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2019/12/18 東証 特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:ユー・エム・シー・エレクトロニクス(株)

 

以下のとおり、特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。

※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社 株式
(コード:6615、市場区分:市場第一部)
2.特設注意市場銘柄指定日 2019年12月19日(木)
  条文 有価証券上場規程第501条第1項第3号
(開示された情報の内容等に虚偽があり、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため)
3.上場契約違約金金額 4,800万円
  条文 有価証券上場規程第509条第1項第1号及び第3号
(開示された情報の内容等に虚偽があり、また、宣誓書において宣誓した事項に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため)
4.理由 ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社(以下「同社」という。)は、2019年10月28日に不適切な会計処理に関する外部調査委員会の調査報告書を開示し、同日、過年度の決算短信等の訂正を開示しました。
これらにより、同社の中国子会社グループ(以下「同社中国グループ」という。)の各拠点等多数の海外拠点において、同社中国グループの代表者であった同社取締役副社長2名の関与の下、売上及び在庫の水増し、費用の繰延等の多種多様な手法により、利益を過大に計上する不適切な会計処理が、遅くとも同社株式の新規上場以前の2012年3月期から継続的かつ組織的に行われていたことが明らかになりました。その結果、同社は2016年3月の新規上場に伴い開示した2016年3月期から2019年3月期までの決算短信等において虚偽と認められる開示を行い、特に2017年3月期及び2018年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益が6割以上も減少するとともに、2019年3月期には各段階利益の赤字を黒字と偽っていたことが判明しました。さらに、同社は2018年5月に虚偽の決算情報をもとに公募増資を実施しています。
また、同社株式の東京証券取引所本則市場への新規上場申請においては、不適切な会計処理に関与していた取締役副社長が上場準備担当役員を担い、同社は、株式会社東京証券取引所に提出する書類がすべて真実である旨の宣誓書を提出していたにもかかわらず、新規上場申請書類に虚偽の財務諸表を記載していたほか、実態として機能不全に陥っていたガバナンスについても虚偽の内容を記載するとともに、新規上場審査の過程においても虚偽の回答を行っていました。

このような開示等が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・ 創業家出身の代表取締役社長は、絶対的な影響力の下、業績偏重の考えに基づき過大に設定した業績目標の必達を強要する一方で、管理部門を軽視するなど、コンプライアンス意識が著しく欠如していたこと
・ 代表取締役社長のかかる意向を酌んだ2名の取締役副社長が、全権を掌握していた同社中国グループにおいて、従業員に対して過大な業績目標の達成に向けた過度なプレッシャーを課すとともに、不適切な会計処理について自ら指示又は容認したことにより、その内部統制が無効化されていたこと
・ 取締役会は、社外取締役を含め、代表取締役社長の経営方針に対して異を唱えず、また、不適切な会計処理に関与していた取締役副社長の報告を妄信し、何ら疑義を呈さない状況が継続していたほか、監査役会も同社グループにとって否定的な内容の議論を避け続けるなど、牽制機能が欠如し、ガバナンスの機能不全が恒常化していたこと
・ 同社は、管理部門の役割を軽視し、十分な予算配分を行わなかった結果、中国の会計実務を理解した人材が不足するなど、管理部門が適切に機能しない状態が継続していたほか、内部監査部門は、2017年以降、同社の海外拠点を含む全拠点の監査を僅か1名で担う状況となり、改善事項の指摘を行わなくなるなど、内部監査が形骸化していたこと

以上を総合的に勘案すると、本件は、投資者の投資判断に深刻な影響を与える虚偽と認められる開示等が行われたものであり、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することといたします。
また、同社が、ガバナンスの機能不全が恒常化していた中で、2名の取締役副社長の関与の下、多数の海外拠点において長期間にわたり不適切会計を行っていたこと、同社が新規上場承認を得るにあたり、宣誓書に違反して、新規上場申請書類に虚偽の記載をしていたこと及び審査の過程においても当法人に対して虚偽の回答を行っていたことを踏まえると、東京証券取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることといたします。
特設注意市場銘柄指定状況
特設注意市場銘柄指定履歴
上場契約違約金徴求銘柄

お問合せ

株式会社東京証券取引所 上場部 開示業務室 ディスクロージャー企画グループ
電話:03-3666-0141(代表)