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2021/09/27 東証 特設注意市場銘柄の指定継続:第一商品(株)

 

下記のとおり、特設注意市場銘柄の指定を継続することにしましたので、お知らせします。
※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 第一商品株式会社 株式
(コード:8746、市場区分:JASDAQスタンダード)
2.決定日 2021年9月27日(月)
  条文 有価証券上場規程第501条第4項第2号
(内部管理体制確認書を提出した上場会社において、内部管理体制等に問題があると認める場合に該当するため)
3.理由 第一商品株式会社(以下「同社」という。)は、2020年4月30日、同社における不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示し、同年5月1日に過年度の決算短信等の訂正を開示しました。
これらにより、同社では、長年にわたり歴代の代表取締役らが主導して、回収不能となっていた貸付金の回収偽装及び証拠金残高が不足した委託者に対する未収入金債権の回収偽装による貸倒引当金戻入益の過大計上、並びにこれらの偽装に用いる資金を捻出するための広告宣伝費の架空計上等の不適切な会計処理が行われていたことが明らかになりました。
その結果、同社は、2015年3月期から2020年3月期第3四半期までの決算短信等において上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、2018年3月期及び2019年3月期では訂正によって各段階利益が赤字から黒字へ逆転することなどが判明しました。

こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・一連の不適切な会計処理は、取締役会長の意向を絶対視した代表取締役社長が主導して貸付金の回収偽装を開始し、これに続く歴代の代表取締役社長がそれを止めることなく引き継いだ上、架空の広告宣伝費を増額して未収入金債権の回収を偽装するまでに発展させるなど、経営トップのコンプライアンス意識が著しく欠如していたこと
・多額の貸付金の資金使途や回収遅延の経緯といった重要な議案の中身を取締役会で質疑した形跡がないなど、取締役会による業務執行に対する牽制や監督が適切に機能していたとは認められないこと
・監査役は、取締役会に出席するも、重要な意思決定に際して取締役による職務執行を牽制するような質問や指摘等を行った形跡がなく、適正な監視機能を果たしていたとは認められないこと
・内部監査を軽視する取締役会長の姿勢を受け、内部監査部門の人員は慢性的に不足し、長期間にわたり支店監査を実施した形跡もなく、書類の押印漏れといった表層的な指摘のみにとどまるなど、実効的な内部監査が行われていたとは認められないこと
・一部の役職員は広告宣伝費の異常性を認識しながら指摘や内部通報等を行うこともなく、複数の部署の担当者は代表取締役社長からの明らかに異常な指示に盲目的に従っていたなど、全社的にもコンプライアンス意識が著しく希薄であったこと

本件は、投資者の投資判断に相当な影響を与える開示が適切に行われていなかったものであり、同社の内部管理体制等については改善の必要性が高いと認められたことから、当取引所は2020年7月11日に同社株式を特設注意市場銘柄に指定しました。

今般、当該指定から1年を経過した後に同社から当取引所に対して提出された内部管理体制確認書の内容等を確認したところ、同社では、2020年12月15日に開示した改善計画に関し、コンプライアンス意識の強化、内部監査の整備等、一定の取組みが行われていることが認められました。
しかしながら、同社では、以下の点が認められ、内部管理体制に関して更なる取組みを必要とする状況が存在しており、これらの改善に向けた取組みの進捗等についてなお確認する必要があると判断しました。
・取締役による監視・監督の強化として取締役会審議の活性化を施策に掲げているものの、役員との利益相反取引において、取締役会における役員間での牽制を意識した審議が十分でないこと
・社内規程を整備し、運用の徹底に向けた取組みを進めているものの、社内規程で定められている承認手続きを経ていない取引が認められるなど、運用の徹底が十分でないこと

これらを踏まえると、同社の状況は内部管理体制等に問題があると認める場合に該当することから、同社株式について特設注意市場銘柄指定を継続することにしました。
なお、当該指定から1年6か月を経過した日(2022年1月11日)以後に、同社から再提出される内部管理体制確認書の内容等を確認し、内部管理体制等について改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となります。
特設注意市場銘柄指定状況
特設注意市場銘柄指定履歴

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