マーケットニュース
2014/09/24 東証 むさし証券株式会社に対する処分について
当社は、むさし証券株式会社に対して、取引参加者規程第34条第1項の規定に基づき処分(戒告)を行いましたので、お知らせいたします。
また、取引参加者規程第19条第1項の規定に基づき、業務改善報告書(①取引の公正を確保するための必要な人員配置や検証データの整備などを含め、売買管理態勢の抜本的な見直しを図るとともに、法令違反の根絶に向けた再発防止策を講じること。②全役職員に対して法令遵守の徹底を図るための措置を講じること。③本件に係る経営陣を含む責任の所在を明確化することを含む。)の提出を請求しました。
違反行為の概要
(1) 自己売買による相場操縦行為
同社は、同社契約ディーラーとして同社ディーリング業務に従事していたA(以下「Aディーラー」という。)において、同社の業務に関し、当社に上場されていたTOPIX先物(2013年9月限月)について、市場デリバティブ取引を誘引する目的をもって、2013年7月29日から同月31日まで及び同年9月9日から同月11日までの間、合計6取引日にわたり、当社において、約定させる意思がないにもかかわらず、買い最良気配値に多数の買い注文を発注したり、売り最良気配値に多数の売り注文を発注したりするなどの方法により、上記先物合計2,016単位を買い付ける一方、同先物合計2,016単位を売り付けるとともに、同先物合計4万3,554単位の買い注文及び合計4万4,889単位の売り注文を発注し、もって、自己の計算において、市場デリバティブ取引が繁盛であると誤解させ、かつ、当社における上記先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引及び申込みを行った。
なお、上記の行政処分を契機に同社において社内調査が行われ、上記以外にも、2013年6月20日から同年10月1日までの間に同様の取引が行われていることが判明している。
上記行為は、金融商品取引法第159条第2項第1号に掲げる行為に該当するものと認められる。
(2) 株券に係る市場デリバティブ取引の自己売買に係る売買審査態勢に不備が認められる状況
同社は、内規上、同社の自己売買による取引(以下「自己売買」という。)における不公正取引の審査を監査部売買審査課に行わせることとしていたが、売買審査課は委託取引の売買審査で多忙であったことから、自己売買に係る売買審査を行っていなかった。また、同課課長は自己売買の審査をディーリング部長に任せていたとしているが、同部長も、株券に係る市場デリバティブ取引における不公正取引のチェックという観点からはほとんど売買審査を行っていなかった。
こうした中、同社は、Aディーラーの約定させる意思がない注文の発注等について、当社から2013年7月31日に注意を受け、Aディーラーに口頭注意を行い、Aディーラーは、7月中に多数行われていた大口注文の発注・取消しと同様の形態の取引を取りやめた。
その後、同年9月2日から、ディーリング部長は株券に係る市場デリバティブ取引における不公正取引の売買管理システムによる抽出を開始したが、不公正取引に係る検証は依然として不十分であり、Aディーラーによる同年9月9日から11日までの上記不公正取引を看過するなど、売買審査態勢の抜本的な検証・見直しは行っていなかった。
また、同社は、一旦おさまっていた頻繁な大口注文の発注・取消しが再度認められ、特に9月中旬以降はその頻度が徐々に増加しているとして、2013年10月1日に東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人。以下「JPX-R」という。)から当該行為を直ちに止めるよう注意を受けたものの、本来の担当である売買審査課が自己売買の審査を行っていない等の状況は引き続き継続していた。
更に、内部管理統括責任者である同社副社長は、同社の売買審査の人員が不足している状況を知りながら、売買審査態勢の状況を確認しておらず、当社及びJPX-Rによる上記の注意を受けても、適切な態勢整備は行われていなかった。
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株式会社東京証券取引所 取引参加者室
電話:03-3666-0141(代表)