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2016/06/16 東証 クレディ・スイス証券株式会社に対する処分について

 

東京証券取引所は、クレディ・スイス証券株式会社に対して、取引参加者規程第34条第1項の規定に基づき処分(過怠金6,000万円の賦課)を行うとともに、同規程第19条第1項の規定に基づき業務改善報告書の提出を請求しましたので、お知らせいたします。

違反行為の概要

(1) 法人関係情報の管理に不備がある状況

同社においては、株式調査部は、同部に所属するアナリストが上場会社に個別取材を行うなど、上場会社をリサーチし、顧客に対し、アナリストレポート等を提供するほか、ヘッジファンドや運用会社等の顧客に対する株式営業部のリサーチ営業をサポートしている。

株式調査本部長は、アナリストに対し、有意義な情報を顧客に対して直接提供することを指導し、2015年1月以降は、アナリスト一人当たり1か月に100件という具体的な数値目標を掲げている。実際に、アナリストは、アナリストレポートのほか、電話や電子メール等によって、上場会社から取材等で取得した情報を顧客や営業員に提供したり、上場会社への個別取材における顧客との同行訪問によって顧客と情報を取得・共有したりしている。

また、同社においては、2015年6月以降、アナリストは自己売買の担当者に対しても顧客と同様に情報の提供を行っている。

アナリストが上場会社から取材等で取得した情報のうち非公表のものには法人関係情報が含まれている可能性があるところ、顧客等に提供する情報の法人関係情報該当性については、アナリスト自身の判断に委ねたまま、株式調査部内においても、コンプライアンス担当者においても、審査がほとんど実施されていなかった。

こうしたことから、2015年9月から10月までの間においては、少なくとも5件の法人関係情報(うち3件はアナリストレポートに掲載)について、法人関係情報該当性の審査がほとんどなされないまま複数の顧客に提供されていた。

同社における上記(1)のような法人関係情報の管理の状況は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められ、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。

(2) 法人関係情報を提供した勧誘

2015年9月、Aアナリストは、上場会社である甲社に対する個別取材において、公表前の半期の連結業績予想(営業利益)に関する法人関係情報(以下「甲社情報」という。)を取得した翌日に、同社営業員1名及び少なくとも1顧客に対し、電話によって甲社情報を伝達している。

そして、甲社情報の伝達を受けた当該営業員が同日中に、少なくとも33顧客に対し、甲社情報を甲社から公表される前に提供して甲社株式の買付けの勧誘を行っていた。

同社における上記(2)のような株式の買付けを勧誘する行為は、有価証券の売買その他の取引等につき、顧客に対して法人関係情報を提供して勧誘する行為と認められ、金融商品取引法第38条第8号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第14号に該当するものと認められる。

お問合せ

株式会社東京証券取引所 株式部 取引参加者室
電話:03-3666-0141(代表)