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2020/11/26 東証 監理銘柄(審査中)の指定解除、特設注意市場銘柄の指定、上場市場の変更(市場第一部からマザーズへの変更)及び上場契約違約金の徴求について:ハイアス・アンド・カンパニー(株)

 

以下のとおり、監理銘柄(審査中)の指定解除、特設注意市場銘柄の指定、上場市場の変更(市場第一部からマザーズへの変更)及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。
※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 ハイアス・アンド・カンパニー株式会社 株式
(コード:6192、市場区分:市場第一部)
2.監理銘柄(審査中)指定解除日 2020年11月27日(金)
  条文 有価証券上場規程第601条第1項第12号a
(宣誓書において宣誓した事項に重大な違反を行った場合に該当すると認められないため)
3.特設注意市場銘柄指定日 2020年11月27日(金)
  条文 有価証券上場規程第501条第1項第1号
(当取引所が、上場廃止基準に該当しないと認めた場合であって、当該上場会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたため)
4.市場変更日 2020年12月27日(日)
  条文 有価証券上場規程第315条の8第1項第1号
(一部指定等の申請に係る宣誓書において宣誓した事項について違反を行った場合であって、当該違反に起因して特設注意市場銘柄に指定するため)
5.上場契約違約金金額 3,360万円
  条文 有価証券上場規程第509条第1項第3号
(宣誓書において宣誓した事項に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため)
6.理由  ハイアス・アンド・カンパニー株式会社(以下「同社」という。)は、2020年8月31日、第三者委員会の設置等について開示し、また、同年9月29日に新規上場前からの不適切な会計処理(以下「不適切会計」という。)に関する第三者委員会の中間調査報告書を開示し、さらに、同年9月30日、過年度の決算短信等の訂正を開示するとともに、監査報告書の意見不表明等について開示しました。これらの開示等を受け、同日、当取引所は、同社が提出した新規上場申請及び上場市場の変更申請に係る宣誓書において宣誓した事項について重大な違反を行ったおそれがあると判断し、同社株式を監理銘柄(審査中)に指定しました。
 その後、同社は、2020年10月26日、不適切会計に関する第三者委員会の最終調査報告書及び2021年4月期第1四半期の四半期連結財務諸表について限定付結論の四半期レビュー報告書を受領した旨を開示し、さらに、同年11月16日、新経営体制等について開示しました。

 これらの開示等を受け、以下の状況が明らかとなりました。
・同社が、同社株式の当取引所マザーズへの新規上場申請及びその後の当取引所本則市場への上場市場の変更申請において、当取引所に提出する書類の記載に漏れがなく、かつ、すべて真実である旨の宣誓書を提出していたにもかかわらず、申請書類に虚偽の財務諸表を記載し、審査過程での照会に繰り返し虚偽の書面回答を行い、さらに報告すべき事項が追加発生した際もその報告を怠っていたこと
・一方で、不適切会計による過年度決算の訂正規模は、通期売上高の最大訂正額でも17百万円の減額にとどまるなど、財務数値の虚偽の程度は限定的であり、新規上場及び市場変更に係る数値基準の未達もなかったと考えられること、また、訂正後の過年度の財務諸表に対する監査意見は意見不表明であるものの、第三者委員会の最終調査報告書の内容及び2021年4月期第1四半期の四半期連結財務諸表に対する四半期レビューが限定付結論であること等を踏まえると、訂正規模が大幅に拡大する可能性は相当程度低いと考えられること
・監査法人から誠実性に深刻な疑義ありと指摘され意見不表明の原因となった同社元代表取締役社長をはじめ、不適切会計に関与又は認識した同社取締役及び監査役の全員が、本年12月末までに同社取締役及び監査役を辞任する見込みであること
 以上を総合的に勘案すると、同社が提出した新規上場申請及び上場市場の変更申請に係る宣誓書において宣誓した事項について、重大な違反を行ったとして上場廃止が相当であるとまでは認められないことから、同社株式について、監理銘柄(審査中)の指定を解除することとします。

 一方で、同社が、新規上場申請及び上場市場の変更申請に係る宣誓書において宣誓した事項について違反していた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・同社では、同社元代表取締役社長を含むほとんどの取締役が、上場審査をすり抜ける目的で不適切会計について関与又は認識するなど、内部統制が無効化されていたこと
・同社元代表取締役社長を始めとする取締役の一部は、新規上場審査及び市場変更審査において虚偽の回答をしたのみならず、不適切会計の発覚後の段階においても、日本取引所自主規制法人に対する虚偽の説明や監査法人の監査手続の妨害といった隠蔽工作を行うなど、信頼性のある財務報告を行う意識や市場関係者に対する誠実性が著しく欠如していたこと
・取締役会は、同社元代表取締役社長等が参加する別の会議において実質的に決定された内容を追認する形で運営されるなど形骸化しており、取締役の業務執行に対する監督機能が十分に発揮されていなかったこと
・常勤監査役は、不適切会計の一部を認識していたにもかかわらずこれを是正する対応を行わないなど、監査役としての監視機能を果たしていなかったこと
・営業部門を牽制すべき財務経理部門が営業部門のサポート的な役割を担っていたほか自ら不適切会計に関与するなど社員のコンプライアンス意識も欠如しており、また、稟議の形骸化や契約書の軽視が蔓延していたなど、不適切会計の実行を可能とする土壌が生じていたこと
 以上を総合的に勘案すると、本件は、同社が内部管理体制の重大な不備により新規上場申請及び上場市場の変更申請に係る宣誓書において宣誓した事項について違反を行ったものであり、同社の内部管理体制等については改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することとします。

 また、上記のとおり、上場市場の変更申請に係る宣誓書において宣誓した事項について違反があり、当該違反に起因して特設注意市場銘柄に指定することから、同社株式について、市場第一部からマザーズへ上場市場の変更を行うこととします。
 加えて、同社が、新規上場審査及び市場変更審査において、申請書類に虚偽の財務諸表を記載し、審査過程での照会に繰り返し虚偽の書面回答を行い、さらに報告すべき事項が追加発生した際もその報告を怠っていたことにより、宣誓書において宣誓した事項に違反した事実を踏まえると、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。
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