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2023/07/03 東証 特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:(株)アマナ

 

以下のとおり、特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。

※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 株式会社アマナ 株式
(コード:2402、市場区分:グロース市場)
2.特設注意市場銘柄指定日 2023年7月4日(火)
  条文 有価証券上場規程第503条第1項第3号
(適時開示の規定に違反し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため)
3.上場契約違約金金額 960万円
  条文 有価証券上場規程第509条第1項第1号
(適時開示の規定に違反し、東京証券取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を棄損したと認められるため)
4.理由 株式会社アマナ(以下「同社」という。)は、2023年5月11日付で、不適切な会計処理等に関する特別調査委員会の調査報告書を開示し、当該調査結果に基づき、同年5月31日付で、過年度の決算内容の訂正を開示しました。
これらの開示により、同社では、同社従業員が売上の水増しや架空計上を行うとともに、架空発注によって資金を不正に流出させていたことに加え、特定顧客に出向していた同社従業員によって同様の不正行為が行われていたことが判明しました。
また、同社は、2022年8月22日付で過年度決算内容の訂正(以下「前回訂正」という。)を開示していますが、前回訂正前に設置された特別調査委員会による調査が、結果として不適切な会計処理の全容を解明しないまま終了し、前回訂正が不正確かつ不十分なものであったことも判明しました。
その結果、同社は、2018年12月期から2022年12月期第3四半期までの決算短信等において上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2019年12月期の経常利益、2021年12月期の経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が黒字から赤字へ転落すること、また、2021年12月期における純資産の額が負となることなどが判明しました。
こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の内部管理体制上の不備が認められました。
・過去の不適切な会計処理発覚後もなお、顧客ごとに案件担当者を固定する仕組みのもと、案件担当者以外の者が取引の内容を把握できなくとも仕方ないとの考えが定着しており、個々の取引の適正性を確認・監督する仕組みが機能していないこと
・過去の不適切な会計処理発覚時に策定した再発防止策を財務報告の信頼性回復に向けた改革と位置付けたものの、代表取締役社長を筆頭に責任の所在を明らかにしないまま、業績回復に向けた施策を優先するなど、経営陣として再発防止に徹底して取り組めていなかったこと
・経営陣は、業務フローの整備と、これに紐づく基幹システムを整備することにより、従業員が意識せずとも自然にルールを守ることができるようになるという考えの下、現場担当者レベルに至るまでの従業員の意識向上に向けた対策が不十分であったこと
・一部の従業員は基礎的な会計規律への意識が不足していることから、会計処理等に係る不審な兆候に気付いても経理財務部門や上長に対する適切な報告や連絡が行われなかったこと

本件は、投資者の投資判断に重要な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたものであって、本来、投資者からの信頼を回復するための真摯な取組が求められる不正の発覚後の局面において、不正確かつ不十分な決算内容の訂正を行ったものであり、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することとします。
また、上記背景のもと投資判断情報として重要性の高い決算情報について長期間にわたり誤った情報を公表し続けたこと、及び同社は2020年12月期における純資産の額が負となった結果、上場廃止に係る猶予期間にあったところ、2021年12月期における純資産の額を正とする訂正前の財務諸表によって猶予期間からの解除を受けたことは、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。
特設注意市場銘柄一覧
特設注意市場銘柄指定履歴
上場契約違約金徴求会社一覧

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株式会社東京証券取引所 上場部 開示業務室 ディスクロージャー企画グループ
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