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マーケットニュース

2026/08/26 東証OSE moomoo証券株式会社に対する処分等について

 

moomoo証券株式会社(以下「同社」という。)に対して、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」という。)及び株式会社大阪取引所(以下「大阪取引所」という。)が、下記のとおり処分を行うとともに、業務改善報告書の提出を請求しましたので、お知らせいたします。
なお、本件は、日本取引所自主規制法人の審議結果に基づき決定したものです。

1.内容

東京証券取引所における処分

  • 戒告

大阪取引所における処分

  • 戒告

2.理由

同社は、2023年10月から、個人向けにインターネット取引サービス(以下「ネット取引」という。)を開始し、国内上場株式(国内上場投資信託を含む。以下同じ。)、米国上場株式、米国上場投資信託(以下「米国ETF」という。)及び米国上場指標連動証券(以下「米国ETN」という。)の売買の取次ぎ等のほか、公募投資信託の募集の取扱い等を行っている。
また、同社は、2024年1月から、少額投資非課税制度(以下「NISA」という。)による金融商品の提供を開始し、ネット取引を通じ、NISAの対象商品として、米国上場株式及び米国ETFの売買の委託の取次ぎ等を行っている。
なお、同社は、ネット取引開始以降、株式の買付代金の贈呈などを内容とする口座開設のキャンペーン等を展開することにより、新規の口座開設者数を増加させている。
こうした中、証券取引等監視委員会による検査において、同社の業務運営の状況について検証したところ、以下の問題が認められた。

(1)NISAの対象商品に係る登録業務等における不適切な業務運営

① 米国ETF及び米国ETNの契約の締結に関し、顧客に対して虚偽のことを告げる行為
租税特別措置法及び租税特別措置法施行令等においては、上場投資信託(ETF)などがNISAにおける成長投資枠の対象商品と規定されている一方、外国社債券であって、その償還価額が特定の指標に連動することを目的とする上場指標連動証券(ETN)などが対象外商品とされている。また、NISAの対象商品の除外要件として、毎月分配型又はヘッジ目的等以外のデリバティブ取引が利用されている投資信託等が規定(以下、対象外商品と併せて「本件除外要件等」という。)されている。
こうした中、同社では、NISAの対象商品をシステムへ登録する業務を担当する部署(以下「担当部署」という。)において本件除外要件等を正確に認識しておらず、内部規程にも本件除外要件等の定めを設けていなかったことから、2025年2月21日から同年5月27日までの間、少なくとも米国ETF及び米国ETNの計77銘柄(以下「本件銘柄」という。)に関し、本件除外要件等に該当するにもかかわらず、自社ウェブサイト又はアプリを通じて、顧客が閲覧可能なネット取引の注文画面において、NISAの対象商品である旨の事実と異なる内容を告げて、販売を行った。
その結果、59顧客(以下「本件対象顧客」という。)が、本件銘柄のうち25銘柄について、NISA口座において売買を行った。
その後、同社は、顧客からの問合せを受けて上記の行為を把握し、2025年5月27日にNISAの対象商品としての販売を停止等したが、内部規程の見直しやチェック態勢の構築といった実効性のある改善策を策定しなかったことから、2025年11月19日から2026年1月14日までの間、本件除外要件等に該当する米国ETF1銘柄に関し、本件銘柄と同様、事実と異なる内容を告げて、当該銘柄の販売を行ったことが、今回検査において判明した。
その結果、1顧客が、上記1銘柄について、NISA口座において買付けを行った。

同社における上記行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第1号に規定する「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。

