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2022/09/28 東証 特設注意市場銘柄の指定継続:アジア開発キャピタル(株)

 

下記のとおり、特設注意市場銘柄の指定を継続することにしましたので、お知らせします。
※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 アジア開発キャピタル株式会社 株式
(コード:9318、市場区分:スタンダード市場)
2.決定日 2022年9月28日(水)
  条文 有価証券上場規程第503条第4項第2号
(内部管理体制確認書を提出した上場会社において、内部管理体制等に問題があると認める場合に該当するため)
3.理由  アジア開発キャピタル株式会社(以下「同社」という。)は、2021年6月22日、同社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査報告書を開示し、同年6月30日に過年度の決算内容の訂正を開示しました。
 これらにより、同社では、同社の子会社が商流の一部として参加していた蓄電池の売買取引は現物の納品がなされておらず、かつ、資金が還流している取引であったことが明らかになりました。また、同社では新規取引開始時の情報共有や協議・検討を行うための体制に不備があったこと、会計処理及び財務報告の誤謬のリスクに対する認識が欠け、リスク回避のための調査の重要性に対する認識が不十分であったこと、同社取締役が同社財務経理部長及び子会社の取締役を兼任していたことにより情報及び権限が集中していた結果役員間の牽制に機能不全が生じていたこと、子会社に関する重要な事項について、同社の取締役会規程に基づいた承認決議の対象外とする運営上の不備があったこと、監査役は取引の商流などに懸念を有したものの、事実関係解明のための十分な調査を行っていなかったこと等が認められました。
 以上により、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたことから、当取引所は、2021年8月7日に同社株式を特設注意市場銘柄に指定しました。
 その後、同社は、2022年8月5日、融資金額100億円と記載された融資証明書(以下「融資証明書」という。)が同社において発見されたことに関する監査役会の調査報告書を開示し、これにより、安易に代表者印が押印され融資証明書が作成されていたことが明らかになりました。
 今般、当該指定から1年を経過した後に同社から当取引所に対して提出された内部管理体制確認書の内容等を確認したところ、同社では、2022年3月31日に開示した改善計画に関し、社外取締役らで構成する経営等監視委員会の活動により、役員間の牽制が機能しつつあるなど、一定の取組が行われていることが認められました。
 しかしながら、同社では、以下の点などが認められ、内部管理体制に関して更なる取組を必要とする状況が存在しており、これらの改善に向けた取組の進捗等についてなお確認する必要があると判断しました。

・特定の人物に情報と権限が集中し、十分な情報共有や検討を行うことなく融資証明書が作成されるなど、同社の情報共有、協議・検討体制及び役員間の牽制体制には、依然として不備があること
・社内規程の全面的な改定等が実施されているものの、依然として決裁権限の不備、規程間の不整合及び運用上の不備などが多数認められること、また、規程に紐づく業務マニュアルの整備には至っていないなど、改善計画の実施・運用に取り組む役職員の意識が低いこと
・常勤監査役による稟議書等の事後確認において、稟議手続きの不備指摘や是正指示に至っていないこと
・子会社に対する内部監査は、事業実態等を十分に把握することなく、子会社管理の同社責任者へのヒアリングに留まるなど、不十分なものであること
・コンプライアンス意識の改善を最重要課題と位置付けていたものの、特設注意市場銘柄の指定を受けた後も、安易に代表者印が押印された融資証明書を作成しているなど、役職員のコンプライアンス意識が十分に醸成されていないこと

 これらを踏まえると、同社の状況は内部管理体制等に問題があると認める場合に該当することから、同社株式について特設注意市場銘柄指定を継続することにしました。
 なお、当該指定から1年6か月を経過した日(2023年2月7日)以後に、同社から再提出される内部管理体制確認書の内容等を確認し、内部管理体制等について改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となります。
特設注意市場銘柄一覧
特設注意市場銘柄指定履歴

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