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売買高多額表彰状

下の写真は、東京株式取引所(東株)が昭和6年下半期において最も多く取引を行った会員の功績を讃えて表彰を行った時の“表彰状”です。

売買高多額表彰状

この売買高多額表彰制度は、明治34年上半期の営業報告書によれば、半期間ごとに最多額の売買を行った仲買人5名に対し記念盃を贈与する規程を設け、銀盃並びに記念状を渡したのが始まりとされ、その後、昭和13年まで続けられたことが記録として残っています。

当時の取引所は、長期清算市場、短期清算市場、実物市場、国債市場の4市場で構成され、各市場において20名、15名、10名、7名の仲買人が表彰され、 そのほとんどが個人でした。また、当時の株式市場は短期清算取引中心の市場でしたが、その最多売買銘柄は“新東株”(東株の新株)でした。その売買高は短期清算総売買高の約7割、売買回転率は約60倍とかなり投機的に取引されていたようです。

この表彰制度で興味を引くのは、表彰された仲買人が取引所に納めた手数料額も営業報告書に記録として残っていることです。表彰された方々は、どのような思いでこの表彰状を手にしたのでしょうか。