② 本件対象顧客に対して著しく杜撰な対応を行っている状況
同社は、内部管理統括責任者を中心に本件対象顧客への対応を検討した結果、2025年6月10日、本件対象顧客に対し、課税口座(特定口座もしくは一般口座)への振替又は約定の取消処理の選択が可能なことなどについて通知(以下「本件通知(ⅰ)」という。)を行った。
その後、同社は、自社システムの仕様により特定口座への振替ができないことを把握したため、再度、2025年7月4日に本件対象顧客に対し、一般口座へのみ振替が可能なことなどについて通知(以下「本件通知(ⅱ)」という。)を行った。
本件通知(ⅰ)及び本件通知(ⅱ)の時点において、同社は、本件対象顧客の成長投資枠に係る年間投資枠について個別に是正していく一方、複数の本件銘柄を保有する顧客について、課税口座へ振替えるか約定の取消しをするかどちらか一方しか選択させず、当該顧客が銘柄ごとに区々の処理を希望しても対応しない方針を決定したとしている。
しかしながら、同社は、上記決定の内容について、顧客の判断や税務申告に影響を及ぼす情報であるにもかかわらず、個別に同社に問合せを行った一部の顧客を除き、本件対象顧客に対してこれらの決定を周知していない。
また、同社は、本件対象顧客に対する今後の対応を検討する際、システムでの対応の可否といった基本的な確認を怠り本件通知(ⅰ)を行ったほか、特定口座への移管を希望した顧客への代替案などを何ら検討しないまま、システムの仕様により一括処理ができないという自らの都合のみを理由として特定口座への移管を行わないことを決定し、本件通知(ⅱ)を行った。
上記のとおり、同社においては、本件対象顧客に対して著しく杜撰な対応を行っている。

③ 本件対象顧客に対して異なる対応を行っている状況
同社は、年間投資枠を是正するとしているところ、2025年7月、本件対象顧客のうち1顧客からの要望を受け、当該顧客の年間投資枠を是正している一方で、人的リソースが不足していることから、検査基準日(同年8月25日)時点においても、当該顧客以外の年間投資枠の是正に向けたスケジュールや具体的な対応方法等について検討を行っていない。
その結果、上記1顧客以外の本件対象顧客である58顧客の年間投資枠を2025年12月まで是正しておらず、本件対象顧客に対して異なる対応を行っている。

同社における上記の状況は、担当部署及び内部管理部門の法令等諸規則の理解が不足していることに起因し、顧客に対して本件除外要件等に該当する金融商品をNISAの対象商品である旨の事実と異なる内容を告げて販売するという専ら同社の責めに帰すべき事由により発生したものであり、本来、迅速かつ適切な顧客対応が図られるよう万全を期すべきである。
しかしながら、同社は、新商品・新規サービスの導入などの業容の拡大を優先する一方で、顧客への影響を考慮する意識が不足していることから、上記②及び③のとおり、著しく杜撰な対応、かつ、顧客間での異なる対応を行っており、NISAの対象商品に係る登録業務等における不適切な業務運営を行っているものと認められる。

(2)有価証券等管理業務に係る善管注意義務違反

同社は、有価証券等管理業務として、株式会社証券保管振替機構に口座を開設し、口座管理機関として振替制度で取り扱う国内上場株式及び公募投資信託(以下「株式等」という。)の振替業務を行っている。
株式会社証券保管振替機構では、「社債、株式等の振替に関する法律」に基づき、「株式等の振替に関する業務規程」等を定めているところ、当該規程等において、口座管理機関は、顧客から株式等の入庫(他社の証券口座から同社の当該顧客名義の証券口座に有価証券を移管することをいう。以下同じ。)及び出庫(同社の証券口座から他社の当該顧客名義の証券口座に有価証券を移管することをいう。以下同じ。また、入庫と併せて、以下「入出庫」という。)の申請があった場合、申請に基づく対応を行わなければならないとされている。
こうした中、同社は、新商品・新規サービスの導入などの業容の拡大を優先する一方で、法令等諸規則を遵守する意識の徹底が不十分であり、振替業務に係る法令等諸規則の理解が不足していることから、顧客からの入出庫の申請に基づく対応はあくまでサービスの一環にすぎず、申請に応じないことも許容されると誤認するなど、2024年4月以降、国内上場株式に関し、顧客からの出庫の申請を一律に受け付けていない(国内上場株式に係る株式公開買付が行われる場合を除く。)。
また、同社は、2024年9月以降、公募投資信託に関し、同社及び他社でも取り扱っている商品であり、入出庫の対応が可能であるにもかかわらず、顧客からの入出庫の申請を一律に受け付けていない。
更に、同社は、遅くとも2024年4月以降、自社ウェブサイトにおいて、国内上場株式の出庫が可能となるよう対応する予定である旨を表示しているにもかかわらず、検査基準日時点においても、システム開発計画の策定や予算措置などの出庫の実現に向けて必要な対応を何ら行っていない。

