東証Arrows見学

「証券史料ホール」に戻る

實榮會入場徽章

写真左下は、昭和の初めに使用された實榮會の“入場徽章”、写真右下は昭和17年の實榮會使用人の“入場徽章”で、どちらも木製です。實榮會とは、平成11年4月まで、売買注文の媒介業務を行っていた才取会員(昔は「才取人」)である実栄証券(株)に当たることはその名前から連想できますが、「実栄」という言葉が使われたのは昭和に入ってからのことでした。

實榮會入場徽章写真

明治の中ごろ、拡大する店頭市場の中でその頭角を表した才取人は、大正7年に、東京株式取引所が、取引所内の実物取引の振興から才取人を取引所内に導入しました。そして昭和8年に「株式才取人實榮會」が創設され、「実物取引の繁栄」という意味の「実栄」という言葉が才取人の代名詞となっていきます。

この株式才取人實榮會の創設に当たって、才取人は自己の売買を一切禁止され、その業務は、売買の媒介業務のみと改められました。昭和13年には、才取人の取扱銘柄が明確に定められ、市場内の床面に真鋳の板を貼りつけた9~10個のサークルが作られ、そこに才取人が常駐することになる、いわゆる「取引ポスト」が創設されるなど、徐々に現在の姿に近づいていきました。

ところで、写真の「徽章」が使われていた昭和の初め、才取人の服装についてどのような規則があったか定かではありませんが、大正10年に、立会場入場者に洋服の着用を義務付けた記録があることから、当時、服装についても何かしらの規則があったものと思われます。