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2020/03/11 東証 特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:五洋インテックス(株)

 

以下のとおり、特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。

※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 五洋インテックス株式会社 株式
(コード:7519、市場区分:JASDAQスタンダード)
2.特設注意市場銘柄指定日 2020年3月12日(木)
  条文 有価証券上場規程第501条第1項第3号
(適時開示の規則に違反し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため)
3.上場契約違約金金額 2,000万円
  条文 有価証券上場規程第509条第1項第1号
(適時開示の規則に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため)
4.理由 五洋インテックス株式会社(以下「同社」という。)は、2019年12月5日に2020年3月期第2四半期報告書(以下「四半期報告書」という。)の訂正報告書の提出に関して開示し、2020年3月4日に、かかる四半期報告書の訂正に関する調査委員会の調査報告書を開示しました。
これらの開示等において、
・ 同社が、四半期報告書の法定提出期限である2019年11月14日までに、四半期レビュー上の重要論点とされていた継続企業の前提に関する資料を会計監査人に提出しなかったこと
・ それにより重要な四半期レビュー手続が未了となり、四半期レビュー報告書の結論が不表明となる可能性があったこと
・ かかる状況にもかかわらず、同社内において情報連携が適切に行われず、重要な四半期レビュー手続が未了のまま、2019年11月14日に四半期報告書をEDINETを通じて提出していたこと
が認められました。

また、四半期報告書提出の翌日以降、元代表取締役以下、複数の役員が、会計監査人から、「重要な四半期レビュー手続が未了のまま四半期報告書が提出されているため、直ちに当該手続を終えたうえで訂正四半期報告書の提出が必要である」旨の指摘を繰り返し受けていたにもかかわらず、12月5日の訂正四半期報告書提出までの間、真正な四半期レビュー報告書を添付した四半期報告書が提出されておらず、訂正四半期報告書の提出を要する旨の適時開示を何ら行っていなかったこと(以下「本件不適正開示」という。)が認められました。その結果、同社株式については、同年11月14日から12月5日までの間、要件を満たした四半期報告書の提出が遅延しているにもかかわらず当取引所による監理銘柄(確認中)への指定が行われず、上場廃止のおそれについての投資者に対する適時適切な周知を行うことができなかったことが判明しました。
加えて、同社は、2018年6月4日に過年度決算短信等の訂正を行ったことに関し、当取引所に対し、同年8月7日に改善報告書、2019年2月22日に改善状況報告書を提出したものの、これらにおいて実施する又は実施済みとしていた改善措置のうち、会計監査人との連携強化など、本件不適正開示の防止及び早期発見に有効であった改善措置について、現経営陣によって十分な対応が図られていなかったことが明らかになりました。併せて、同社が2019年3月期の内部統制報告書において「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備あり」と開示したことに関する日本取引所自主規制法人からの照会に対して、同社が取締役会・監査役会の相互牽制等のために実施すると回答していた改善措置のうちの複数について、実際には実施に向けた対応が何ら行われていないことが明らかとなりました。
更に、直近1年間において、本件とは別途、適時開示体制の不備等が原因で適時開示を複数回にわたって失念するなど、上場規則を遵守できていない事案等が散見されました。

これらの背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・ 元代表取締役及び管理担当取締役は、法定提出期限までに会計監査人の重要な四半期レビュー手続が未了であっても、日付を法定提出期限以前に遡及させた四半期レビュー報告書が受領できれば問題ないと考えるなど、コンプライアンス意識が著しく欠如していたこと
・ 元代表取締役及び管理担当取締役は、社外取締役・社外監査役に重要な四半期レビュー手続が未了のまま不適切な四半期報告書が提出されているといった情報を適切に連携しないなど、取締役及び監査役の監督・監査機能を阻害したこと
・ 常勤監査役は、元代表取締役及び管理担当取締役が、会計監査人から適切な対応を図るように繰り返し指摘されていることを把握していたにもかかわらず、知識不足を理由に会計監査人からの指摘に対応するよう求めず、自らの職責を果たす意識が著しく欠如していたこと
・ 元代表取締役及び管理担当取締役には、過去において同社が実施するとしていた各種改善措置の実施により、同社の内部管理体制の継続的な改善を図る当事者意識が欠如しており、加えて、常勤監査役を含む他の役員は、これらの改善措置について必ずしも十分な注意を払わず、元代表取締役及び管理担当取締役の改善策への対応状況を確認しないなど、適切な内部管理体制の構築に対する意識が希薄であり、改善措置の実行・監督が不十分であったこと
・ 同社では、2019年6月末以降、決算・開示業務全般について的確な指示が可能な管理専任の担当取締役が不在となり、また、それらの業務に精通した人員も配置されないなど、管理部門における適切な業務の体制が構築されていなかったこと

本件は、投資者の投資判断に相当な影響を与える開示が適切に行われていなかったものであり、また、本件不適正開示に至った経緯、原因及び同社の過去における上場規則の遵守状況等を鑑みると、同社の内部管理体制等については改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することとします。
また、同社が会計監査人から繰り返し訂正四半期報告書の提出に関する対応を図るように指摘を受けていた中で、元代表取締役をはじめとする複数の役員の不適切な対応又は不作為の結果、同社株式の上場廃止のおそれが周知されなかったこと、加えて、同社が過去に改善報告書の徴求等の措置を受けているにもかかわらず、再度、本件不適正開示を生じさせたことは、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることといたします。
特設注意市場銘柄指定状況
特設注意市場銘柄指定履歴
上場契約違約金徴求銘柄

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