同社においては、顧客の有価証券の移転を管理する口座管理機関としての責務を果たすことが求められるところ、上記行為は、顧客のために善良な管理者の注意をもって、有価証券等管理業務(振替業務)を行っておらず、金商法第43条に規定する「善良な管理者の注意義務」に違反するものと認められる。

(3)疑わしい取引の該当性を検討・判断していない状況

同社は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯収法」という。)に基づき、疑わしい取引の該当性を検討・判断し、疑いがあると認められる場合には、疑わしい取引の届出(以下「届出」という。)を行うことが求められている。
しかしながら、同社は、法令等諸規則を遵守する意識の徹底が不十分であり、口座開設業務の開始以降、届出業務に係る法令等諸規則の理解が不足していることから、口座開設を謝絶等した顧客とは取引関係が生じておらず、疑わしい取引の該当性を検討する必要性はないと誤った認識をしていた。
このため、同社では、2023年9月から2025年7月17日までの間、口座開設を謝絶等した少なくとも延べ1,531顧客に関し、疑わしい取引の該当性を検討・判断していない状況となっている。

同社における上記の状況は、本来届出を行うべき取引の届出がなされていないことが懸念され、犯収法に違反する可能性があるものと認められる。

(4)金融商品取引業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況(サイバーセキュリティを含むシステムリスク管理態勢が不十分な状況)

① システムリスク評価等が不十分な状況
同社においては、システムリスク評価に係る内部規程の整備が不足していることから、一部の基幹システムが情報資産の台帳に明記されていないなど、重要な情報資産におけるシステムリスク評価が十分に行われていない。また、システムリスク評価及びシステム監査等で特定された課題への対応状況について、一元的・整合的な進捗管理が行われておらず、システムリスクに係る課題管理が十分に行われていないなど、システムリスク評価等が不十分な状況となっている。

② サイバーセキュリティ管理が不十分な状況
同社においては、サイバーセキュリティ管理に係る内部規程の整備が不足していることや台帳の整備が不足していることから、ハードウェア及びソフトウェア等の構成情報が適切に管理されていないほか、脆弱性診断等により判明した脆弱性について、業務への影響分析や対応の優先順位付けを実施しておらず、脆弱性に対するリスク対応が十分に行われていない。また、サイバー攻撃を想定したコンティンジェンシープランの実行性を確保するための対応が十分に行われていないなど、サイバーセキュリティ管理が不十分な状況となっている。

③ システム障害管理・問題管理が不十分な状況
同社においては、システム障害管理に係る内部規程の整備や適切な人的リソースを配置していないことから、システム障害の適切な記録、根本原因の究明及び傾向分析が十分に行われておらず、システム障害管理・問題管理が不十分な状況となっている。

④ システムリスクに係るモニタリングが不十分な状況
同社では、内部規程において、各部門の情報管理責任者が、情報セキュリティ管理の状況を確認すると定めているものの、当該確認が実施されておらず、各部門の情報セキュリティ管理の実態を適切に把握していないなど、システムリスクに係るモニタリングが不十分な状況となっている。

⑤ システム監査が不十分な状況
同社においては、システム監査の人的リソースの不足により、システム監査の指摘事項に対して実効性のあるフォロー・アップが行われていないことから、指摘事項が改善されないまま同様の指摘を再度受けるなど、システム監査が不十分な状況となっている。

