コーポレート・ガバナンス

基本的な考え方

当社は、次の企業理念を定め、我が国市場の中核インフラとしての社会的使命を果たすことを目指しています。

<企業理念>
私たちは、公共性及び信頼性の確保、利便性・効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供により、市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献します。
私たちは、これらを通じて、投資者を始めとする市場利用者の支持及び信頼の増大が図られ、その結果として、利益がもたらされるものと考えます。

当社は、当社の企業理念に沿った経営を実践するためには、ステークホルダーによる当社の企業理念・企業活動への理解が重要と考えています。したがって、当社は、ステークホルダーが当社を理解し、当社への信頼性を高めることができるよう、以下の4つの観点から、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を定めています。

(1) 企業理念・社会的使命
当社グループが運営する市場は、公共の財産であり、当社の社会的使命は、その持続的発展を図ることにあります。

(2) 市場運営
当社グループは、その開設する市場に対する支持と信頼こそが、投資者を始めとするすべての市場利用者に共通する利益であり、その維持・向上こそが市場の持続的発展の基礎であるという考え方で市場を運営します。

(3) 企業価値向上
当社が、市場の持続的発展を図るに当たっては、株主を始めとする多様なステークホルダーの期待に応え続けることが必要であり、それによって、当社の中長期的な企業価値の向上を実現します。

(4) コーポレート・ガバナンスの実効性
当社は、市場の持続的発展を支えるため、そのコーポレート・ガバナンスについて、より実効性が高く適切に機能するものとなるよう、常に改善を図っていきます。

当社は、上記のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、コーポレートガバナンス・コードの各原則の趣旨を踏まえ、経営陣と独立社外取締役との間で円滑な情報交換と連携を図りながら緊張と協調のある実効性の高いチェック体制を整備するなど当社のコーポレート・ガバナンスを適切に構築する方針です。

コーポレート・ガバナンスに関する報告書 PDF

日本取引所グループのガバナンス体制

日本取引所グループのガバナンス体制

取締役会

当社は、株主を始めとするステークホルダーに対するアカウンタビリティの確保が重要であると認識しており、経営の監視・監督機能と業務執行機能を制度上明確に分離し、経営監視・監督機能の強化及び経営の透明性の向上を図ることが当社のコーポレート・ガバナンスの充実により資するものと考え、指名委員会等設置会社形態を採用しています。取締役会は、経営の基本方針・重要事項の決定を行うとともに、経営の透明性及びアカウンタビリティの向上を図り業務執行の妥当性を監督する機能を強化する観点から過半数を社外取締役で構成し、主に以下の監督を行っています。

(1)経営戦略
取締役会は、中期経営計画を含む当社グループの経営戦略が、企業理念に基づき我が国市場の中核インフラとしての社会的使命を果たしつつ、企業価値の向上を目指していくことについて整合的なものであるかを監督しています。その実効性を高めるため、中期経営計画の事業年度ごとのアップデートに係る議論、進捗状況のモニタリングを行うほか、代表執行役グループCEOや主要事業子会社の代表取締役社長と定期的に議論を行っています。

(2)リスク管理
取締役会は、当社グループが市場運営者としてその公共的な役割を果たし、企業価値を持続的に向上させるためには、堅実かつ安定的に業務を運営する体制を維持することが必要不可欠であるとの認識のもと、リスク管理の状況を監督しています。その実効性を高めるため、社外取締役を中心に構成されるリスクポリシー委員会が事業年度ごとにシステムリスクや事故・災害(BCP)リスクなどの重要リスクを特定し、その重要リスクごとの基本的な対応方針を「包括的リスク管理ステートメント」として取りまとめ、取締役会において決議しています。さらに、執行サイドに設置しているリスク管理委員会を通じた全社的なリスク管理状況について報告を受けています。

