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利用方法(先物)

リスクヘッジ

先物取引を利用することで、保有している金融資産が価格変動により被る損失を回避することができます。これが価格変動リスクのヘッジ機能です。
例えば、複数の株を保有しているが先行き株式相場が下落することが予想される場合、先物取引において売りポジションを保有します。実際に、株式相場が下落した場合、価格変動で発生したポートフォリオの損失は、先物の売りポジションから得られる利益で相殺することができます。(売りヘッジ)
また、将来に株式取得を計画しているが、先行き株式相場が上昇することが予想される場合、先物取引において買いポジションを保有します。実際に、株式相場が上昇した場合、先物取引を転売して得た利益を株式取得の購入資金に加えることができ、株式相場の上昇により計画していた株式が購入できなくなるという機会損失をカバーすることができます。(買いヘッジ)
先物取引は、取引コストが低いことからヘッジ手段として有効に利用することができます。

スペキュレーション

相場の動きを予想してポジションを取り、予想どおりの方向に動いたときに、反対売買を行って利益を確定する。「単純取引」とも言われる最も基本的な売買手法です。
スペキュレーションを行う投資家は、多様な投資判断で参加していることで、市場における価格発見機能を向上させたり、リスクを取り投資をしていることで、リスクヘッジを行おうとする投資家のリスクの移転先となるなど、重要な役割を果たしています。

裁定取引(アービトラージ)

値動きの相関性が高い商品間で、割高なものを売り割安なものを買うという2つの取引を同時に行う取引です。その後、割高なものが値下がりするか、割安なものが値上がりして正常(適正)な価格差に戻ったらそれぞれを反対売買して利益を確定しようとします。
裁定取引が活発に行われることにより、原資産と先物取引との価格の歪みが是正され、適正な先物価格が維持されるとともに、市場に流動性が供給されています。裁定取引は、市場参加者に適正な価格で、いつでも売買ができる環境を作るという、役割を果たしています。

理論価格と裁定取引

裁定取引の1つに、先物と原資産の価格差から利益を上げようとする取引があります。これは実際の先物価格と先物の理論価格との価格差が一定水準以上に乖離した場合、例えば原資産である株と先物のうち割高な方を売り付け、割安な方を買い付けることにより利益を取ろうとする取引です。具体的には、以下のような関係になります。

先物理論価格と実際の先物価格との関係

1. 先物理論価格<実際の先物価格 → 先物:売建、株:買付
2. 先物理論価格>実際の先物価格 → 先物:買建、株:売付

1. を「買い裁定」、2. を「売り裁定」といいます。先物と株の価格差が理論価格の水準に戻った時点で先物と現物両方のポジションを解消することにより、一定の利益を確保することができます。