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2023/09/28 東証OSE ちばぎん証券株式会社に対する処分等について

 

ちばぎん証券株式会社(以下「同社」という。)に対して、株式会社東京証券取引所及び株式会社大阪取引所が、下記のとおり処分を行うとともに、業務改善報告書の提出を請求しましたので、お知らせいたします。
なお、本件は、日本取引所自主規制法人の審議結果に基づき決定したものです。

内容

東京証券取引所における処分

  • 戒告(東京証券取引所取引参加者規程第34条第1項第8号に基づく)

大阪取引所における処分

  • 戒告(大阪取引所取引参加者規程第42条第1項第10号に基づく)

理由

同社は、同社の親会社である株式会社千葉銀行(以下「千葉銀行」という。)及び千葉銀行とアライアンス契約を締結している株式会社武蔵野銀行(以下「武蔵野銀行」という。)との間で各々金融商品仲介業務に係る提携契約を締結し、千葉銀行及び武蔵野銀行に対し、金融商品仲介業務として同社に顧客を紹介する業務(以下「紹介型仲介」という。)を行わせている。同社全体の収益額における銀行からの紹介顧客に係る収益額の割合は高く、銀証連携に係る収益が同社の中心的な収益源となっているなか、以下の状況が認められた。

  1. 適合性原則に抵触する勧誘が長期的・継続的に発生している状況

    ① 同社は、以下のとおり、顧客の投資方針や投資経験等の顧客属性を適時適切に把握しないまま、多数の顧客に対し、複雑な仕組債の勧誘を長期的・継続的に行っている状況が認められた。

    ア.顧客の投資方針と同社が把握している投資方針が異なっている事例
    2022年6月末時点で仕組債を保有していた8,424顧客のうち8,168顧客は、同社記録上は、最もリスク許容度が高く、複雑な仕組債を購入することが可能となる投資方針である「積極的値上り益重視」となっていた。しかし、当該8,168顧客のうち2,424顧客の実際の投資方針は、「積極的値上り益重視」ではなく、これよりもリスク許容度の低い投資方針であった。

    イ.顧客の投資経験と同社が把握している投資経験が異なっている事例
    銀行で投資経験を把握されずに紹介され、同社が投資経験を確認した上で仕組債の購入に至ったとしている80顧客のうち、34顧客は、金融商品の投資経験を全く有していない顧客や同社において複雑な仕組債を購入することが可能となる投資経験を有していない顧客であった。

    ② 同社は、複雑な仕組債の勧誘に際し、少なくとも3顧客に対し、仕組債の参照指標に係る変動により損失が生ずるおそれがある理由等について、顧客属性に照らして当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による説明を行っていないことが顧客への説明状況の検証において認められた。


  2. 適合性原則を遵守するための態勢が不十分な状況

    同社は、銀行側において紹介型仲介契約で定めた業務を超えた商品説明がなされる等の適合性原則の遵守に支障を生じさせる要因が発生していたにもかかわらず、適切に実態把握するなどしてこれを解消しなかったほか、同社営業員に対して顧客の投資方針や投資経験等の適合性を適切に把握する方法を周知徹底しないまま、複雑な仕組債の勧誘販売を急拡大させた。
    この結果、仕組債を購入した顧客からの苦情が多数寄せられるようになったが、その苦情の中には、同社が把握している投資方針と顧客が述べる投資方針が一致していないものなど、同社における適合性原則の遵守状況に問題があることを示唆するものが含まれていた。同社は、それらの苦情の大半を「一方的申出」として処理を完了したため、苦情の中に含まれる適合性原則の遵守に関わる問題点を適切に抽出分析することなく看過し、業務改善に向けて苦情を適切に活用できなかった。また、多数の苦情が継続的に発生する状況を自ら解消し切れず、自主規制機関である日本証券業協会(以下「日証協」という。)から適合性原則の遵守状況に関して計3回に及ぶ注意喚起を受けることにも繋がった。
    日証協から適合性原則の遵守状況に関する懸念が示されたことを踏まえ、同社は全社的かつ抜本的に苦情対策に取り組むことを目的として、社長自らも参加する会議体を発足させたものの、適合性原則に抵触する勧誘販売状況の実態把握やこれに基づく実効性ある態勢整備を行わなかったことなど、適合性原則に抵触する勧誘販売を防止・改善するための取組が不十分であった。
    以上のとおり、同社においては、適合性原則に対する理解やその遵守の重要性に対する意識の希薄さ等により、真の顧客利益を考えた投資勧誘ではなく、手数料収益を上げるためのツールとして仕組債の販売がなされ、適合性原則を遵守するための態勢整備も不十分であったため、適合性原則に抵触する不適切な勧誘販売を防ぐことができなかった。


上記(1)②の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第1号の「契約締結前交付書面の交付に関し、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による説明をすることなく、金融商品取引契約を締結する行為」に該当すると認められる。
また、上記(1)及び(2)の状況は、適合性原則に抵触する業務運営を継続的に行っていたものと認められ、同社における仕組債の勧誘販売状況は、金商法第40条第1号の「顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとなっており、又は欠けることとなるおそれがあること」に該当すると認められる。
なお、上記の状況は、同社経営陣において、銀証連携で生じていた問題を適切に把握していなかったこと、適合性原則に対する理解やその遵守の重要性に対する意識が希薄であったことにより発生したものであると認められる。

お問合せ

株式会社東京証券取引所 株式部取引参加者室
電話:03-3666-0141(代表)