(3)ESG(サステナビリティ)
取締役会は、当社グループにおけるESG課題への対応にとどまらず、特に上場会社や投資家といった当社グループのステークホルダーが様々な社会課題に対応していくことを、金融・資本市場の観点から後押ししていくことが、サステナブルで豊かな社会の実現に貢献するとの考えのもと、ESG(サステナビリティ)の推進状況を監督しています。その実効性を高めるため、人権方針や気候変動に係る基本方針を取締役会において決議し、それらに沿った対応状況や重要事項等について報告を受けています。


<取締役の選任に関する方針>
当社は、多様なステークホルダーからの意見を経営や市場運営に反映するために、専門知識や経験が異なる多様な取締役を選任することとし、取締役の過半数を独立社外取締役とするとともに、30%以上を女性取締役とするよう努めることを基本方針としています。

また、取締役会として、経営監視・監督機能を十分に発揮するとともに、適切かつ効率的な運営を行う観点から、取締役会は、女性2名を含む16名で構成され、そのうち10名が独立社外取締役となります。(現時点において女性取締役の比率は12.5%ですが、2025年を目途に30%以上とすることを目指しています。)

女性取締役の比率向上のための行動計画 PDF

また、当社の経営戦略や我が国市場の中核インフラとしての当社の事業特性を踏まえ、企業の経営者としての経験、当社の事業に関する知見(金融、テクノロジー等)、財務会計又は監査に関する専門知識、法律又はリスク管理に関する専門知識、高度な学識経験又は政府機関等に関する知見について、当社の取締役に求められる専門性として特定しています。

専門性 考え方
企業経営 当社グループの経営の監督を感度高く実践するためには、企業の経営者としての経験を有する取締役が必要であると考えています。特に、上場会社は当社グループの重要なステークホルダーの一つであることから、上場会社の経営者としての経験を有している取締役が含まれる必要があると考えています。
金融 金融・資本市場の中核インフラの運営を事業とする当社グループの経営を監督するためには、広く金融に関する知見を有した取締役が必要であると考えています。
会計・監査 当社グループの適正かつ効率的な業務執行を監督するためには、財務会計や監査に関する専門知識を有した取締役が必要であると考えています。
法律・リスク管理 当社グループを取り巻く事業環境の変化は激しく、適切なリスク管理の状況を監督するためには、法律やリスク管理に関する専門知識を有した取締役が必要であると考えています。
研究者・政府機関 公共性や公益性に配慮して金融・資本市場を運営しつつ、新しいサービスの創設や情報利用の一層の高度化を志向する当社グループの経営を監督するためには、高度な学識経験や政府機関等における知見を有した取締役が必要であると考えています。
テクノロジー 金融・資本市場の安定的な運営には、取引システム等の安定性・信頼性が不可欠であり、また、データ・デジタル事業の拡大を志向する当社グループの経営を監督するためには、広くテクノロジーに関する知見を有した取締役が必要であると考えています。
役員一覧

指名委員会

指名委員会は、5名の取締役で構成され、うち4名を社外取締役としております。指名委員会は株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案の内容の決定等を行います。

報酬委員会

報酬委員会は、5名の取締役で構成され、うち4名を社外取締役としております。報酬委員会は個人別の役員報酬を決定します。

監査委員会

監査委員会は、5名の取締役で構成され、4名を社外取締役としております。また、監査委員会は、定期的に開催することとし、加えて必要に応じて随時開催できることとしております。

監査に当たっては、監査委員会で決定した監査計画及び職務分担に基づき、会計監査人、内部監査室及び子会社の監査役等と密接な連携をとりつつ、内部統制システムの構築、運用状況を監視検証することにより、効率的な監査を行うこととしております。

内部監査室

当社では、各部室の業務執行が法令、当社の定款及び社内規程等に違反することのないよう担当各部室において牽制体制を構築しておりますが、それに加えて更なる内部統制の充実を図るため、執行役CEO及び執行役COO直轄の内部監査室を設置しています。内部監査室は、各部室の業務に対して、必要な内部監査を実施しており、監査結果を執行役CEO及び執行役COOに報告しております。