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東京株式取引所と第一国立銀行の株式

明治11年に立会を開始した東京株式取引所(東株)ですが、当初の上場証券は、明治政府が旧藩債務継承のために発行した新公債と旧公債、それに秩禄処分のために発行した秩禄公債のわずか3銘柄でした。

東株の株式 写真

では、我が国初の上場株式はどの会社のものだったのかと言えば、それは明治11年7月15日に上場された東株の株式でした(右の写真)。なぜ東株の株式が 上場第1号となったかは定かではありませんが、当時は、まだ株式会社の数も少なく、上場するのに適当な会社が見当たらなかったのではないかなどと言われています。

続いて、明治11年年9月には、第一勧業銀行(現在はみずほ銀行)の前身である第一国立銀行の株式(下の写真)が上場されました。同行は、明治5年制定の国立銀行条例に基づいて明治6年に設立された銀行で、株主の有限責任や利益計算に基づく配当の実施などの点から、我が国で最初の株式会社と言われています。同行は現在のみずほ銀行兜町支店のある場所に設立され、同支店入り口の右側壁面には"銀行の発祥地"とした銘板が埋められています。

第一国立銀行の株式 写真

さて、取引状況はどうであったかというと、明治11年には株式253株に対して、公債は2,656万円と、“株式取引所”といっても実質的には“公債取引所”の観を呈していたようです。

しかし、その後、明治14年に始まる鉄道会社の設立・発展と、明治19年からの紡績・電灯などの企業勃興時代に、株式会社が相次いで上場されたことに伴い、株式取引は次第に活発となり、売買高も明治26年には265万株を記録するまでになっていきました。