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JPXからのお知らせ

2026/04/28 JPX 中期経営計画2027におけるAI利活用の進展について

 

日本取引所グループ(以下「JPX」)は、投資者や上場会社をはじめとする多様なステークホルダーに対し、それぞれが重視する価値を提供するとともに、市場の公正性・透明性を確保し、安心・信頼の市場を持続的に構築していくことを目指しています。こうした考え方のもと、JPXは2025年度から開始した「中期経営計画2027」において、AI等の先端技術を積極的に活用する方針を掲げ、これを経営上の重要な施策の一つとして位置付けています。
このたび、JPXにおけるこれまでのAIにかかる取組みをご紹介するとともに、今後の展望をお知らせします。

1. ‘日本市場の魅力を伝える’ – 新たな発見をAIで支援

投資判断に活用される上場会社関連情報は、定性情報が中心であることに加え、情報量や種類の増加、さらには言語の壁も相まって、国内投資家及び海外投資家の双方にとって情報の探索や理解に大きな負担が生じています。このため、人手ですべての情報を把握することは、従来にも増して困難になりつつあります。JPXでは、こうした課題に対応するため、生成AIを活用した情報提供サービスを段階的にローンチし、情報量の多さや言語の違いといった障壁の低減を図ることで、市場参加者にとって分かりやすい市場環境の整備を進めるとともに、新たな投資機会の発見を支援しています。これら生成AIを活用した新しい情報提供サービスについては、今後も拡充を続けていく予定です。あわせて、開発プロセスにAI駆動開発を取り入れることで、本番環境への提供を迅速化しつつ、品質の向上との両立を図りながら、引き続きサービス提供を進めてまいります。

生成AIを活用したサービス例

JPX Market Explorer

上場会社の財務情報や事業概要を多言語で分かりやすく整理・提供し、国内外の市場利用者が幅広い銘柄情報を効率的に把握できるサービスです。

JPxData Portal

生成AIを用いて開示資料や決算短信を分析し、キーワードや事業内容に基づくタグ付けを行うことで、企業名が不明な場合でもサービスや商品名を起点とした検索・比較を可能とするサービスです。

J-LENS

開示資料を対象としたAI検索機能を提供し、自然な言葉(文章)で必要な情報を検索できるサービスです。

 

上記のサービスは提供開始以降、想定を上回る関心を集め、利用は着実に広がっています。実際のアクセス状況や検索動向からは、市場参加者の情報活用ニーズの高さがうかがわれており、こうした利用実態を踏まえながら、機能改善やコンテンツの拡充を継続的に進めています。今後も、利用者の声やデータに基づく改善を重ねることで、より価値の高い情報提供を実現していくことを目指しています。
また、これらの生成AIの活用による上場会社関連情報の可視性向上と並行して、現在更改を進めているTDnetの関連サービスとして、開示資料の準備・作成行程を含む一連のフローにおける上場会社が行う作業を支援する、AI技術等を活用した新たなサービスの提供を企画しています。これにより、適時かつ分かりやすい情報開示を支援し、市場全体の透明性と信頼性の向上に資することを目的としています。

2. ‘安全な投資環境の追求’ - AIを用いた市場の信頼性の向上

市場の公正性及び信頼性の確保・向上をミッションとする日本取引所自主規制法人では、2018年から相場操縦行為等の不公正取引の調査を行う売買審査業務にAIを活用しています。AIによるスコアリングを参照することを通じて、担当者がより高度な分析・審査に注力することが可能となりました。また、売買審査業務におけるAIの運用に際しては、継続的な精度検証を行いつつ必要な改善を行うことにより、絶えず変化する市場環境に適用できるよう取組みを続けています。さらに、足元における生成AIの発展等を踏まえて、より広範な業務におけるAIの活用を進めるとともに、部署横断的なAI活⽤等による自主規制業務の⾼度化・効率化に取り組んでいます。
上場審査業務では、新規上場申請会社における不正リスクに関する情報収集・分析能⼒の向上に向けたAIの活用に取り組んでいるほか、上場管理業務及び考査業務においては、上場会社や証券会社における法令諸規則の遵守状況の分析へのAI活用が進んでいます。
これらに加えて、資料作成等の日常業務の効率化や各業務における担当者間での知見の共有等にも生成AIを積極的に活用することで、市場の公正性及び信頼性の確保・向上に向けて自主規制機能全体の高度化・深化を推進しています。

3. ‘AIとともに進化するJPX’ - 組織への浸透と人材育成

前述した取組み以外にも、JPXでは数多くのAI関連案件が進行しています。こうしたAI関連案件を支えるのが、2025年度から発足した全社的なAI推進体制です。山道CEOを推進委員長とする「AI推進委員会」のもと、経営層が方針・優先順位を確認しながら、全社横断でAI利活用を推進しています。加えて、総合企画部、IT企画部及びITビジネス部がAI推進事務局を担い、各部室からその部室のAI案件の取りまとめを担うAI推進担当者を選任することで、現場起点でのAI活用を促進しています。事務局は、各部室の取組みを把握・支援するとともに、経営層へ適宜報告を行い、全社横断での推進を図っています。
この体制のもと、内製開発での生成AIアプリ及びMicrosoft 365 Copilotなどの汎用ツールの社員への配付によるAIの利用環境の整備や、人材育成といった取組みを行うことにより、社員がAIを「使う側」としてのスキルや知見を蓄積し、より付加価値の高い業務に注力できる環境づくりを進めています。社内アンケートではAIにより1人当たり月平均で約12時間の業務削減効果が創出されているとの結果を得ており、JPXにおけるAI活用推進が生産性向上及び価値創造力の基盤整備に実質的に寄与していることが示されています。
JPXは今後も、AIを活用した業務変革と人材育成を一体的に進めることで、公共性の高い市場インフラを担う組織としての専門性と魅力の向上を図っていきます。

4. 日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEO 山道 裕己のコメント

JPXは、中期経営計画2027において、AI等の先端技術の積極的な活用を主要施策の一つに掲げ、業務効率化にとどまらず、業務の質の向上や新たな付加価値の創出につなげる基盤としてAIを位置付けています。これは、金融・資本市場を支える中核インフラとして、市場の安定運営と信頼性を最優先にしつつ、投資家や上場会社をはじめとする多様なステークホルダーへの価値創造を実現するための取組みです。
これまでJPXでは、生成AIを活用した情報提供サービスの高度化や、市場運営・自主規制機能の効率化、全社的なAI推進体制の整備を進めてきました。これらは、市場参加者の負担軽減のみならず、市場の透明性・信頼性の向上や社内の生産性向上を通じて、経営基盤の強化に寄与しています。
今後もJPXは、安全性・信頼性を最優先に、進化するAI等の先端技術を的確に取り込み、市場の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

お問合せ

株式会社日本取引所グループ AI推進事務局
電話:03-3666-1361(代表)