⑥ システムリスクに係るガバナンスが不十分な状況
同社では、情報セキュリティ委員会(委員長は代表取締役社長)を設置しており、同委員会が、情報セキュリティ管理に関する内部規程の整備、管理態勢の構築及び各部門における情報セキュリティに関する状況の確認など、ITガバナンスの中心的な役割を担っている。
こうした中、情報セキュリティ委員会は、上記①、③及び④の状況を把握しているにもかかわらず、改善に向けた対応を指示しておらず、問題が継続した状況を放置している。
また、同社経営陣は、ネット取引のサービス開始から数年が経過し、加えて、上記のとおり、情報セキュリティ委員会を通じて、システムリスク管理態勢に係る課題を把握しているにもかかわらず、適時・適切に対応を指示していない。
以上のことから、同社においては、システムリスクに係るガバナンスが不十分な状況となっている。

同社における上記①から⑥の業務運営の状況は、投資者保護に支障を生ずるおそれがあり、金商法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第14号に規定する「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当するものと認められる。

上記(1)~(4)の状況等は、同社において、(ア)経営管理態勢及び(イ)内部管理態勢が不十分なことに起因しているものと認められる。

(ア)経営管理態勢が不十分な状況
同社経営陣は、新規の口座開設の獲得等に向けた取組に注力するなど、営業施策を優先する一方で、コンプライアンスの実践計画(コンプライアンス・プログラム)の策定・見直しに適切に関与していないなど、役職員のコンプライアンス意識の醸成・向上に向けた十分な取組を行っていない。また、新たにネット取引(口座開設サービスを含む。)を提供し、新商品・新規サービスを導入するにあたって、幅広い観点からリスク評価を行うため、業務や法令等諸規則、サイバーセキュリティを含むシステムリスク管理に精通した十分な人的リソースを配賦するなど、適切な経営管理機能を発揮すべきところ、適切な内部規程の作成・管理やコンプライアンス研修等による人材育成といった法令遵守を徹底するために必要な措置を怠っているほか、下記(イ)に記載のとおり、同社において実効性のある内部管理態勢を構築しておらず、同社の経営管理態勢は不十分な状況にあるものと認められる。

(イ)内部管理態勢が不十分な状況
同社では、上記(ア)に記載のとおり、法令等諸規則を遵守する意識の徹底が不十分であり、内部管理部門の法令等諸規則の理解が不足していることから、内部規程の見直しが必要な場合であっても適時に見直しを行っていないほか、新商品・新規サービスの導入時等において、システムでの対応の可否や、法令等諸規則を遵守する観点からの十分な確認が行われていない。また、同社においては、サイバーセキュリティを含むシステムリスク管理に精通した十分な人的リソースが不足しているほか、必要な内部規程が整備されておらず、システムリスクの特定・分析・評価やサイバーセキュリティ対策を含めた業容に応じた適切な管理態勢が十分に構築されていない。さらに、同社においては、上記(2)の株式等の振替業務に関連する苦情等が多数寄せられていたにもかかわらず、その対応に向けた具体的な検討が行われていないなど、苦情等に対して迅速かつ適切に対処しておらず、同社の内部管理態勢は不十分な状況にあるものと認められる。

同社における上記のような業務運営の状況は、投資者保護上重大な問題があり、金商法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

また、取引参加者である同社は、上記のとおり、不十分な経営管理態勢及び内部管理態勢を原因として、(1)~(4)の広範な法令諸規則違反等を発生させており、かかる行為は取引資格に対する信用を毀損する「著しく不注意な事務処理」に該当し、東京証券取引所取引参加者規程第42条第2号及び大阪取引所取引参加者規程第51条第2号に規定する「取引の信義則に背反する行為」に該当するものと認められる。

お問合せ

株式会社東京証券取引所 株式部取引参加者室
電話:03-3666-0141(代表)