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2015/09/14 東証 特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求 —(株)東芝—

 

以下のとおり、特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。

1.銘柄 株式会社東芝 株式
(コード:6502、市場区分:市場第一部)
2.特設注意市場銘柄指定日 2015年9月15日(火)
  条文 有価証券上場規程第501条第1項第2号a
(有価証券報告書等に虚偽記載を行い、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため)
3.上場契約違約金金額 9,120万円
  条文 有価証券上場規程第509条第1項第1号
(開示された情報の内容に虚偽があり、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため)
4.理由 株式会社東芝(以下「同社」という。)は、工事進行基準に係る会計処理について調査を要する事項が判明したため本年4月3日に特別調査委員会を設置し、さらに工事進行基準に係る会計処理以外にも範囲を拡大して調査を要する事項が判明したため5月22日には第三者委員会にその調査を委嘱しました。
この第三者委員会による調査が7月中旬まで行われる見通しであったことから、同社は平成27年3月期の有価証券報告書に係る提出期限を6月30日から8月31日に延長することについて、関東財務局長に申請し、承認を受けました。
同社は、7月20日に第三者委員会より受領した不正会計に関する調査報告書に基づき過年度決算の訂正作業を進めていましたが、その後さらに複数の子会社において会計処理の適切性について調査を要する事項が判明したこと等から、平成27年3月期の有価証券報告書に係る提出期限を9月7日まで再延長することについて申請し、承認を受けるに至りました。
以上の経緯を経て、同社は、9月7日に平成27年3月期の有価証券報告書を提出するとともに、平成22年3月期から平成27年3月期第3四半期までの期間における有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を提出しました。また、同日、平成27年3月期の決算短信を開示し、翌8日には、平成22年3月期から平成27年3月期第3四半期までの期間における決算短信及び四半期決算短信の訂正を開示しました。

これらにより、同社において、平成21年3月期から平成27年3月期第3四半期にかけて損失の先送り等の不正会計が行われており、継続事業税引前利益が累計で2,248億円、当期純利益が累計で1,552億円過大に計上されていたこと等が判明しました。

同社では、短期的な利益計上を過度に求めるあまり、経営陣から事業部門に対して、通常の事業活動を進めていく中では達成困難と考えられる損益改善要求が行われており、事業部門はそれに応える形で引当金の計上先送りやパソコン等の製造委託先に対する部品の押込販売に伴う利益計上等の不正会計を行っておりました。また、経営陣から事業部門に対する不正会計の継続又は拡大の指示と受け止められ得る行動も認められました。
本来、同社において業務執行の監督又は監査の役割を担うべき取締役会や監査委員会は、業務実態の把握及び事業部門との情報連携が不十分であったこと等により、不正会計が行われていることを的確に認識して議論することがありませんでした。また、一部の取締役や監査委員が不正会計の端緒について把握していた場合においても、それが共有されませんでした。こうしたことから、取締役会及び監査委員会は、事業部門に対して速やかに不正会計を是正させる行動をとることがなく、結果として、同社において長年にわたり不正会計が継続されることになりました。
加えて、不正会計が行われた背景として、財務部及び経営監査部等のモニタリング機能を発揮すべき部門がその機能を十分に発揮していなかったこと、及び、全社的に適正な会計処理を行うことに対する意識が希薄であったこと等が認められました。

以上のように、同社は、内部管理体制等において深刻な問題を抱えており、当該内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することといたします。

また、本件については、同社における内部統制の機能不全により、不正会計が長年にわたって継続されていた事実を踏まえると、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることといたします。
特設注意市場銘柄指定状況
特設注意市場銘柄指定履歴
上場契約違約金徴求銘柄

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株式会社東京証券取引所 上場部ディスクロージャー企画グループ
電話:03-3666-0141(代表)