消費税インボイス制度導入に伴う対応
2023年10月から、消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。
これを受けて、大阪取引所及び東京商品取引所(以下「取引所」といいます。)では、以下の対応を行います。
- 日本国内で消費税の授受を伴う受渡決済を行う先物取引(注)において、受渡しの受方(買主)が仕入税額控除を受けられるように、渡方(売主)は適格請求書発行事業者に限る(個人事業者にあっては事業として行う取引に限る)こととします。
- 消費税法に定める媒介者等による適格請求書等の交付の特例に基づき、渡方(売主)に代わって取引所がインボイスを作成し、受方(買主)に交付することとします。
制度の概要につきましては、制度要綱をご参照ください。
- 商品先物取引において、差金決済により取引を終了した(現物の引渡しを行わない)場合は、資産の譲渡等に該当せず、消費税の課税対象となりませんが、受渡決済のうち日本国内で現物の引渡しを行うものについては、資産の譲渡等に該当し、消費税の課税対象となります。
日本の消費税の概要について
主に国外事業者の方の日本における消費税制度への対応につきましては、「日本の消費税の概要」に取り纏めましたのでご参照ください。ただし、個別具体的な内容につきましては、税理士等の専門家にご相談ください。
「日本の消費税の概要」日本語版 |
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「日本の消費税の概要」英語版 |
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消費税及びインボイスの授受の対象商品
大阪取引所 |
貴金属 |
金標準先物、金限日先物(※)、銀先物、白金標準先物、白金限日先物(※)及びパラジウム先物 |
ゴム |
ゴム(RSS3)先物 |
農産物 |
一般大豆先物、小豆先物 |
東京商品取引所 |
エネルギー |
バージガソリン先物、バージ灯油先物、バージ軽油先物、中京ローリーガソリン先物及び中京ローリー灯油先物 |
受渡しの渡方(売主)となる際の注意事項
対象商品の受渡決済においては、渡方(売主)は適格請求書発行事業者である必要があり、建玉を保有する渡方顧客は、取引参加者を通じて、取引所に対して適格請求書発行事業者としての登録番号を通知していただきます。
一定の期日までにこの通知がない場合、取引参加者において当該売建玉を当該顧客の計算において買戻しにより決済するものとしますのでご注意ください。
取引所によるインボイスの交付
インボイス制度導入後の通常の売買取引では、売主がインボイスを発行して買主へ交付しますが、取引所の受渡決済においては、渡方(売主)に代わって取引所がインボイスを発行し、受方(買主)へ交付します。一方で、渡方には取引所がインボイスの写しとして「精算書」を交付します。
インボイスの発行者は取引所となり、インボイスには取引所の適格請求書発行事業者としての登録番号が記載されます。また匿名性を確保するため、インボイスの原本には渡方情報は記載されず、精算書には受方情報が記載されません。なお、電子交付の方法が採用されます。
インボイスに記載される金額は、約定値段ではなく受渡値段に基づいて計算された額になります。
実施時期
2023年10月の消費税インボイス制度導入に合わせ、それ以降に行われる受渡決済について、インボイスの発行を始めます。
対象商品ごとの対象取引開始日については、上記の制度要綱をご覧ください。
消費税の申告・計算方法について
2023年10月の消費税インボイス制度導入後においては、受渡決済を行った渡方(売主)も受方(買主)も、インボイスに記載された「受渡代金」に基づいて、消費税の課税標準及び支払い対価の額の計算を行うことになります。
適格請求書発行事業者でない投資家への注意喚起
2023年10月以降、適格請求書発行事業者でなければ、受渡決済(消費税の授受を伴う商品に限る)の渡方となることができなくなります。それまでに保有している倉荷証券等についても、2023年10月以降は適格請求書発行事業者の登録を受けていなければ受渡決済で渡すことはできませんので、適格請求書発行事業者となる予定のない投資家の皆様におかれては、保有している倉荷証券等を下表の限月までに受渡決済(売却)することをご検討ください。
<適格請求書発行事業者でない投資家が受渡決済において渡方となることができる限月>
取引所 |
市 場 |
商 品 |
対象限月 |
大阪取引所 |
貴金属 |
金(標準) |
2023年8月限まで |
銀 |
2023年8月限まで |
白金(標準) |
2023年8月限まで |
パラジウム |
2023年8月限まで |
ゴム |
RSS |
2023年9月限まで |
農産物 |
一般大豆 |
2023年8月限まで |
小 豆 |
2023年9月限まで |
東京商品取引所 |
エネルギー |
ガソリン |
2023年9月限まで |
灯油 |
2023年9月限まで |
軽油 |
2023年9月限まで |
中京石油 |
中京ガソリン |
2023年9月限まで |
中京灯油 |
2023年9月限まで |
なお、2023年10月以降も適格請求書発行事業者でない投資家が倉荷証券等を保有することは可能ですが、受渡決済で渡すことはできません。倉荷証券等を処分する場合には、ご自身で買取業者等への売却手続きを行っていただく必要がありますのでご留意ください。