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東京証券取引所日報創刊号

「日報」創刊号『東京証券日報』

立会風景

右の写真は、昭和24年5月16日、正会員129名、才取会員12社で始まった立会の初日、東京証券取引所(東証)が発行した「日報」創刊号『東京証券日報』です。

この「日報」には上場会社485社、681銘柄(11業種)の四本値と出来高が掲載されています。また、当日の出来高は、清算可能証券(売買高が多く東証清算部を通じて決済する証券)213,300株、清算除外証券(取引所清算部を経由せず会員間で直接決済する証券)1,290,860株であったことが記されています。下の写真は、当日の立会風景です。

この日に向けて、取引所では準備が急ピッチに進められ、そのときの様子は、「12日午後同取引所をのぞいてみるとペンキ塗りや銘柄名札の整備、新たに使用することになったテレタイプの練習などガランとした広い場内に閉鎖以来の長い間のちりを攬つて人々が忙しく立働いていた。無用の者入るべからずの仕切線が床に真ちゅうで引かれているので、きれいに並んだ銘柄種類別の馬蹄形ポストなど旧取引所になかつた新装が施されている。

入口に入ると『大声を出してはいけない』『場内をかけてはいけない』など注意事が場内九原則という形ででかでかと張出されているのが目をひいた、なお取引所では午後5時から新取引法による模擬立会を行い業者は張り切って手を振っていた」(5月13日付日経新聞)と報道されています。

ところが初立会の当日、売買仕法が従来の方法と全く異なっていたことから、「とくに注文の多い銘柄については伝票の整理に追われて、商いを成立させる余裕さえなかった…某才取会員は『場が引けてからポケットに手を突っ込むと、伝票がたくさんネジ込まれているのにびっくりした』と語っている…立会終了後、市場関係者が翌日からの対策を協議したが、…『規則はどうでもいいからやれる方法でやれ』と指示したので、口頭で注文を受ける方法に切り替えた」(証券百年史)とあり、てんやわんやの初日であったようです。おそらく、この「日報」も、こうした状況の中、大わらわで作成されたものと思われます。