JPXからのお知らせ
2025/01/15 JPXJSCC DRR及びCDMを活用した規制報告のグローバル標準化への取組みについて
日本証券クリアリング機構(以下「JSCC」という)は、ISDA(※1)がグローバルで推進する「DRR(Digital regulatory reporting)」 及び FINOS(※2)がオープンソースとして管理する「CDM(Common Domain Model)」を活用した規制報告の新たなグローバル標準化の枠組みへの対応として、2025年6月から金融庁(日本の規制当局)及び CFTC(米国の規制当局)への規制報告について本番並行稼働を開始する計画です。
世界の清算機関及び日本の金融機関において、DRR及びCDMの本番環境への導入をアナウンスする初めての事案となります。
JSCCは、2024年8月に実施したDRR/CDMの導入検証に先立ち、2023年10月にThe Linux Foundationへ加入、2024年に6月にはFINOSへ加入し、業界横断でグローバルワイドに共用できるオープンソースソフトウェア(OSS)やエコシステム型のシェアードソリューションの可能性/将来性について、様々な国の主要な金融関連機関と広く議論や実証実験を進めて参りました。2024年9月に米国ニューヨークで開催されたFINOS総会「Open Source in Finance Forum」では、JSCCのこれまでの先見性のある取組みが評価され「Trailblazer賞」を受賞しています。
JSCCの小沼CEOは次のようにコメントしています。
「最初に、DRR/CDMという先進的なグローバル標準ソリューションにこれまで取り組んでこられたISDA、FINOS及び開発者など全ての皆さまに敬意とお礼を申し上げたい。今回、清算機関という立場でDRR/CDMの導入計画を公表できることをとても嬉しく思います。JSCCは今後も中長期的な視点を持ち、世界の金融市場の先進化や安定化に資するようなグローバル標準化アプローチやオープンソースによるエコシステム化などの取組みには積極的に取り組んでいきたいと考えています。」
ISDAのスコット・オマリアCEOは次のようにコメントしています。
「JSCC が、ISDAのDRRを規制当局への報告プロセスの一環として採用することを、大変喜ばしく思います。ISDAのDRRは、業界が合意した報告ルールの解釈をCDMを用いてコード化することで、デリバティブ取引の報告に、より高い効率性、自動化、正確性、一貫性をもたらします。ISDAはDRRを通じて、9つの主要な法域における11の報告ルールをサポートすることを約束しており、JSCCがDRRを導入するにあたり、協働できることを楽しみにしております。」
FINOSのエグゼクティブディレクター兼Linux Foundation EuropeのGMであるGabriele Columbroは、次のようにコメントしています。
「JSCCのようなグローバルな市場インフラで重要な役割を担う企業がFINOSコミュニティに参加し、CDMを迅速に導入したことを大変誇りに思います。2023年にOpen RegTechイニシアチブの一環としてオープンスタンダードになって以来、CDM は規制関連のアプリケーションとして主要な金融機関に広く採用されています。この勢いが続く中、より多くの企業が、幅広いビジネスユースケースでCDMの導入を加速させるために、オープンソースのツールに投資していくと予想しています。」
2025年6月の本番並行稼働においては、IRS(金利スワップ)における金融庁及びCFTCへの取引報告について、本番データを用いた現行システムとの比較検証を開始するとともに、本番並行稼働の開始以降も、CDS(クレジットデフォルトスワップ)に係る規制報告への拡大、並びに、DRRの機能拡張(今後ISDAで計画している対象規制当局の拡大等)への対応を順次進めます。
加えて、CDMは未来志向型の設計フレームワークにより、将来の金融システムの革新的な進化に繋がる可能性もあることから、JSCCは今後も継続して中長期視点に立った実証実験等でCDMの活用範囲を探ってまいります。
ISDAの概要
1985年の設立以来、ISDAは世界のデリバティブ市場をより安全かつ効率的にするための取り組みを続けています。現在、76か国から1,000を超える機関がISDAに加盟しています。会員には、事業法人、投資運用会社、政府機関や国際機関、保険会社、エネルギー・コモディティ関連企業、銀行、証券会社など、多岐にわたるデリバティブ市場の参加者が含まれています。さらに、取引所、仲介業者、清算機関、データリポジトリといった市場インフラ機関に加え、法律事務所、会計事務所、その他のサービスプロバイダーも加盟しています。
ISDAやその活動に関する詳細は、以下の公式ウェブサイトをご覧ください。LinkedInやYouTubeでも情報発信しておりますのでフォローをお願いします。
ISDA
FINOSの概要
FINOS (The Fintech Open Source Foundation) の使命は、金融サービスにおけるオープンソース、オープンスタンダード、共同ソフトウェア開発手法の採用を促進することです。FINOSは、オープンソース開発者と金融サービス業界が、ビジネスオペレーションに永続的な影響を与える新しいテクノロジープロジェクトを構築するための中心地です。規制に準拠したプラットフォームとして、競合する組織の開発者が、相互利用を強く志向したプロジェクトで協力できるようにします。バイサイド/セルサイド両方の企業からのコードベースのコントリビューションを可能にし、50以上の主要な金融機関、フィンテック企業、テクノロジーコンサルタントがメンバーに加わっています。FINOSは、世界最大の共有テクノロジー組織であるLinux Foundationに属しています。詳細は以下をご覧ください。
FINOS
本件に関するお問合せ先
株式会社日本証券クリアリング機構 清算IT戦略部
電話:03-3665-1234(代表)