日本取引所グループ

TOP>個人投資家による個人投資家のためのオプション取引講座>日経225先物+αのオプション戦略(その1)

個人投資家による個人投資家のための
  オプション取引講座

日経225先物+αのオプション戦略(その1)

コールオプションを売る「カバードコール」戦略

日経225先物や日経225miniの取引で、相場の読みが外れることは日常茶飯事です。読みが外れて相場が逆行してしまった場合には、「損切り(ストップロス・ロスカット)」により損失を限定させないと大変なことになります。

しかし損切りラインに到達し、損切りしてしまった後に当初の読み通りに上がっていった、などということも投資家“あるある”でしょう。損切りしなければよかったのに、というやつです。

損切りラインを近くすれば損失は小さくて済みますが、相場の少々の上げ下げ(ノイズ)ですぐに損切りとなってしまいます。

ラインを遠くすれば、なかなか損切りにはならないけれども、ラインまで逆行した場合の損失は大きくなってしまいます。これはなかなか難しい問題なのですが、その解決策としてオプションが役に立ちます。

上昇予想の先物ロングポジションに、もともと利食いしようと思っていた水準のコールオプションを1枚売るだけで、先物の損切りラインを遠くでき、かつ損切りの際の損失も抑えることができます。いわゆる「カバードコール」です。

図表1 日経225先物価格日足チャート(2018年2月5~6日の急落前後)

2018年2月に日経平均株価が大きく下げたあとの戻りを狙う作戦で、2月13日に21,000円付近から22,000円あたりまでの上昇を逆張り的に狙うことを考えます。

もちろん、落ちてくるナイフを拾うがごとく、ここで上昇狙いの逆張りをするというのはなかなか勇気が必要です。
損切りの設定、すなわち損切りラインへ逆指し値を入れておくことを忘れてはいけません。
この日の引け21,170円で日経225miniを10枚(日経225先物1枚相当)買ったとしましょう。
このとき損切りラインをどのあたりに置くかを考えます。下は21,000円あたりが一つのラインとして意識できそうです。
21,000円で損切りとなった場合17万円ほどの損ということになります。
「リスクリワード(損切り幅と利食い幅の比率)」1:4ぐらいをリスク許容想定として、先物で1,000円程度の上昇を取りに行くことにした場合、おおよそ200円~250円の下落すなわち20~25万円ぐらいの損失までなら許容できます。
このとき20,970円~20,920円あたりに損切りの逆指し値を入れなければならなくなりますが、これだとすぐに損切りにかかってしまいそうです。
実際、ポジションをとった翌日に21,000円を割り、20,900円まで下げており、もしこのあたりに損切り逆指し値を入れていた場合、このラインで損失が確定し、ポジションがなくなったあとで予想通り22,000円まで上昇していった、という残念な結果となっています。
だからといって、例えば20,800円あたりまで損切りラインを離すと、もし損切りとなった場合は約40万円の損失となり、許容できる損失額を大きく上回ってしまいます。

この問題は、1,000円の上昇を狙って利食いする水準である22,125円を権利行使価格とするコールオプション(C22125)を1枚売るだけで大きく改善します。

図表2 2018年2月13日コールオプション価格表

現水準から955円上のC22125が210円で取引されていました。ここで、このC22125を1枚売り210円を受け取ります。オプション取引におけるコールの買い手は、原資産である日経平均株価が満期においてその権利行使価格を超えていた場合に、SQ値と権利行使価格の差分を受け取る権利をそれ相応の価格を支払って買うのですが、逆に売り手はそれ相応の額を受け取ることになります(オプション取引ABC「コールオプションとは」参照)。今回の事例ではC22125を売っているのですから、日経平均が上昇し22,125円を超えると、その超えた部分の支払い義務が発生することになります。しかし、日経225miniを10枚買っているので、22,125円を超えて上昇しても、C22125売りによる支払い義務分はすべてこの日経225mini10枚買いにより賄えるのです。

このポジションは、仮に満期時点で予想通り22,125円付近まで上昇した場合、日経225miniからの利益に、C22125を売ったことで得た21万円が上乗せされることになります。つまり先物からの利益955,000円(955円×10枚×100)+オプション売りからの利益210,000円(210円×1枚×1,000)=1,165,000円ということになります。予想通りの上昇相場であれば、日経225miniの利益にコール売りの受取分が上乗せされる効果があるのです。

