを大きく上回る水準(18%)を設定。
■ 資本コストを意識した経営管理の仕組みを導入し、企業価値向上の実現に取り組んでいる。
・VISION2020のなかで、買収やライセンス契約による成長投資を進める一方、さらに投資効率を高めるために不採算事業の撤退も合わせて行うことで、事業・ブランドポートフォリオの見直しを実施。そうした新規投資や既存事業評価においてはNPV・IRR・ROICを活用している。また、買収事例において、IRR水準を市場参加者向けにも公表。
■ 企業価値向上の実現に向け、経営トップ自らが、投資者との対話に積極的に取り組んでいる。
・CEO、CFOが合計で年40回程度、海外投資家とのミーティングを実施。
・中でもCEOは、海外IR等で受けた意見や提案を、社外取締役をはじめ執行役員等に対し自らメールで連携し、迅速な社内共有・施策検討に活用している。
ANAホールディングス株式会社が優れていると評価されたポイント
■ 企業価値向上の実現に向け、資本コストを上回る経営目標・指標等を設定している。
・経営目標指標として、ROE・ROA等を設定し、資本コストや資産効率を意識した経営を推進。
・ROEは2015年から公表。現在の目標値はROE9.5%、ROA6.2%。
・高単価の国際線ビジネス路線に注力してきたことや、海外航空会社とのアライアンス戦略が奏功し、ここ数年安定的な成長を実現。
■ 資本コストを意識した経営管理の仕組みを導入し、企業価値向上の実現に取り組んでいる。
・出資では、国別のリスクプレミアムを組み入れたWACCを用い、IRRやNPVを算出して参考にするなど、資本コストも意識しながら意思決定。
・本業の航空事業においては、ユニットコスト(座席・キロベース)の低減目標を社内で共有し、ICTを積極活用するなどして生産性向上に真摯に取り組む。
■ 企業価値向上の実現に向け、資本コストを含めた経営管理の仕組み等について役職員向け研修を実施し、社内浸透に取り組んでいる。
・役員クラス・本社勤務クラスの役職員に対して、階層別研修等を通じ、IRRやNPVの考え方や資本コスト概念の習得機会を提供。
株式会社ニトリホールディングスが優れていると評価されたポイント
■ 企業価値向上の実現に向け、資本生産性を意識した経営目標・指標等を長期にわたり継続して活用している。
・上場当初より、先駆的に資本生産性指標であるROA・ROEを社内経営目標として活用。
・2005年からは、両指標を含めた11指標※を主要経営効率項目として対外公表。
・店舗・店舗設備の投資採択(新規・撤退)基準の一つとして、ROIを活用。
- ROA・総資本回転率・営業収入経常利益率・EPS・ROE・自己資本構成比率・インタレストカバレッジ・総売上高増加率・経常利益高増加率・純売上高利益率・損益分岐点売上高比率
■ 資本生産性を意識した経営目標・指標等の、社内への浸透が図られている。
・部門長クラス以上の役職者向けに、資本コスト概念や自社の資本コスト状況を定期的に説明するほか、全社員を対象とした、同社教育システム(ニトリ大学)の自己育成ツールにおいて、資本コスト概念などを含む経営知識やビジネスの基礎知識をいつでも学べる機会を提供。
ファイナリスト選定の視点
ファイナリストの選定の視点は、次のプレスリリースをご参照ください。
第8回企業価値向上表彰に係るファイナリストの選定について
(2019年10月29日付 プレスリリース) |
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表彰候補50社の公表について
第8回企業価値向上表彰の表彰候補50社が決定しましたので、公表いたします。これらの50社は、過去5年間にわたり自己資本コストを上回るROEを安定的に計上している企業であり、かつ、経営目標や資本コストなどを確認する選考アンケートの結果及び資本コスト(WACC)を上回る企業価値の創出額等の算定結果が優れた企業として選定されました。
今後、詳細な選考アンケートの実施等を通じて各社の経営の実践状況を確認し、ファイナリスト(大賞候補会社)の選考を進めて参ります。
第8回企業価値向上表彰の表彰候補50社の公表について
(2019年8月27日プレスリリース)
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選定プロセス
選考アンケート
第8回(2019年度)企業価値向上表彰における
二次選抜選考アンケート |
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第8回(2019年度)企業価値向上表彰における
三次選抜選考アンケート |
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ご参考 表彰候補50社の株価パフォーマンスの推移
第8回表彰の選考対象期間(財務数値の参照期間)の最初の営業日(2014/4/1)を起点(100)として、表彰候補50社の日々の終値ベースでの株価の変化率を単純平均してグラフ化しております。
※ 同じ時点を起点とする日経平均株価及びTOPIXの変化率の推移も併記しております。
- 注意事項
本情報はあくまで参考情報であり、投資等の勧誘を目的にしたものではなく、いかなる有価証券の価値を保証するものではありません。最終的な投資判断は利用者ご自身でお願いいたします。
「表彰候補50社」の株価パフォーマンスと企業価値向上経営の意義に関する分析レポート
【サマリ】
企業価値向上表彰「表彰候補50社」の株価パフォーマンスと企業価値向上経営の意義 ~企業価値向上経営を実践する会社の特徴~ |
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【本文】
東証企業価値向上表彰において選抜された表彰候補会社からみえた経営の強さ |
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企業価値向上表彰の表彰候補50社が市場から高く評価されている事実を端緒に、投資者の視点を意識した「企業価値向上経営」を実践している本表彰候補会社群の業績や経営態勢の特徴・傾向から、その意義や効果について、一橋大学大学院商学研究科 円谷昭一 准教授に分析いただいたものです。
お問合せ
株式会社東京証券取引所 上場部 上場会社表彰選定委員会事務局
電話:03-3666-0141(代表)