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2025/04/30 東証 宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入り及び上場契約違約金の徴求:(株)サンウェルズ
以下のとおり、宣誓書違反による再審査に係る猶予期間に入ることとなり、また、上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。
※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。
1.銘柄 | 株式会社サンウェルズ 株式 (コード:9229、市場区分:プライム) |
2.再審査に係る猶予期間 | 2025年4月30日(水)から2026年4月30日(木)まで |
理由 (関連条項) |
市場区分の変更申請に係る宣誓書において宣誓した事項に違反し、市場区分の変更に係る基準に適合していなかったと当取引所が認めた場合に該当するため (有価証券上場規程第601条第1項第10号b) |
3.上場契約違約金金額 | 6,240万円 |
理由 (関連条項) |
適時開示の規定に違反し、また、宣誓書において宣誓した事項に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため (有価証券上場規程第509条第1項第1号及び第3号) |
4.理由の詳細 | 株式会社サンウェルズ(以下「同社」という。)は、2025年2月7日、不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査報告書を開示し、同月12日、2021年3月期から2025年3月期第1四半期までの決算短信等の訂正開示(以下「本件決算訂正」という。)を行いました。 これらにより、同社において、過剰な診療報酬の請求(以下「本件不正」という。)による売上及び利益の過大計上が行われており、当該過大計上に伴う決算内容の訂正は、2023年3月期及び2024年3月期の経常利益について4割以上、当期純利益について6割以上の減少を伴うものであったことが明らかになりました。 また、同社は2022年6月に当取引所グロース市場に上場し、2024年7月に当取引所プライム市場に市場区分を変更しているところ、同社は当取引所に提出する書類がすべて真実である旨の宣誓書を提出していたにもかかわらず、経営陣が本件不正の発生を認識せず、結果として、申請書類に不実の財務数値の記載等をしたうえで承認を得て、新規上場時及び市場区分の変更時に公募・売出しを行っていたことも明らかになりました。 さらに、本件決算訂正により、当取引所プライム市場への市場区分の変更審査における形式基準(利益の額)及び実質基準(コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性の観点等)を充足しない事案であったことが認められました。 これらの背景として、主に以下の点が認められました。 ・同社の経営陣は、有価証券報告書において診療報酬の不正請求を事業等のリスクとして掲げながらも、リスク管理意識及び診療報酬の算定ルール等の法令に関する感度が低かったことから、不正請求のリスクについて十分な分析・評価を行っておらず、本件不正が自社において起こりうるという認識が希薄だったこと。 ・経営陣の当該リスク認識の希薄さを背景として、訪問看護に関する適切な運用の周知、研修の実施や、訪問看護時間や帯同の有無等に係るチェック体制の構築など、本件不正の未然防止に向けた対応が図られていなかったこと。 ・経営陣は、入居者及び従業員からの問題提起、内部通報、社内調査など、不正請求の実態を認識し得る複数の機会に直面しながら、それぞれにおいて詳細な調査等の適切な対応をとらなかった結果、不正の早期是正の機会を逃すこととなったこと。 ・内部監査が書類の有無等の形式的な確認にとどまっている、内部通報制度が規程どおりに運用されていないなど、不正請求の検知に係る内部統制が機能不全に陥っていたこと。 以上のとおり、市場区分の変更時の宣誓書違反及び市場区分の変更審査基準への不適合が認められること、加えて同社において上記背景の下で本件不正が発生しながら、経営陣がそれらを認識せずに宣誓書違反に至った点を踏まえると、同社について当取引所プライム市場への新規上場基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査の対象とすることとし、同社株式は再審査に係る猶予期間に入ります。 また、同社が投資判断情報として重要性の高い決算情報について、当取引所グロース市場への新規上場直後から継続的に誤った情報を公表したうえ、新規上場及び市場区分の変更審査に当たり、宣誓書に違反して不実記載に当たる内容の上場申請書類を提出したうえで承認を得て、公募・売出しを行ったことは、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。 |
- 同社が猶予期間内にプライム市場の新規上場基準に準じた基準に適合するかどうかの審査申請を行った場合、当該基準に適合したときは、同社株式の上場が継続されることとなります。当該基準に適合しないときは、上場廃止となります。
- 同社が猶予期間内にスタンダード市場又はグロース市場への市場区分の変更申請を行った場合、当該市場区分の変更の承認を受けたときは、(注1)にかかわらず、変更後の市場区分において、同社株式の上場が継続されることとなります(その場合は、(注1)の審査は不要になります。)。
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