図表3 「日経225mini買い10枚@21,170円+C22125売り1枚@210円」の模式図

図表4 「日経225mini買い10枚@21,170円+C22125売り1枚@210円」の損益図

先物の損切りラインを遠くして、損失を少なくする

ただ、先物が22,125円を超えてどんなに上昇しようとも、C22125の損失と日経225mini買い10枚のポジションの利益がイーブンなので、利益は増えません。(なお、当初1,000円ほどの上昇を見込んでいて、そこで利食いしていたはずですから、もともとそれ以上の上昇の利益は享受できていないわけで、C22125を売らなきゃよかった、ということにはならないはずです)

このようにC22125を売って21万円を受け取ることには、このように無限の利益をあきらめて210円分の上昇益を先にもらっておくという効果があるのですが、これは言い方を換えれば、日経225miniの取得価格を210円引き下げる効果があるということです。つまりスタートラインがこのコール売りにより210円下になるので、損切りラインを210円分下げることができることになるのです。本事例で具体的にみてみると、損切りラインを20,950円から210円下の20,740円前後に下げることが可能になるということです。20,740円で損切りすることになった場合、C22125を売っていなければ(カバードコールをしていなければ)、損失は43万円です。しかし、C22125を売っており、こちらが利益となりますので(※)、全体として損失は当初の損失許容範囲内に収まる可能性が高まるのです。つまり損切りラインを遠くに離すことができて、かつ損失を少なくできるのです。日経225先物や日経225miniのトレードにおいて、オプションを利用したカバードコール戦略を加えることで、損切りラインを遠くすることができ、その結果、市場のノイズに翻弄されることなく、一喜一憂しないで相場に向かうことができるというわけです。

※なお、期中で決済する場合は、コールオプション(=今回の例ではC22125)はまだ価値を持つため、買戻し価格との差額が利益となり、満額(=今回の例では21万円)の利益を確保できるわけではありません。

最終的に、この戦略がどうなったのかを見ていきましょう。

図表5 「日経225mini買い10枚@21,170円+C22125売り1枚@210円」のSQ損益

3月9日のSQ値は21,575円でした。日経225mini単体の10枚ロングでは、405,000円の利益です。一方C22125については、満期においてSQ値がその権利行使価格までは到達していないので、このC22125は無価値となります。210円で売っていたものが0円になったわけですから、210,000円の利益ということになります。合計615,000円の利益。つまり日経225mini単体の利益よりも210,000円利益が多いのです。

実は、今回の事例は、途中、売っていたコールの権利行使価格を超える展開になっていました。もし、満期において22,125円を超えていれば、先に示したように1,165,000円の利益となるのですが、2月27日時点では、まだ満期まで時間が残っておりますので、満額の利益とはなっていません。もちろん、この時点で先物とオプションのポジションを決済(反対売買)することでこの利益を確定させることは可能です。

今後下落の可能性はあるが満期まで持ってSQ通過により1,165,000円まで利益を伸ばすべく頑張るか、現時点で決済して990,000円でよしとするか。あるいは、下落リスクをプット買いによりカバーするかは投資家の裁量によります。

次回はカバードコール戦略において下落側をプット買いでプロテクトする戦い方について見ていきたいと思います。お楽しみに!

<講師紹介>
守屋 史章 氏
オプショントレード普及協会 代表理事
宮崎県出身。慶應義塾大学法学部法律学科卒、同法学研究科修士課程修了。個人投資家として企業数社に投資し、ビジネスオーナーを務める傍ら、証券などへの投資をも手掛ける。投資におけるオプション取引を普及させることを目的に、金守遼太氏と共同でオプショントレード普及協会を設立。短期トレーディングから長期運用まで幅広い投資ニーズをかなえる資産運用を研究している。「オプションについて話せる仲間が見つからない」という孤独になりがちな投資の研究と意見交換を行える会員制のメンバーシップを中心に、個人投資家目線だからこその目からウロコの独創的アイデアと分かりやすい解説で、「わかる」「できる」をサポートする。