パブリック・コメント
本所は、これまで西暦2000年対応に取り組んできたが、会員、業界及び関連団体等との接続テストを行い、6月中に大きな問題もなく順調に終了した。しかし、西暦2000年問題に起因する障害は、その発生範囲を特定することが困難であり、また、本所システムが正常に稼働していても関連する他のシステムに障害が発生することによって本所の取引及び決済に影響が及ぶおそれがある。
そこで、本所又は関連するシステムに障害が発生した場合をいくつかのケースに分けて想定し、西暦2000年対応に関する危機管理計画を策定した。
なお、本危機管理計画は、西暦2000年問題を契機として策定したが、他の要因による障害発生時にも本危機管理計画に準じて対応することとしたいので、「西暦2000年問題対応等に関する危機管理計画」と改めることとする。
基本的な考え方
障害が発生した場合においては、公正な価格形成が行えない等市場としての機能が果たせないと本所が認めた場合を除き、投資者の取引機会を確保し提供するという観点から、可能な限り取引を行うことを基本とする。
想定されるケース及びその対応策
1 本所売買システムに障害が発生した場合
- 売買システムの稼働に支障が生じた場合
- 個別の銘柄に障害が発生した場合は、当該障害発生銘柄のみ売買を停止する。
- 個別の商品(株券、転換社債券、225先物・オプション、300先物・300 オプション、株券オプション、業種別先物・オプション、立会外、J-NET)に障害が発生した場合は、当該障害発生商品のみ売買を停止する。
- 個別のシステムに障害が発生した場合は、当該障害発生売買システムのみ売買を停止する。
- 障害の発生により一部の会員等が売買に参加できない場合は、参加できない会員数及び当該会員の過去の売買高シェア、障害発生端末台数等を総合的に勘案し、公正な価格形成が確保できないと本所が認めたときは、売買を停止する。
- 立会外大口対当取引、立会外バスケット対当取引及び立会外終値取引並びにJ-NET取引について、会員端末に障害が発生した場合であっても、発注可能会員等が存在する限り、取引を継続するものとする。
2 本所情報系システム(相場情報伝達システム・電子情報システム)に障害が発生した場合
本所情報系システムに障害が発生し、必要な情報をまったく提供できなくなった場合は、システム障害が回復するまで売買を停止する。
3 東京証券取引所の株券売買システムに障害が発生し、株券の売買を停止した場合
売買は通常どおり実施する。
4 本所清算システムに障害が発生した場合
- 会員等に必要な決済情報を提供できない場合、又は証券保管振替機構(以下「機構」という。)や日本銀行、清算銀行に振替(決済)指図を行えない場合は、決済を繰り延べる。繰延べ後の決済日については、障害の状況を勘案して別途定めて通知する。
- 清算銀行へのデータ伝送等に障害が発生した場合は、経理課員を総動員し、各清算銀行に必要な帳票を手交する。
- 障害復旧の目処が立たない場合、又は障害回復に日数を要する場合等は、すべての売買を臨時に停止することがある。
5 株価指数先物・オプション取引の対象株価指数がシステム障害により算出されない場合
当該株価指数の構成銘柄の取引が継続されていれば、市場参加者がある程度正確に当該株価指数の水準を推定できることや、先物・オプション取引が将来の取引対象価格を考慮して行われる取引であることを踏まえ、通常どおり取引を行う。
6 機構システムに障害が発生した場合
- 決済日前日の段階で口座振替等の処理が行えないことが判明した場合には、株券及び受益証券につき、翌日の決済(有価証券・資金共)を繰り延べる。繰延べ後の決済日については、機構システムの復旧状況を勘案して別途定める。
- 決済日当日に機構システムに障害が発生した場合には、その復旧状況に応じて株券及び受益証券の決済時限を繰り下げ、決済未了分については決済(有価証券)を繰り延べる等の措置を講ずる。
- 障害復旧の目処が立たない場合、又は障害回復に日数を要する場合等は、すべての売買を臨時に停止することがある。
7 大阪証券金融(株)のシステムに障害が発生した場合
- 売買は通常どおり実施する。
- 大阪証券金融(株)が本所に貸借取引に係るデータを交付できない場合は、貸借取引と関係のない決済を履行する必要があるため、貸借取引を加味せず本所における決済を実施する。
- 大阪証券金融(株)がシステム処理以外の方法により、本所に貸借取引データを提出し、本所において決済データが確定した場合は、それに基づき通常どおり決済を実施する。
- 大阪証券金融(株)のシステムの復旧状況により、売買その他に影響がある場合は別途通知する。
8 日本銀行金融ネットワークシステムに障害が発生した場合
- 売買は通常どおり実施する。
- 障害の程度及び範囲により、次の対応をとる。
- 本所内設置の日銀ネット端末に障害が発生した場合は、日銀ネット障害マニュアルに従い、日銀小切手・振込帳票を日本銀行大阪支店に直接持参する。
- 清算銀行内の日銀ネット端末に障害が発生した場合は、障害発生清算銀行に前[1]による対応を要請する。
- 日銀ネット本体に障害が発生し、決済不能となった場合は、資金決済を繰り延べるか、又は清算銀行間の振替等による臨時決済(これについては、清算銀行との協議が必要)を行うこととする。
- その他障害の状況により、決済時限の繰下げ、又は書面依頼等の代替手段により対応することが困難であると本所が認める場合には、決済を繰り延べる場合がある。
9 清算銀行のシステムに障害が発生した場合
- 売買は通常どおり実施する。
- 清算銀行のシステムに障害が発生し、会員等の口座から本所口座への振替が不能となった場合は、障害発生清算銀行と協議し、障害未発生清算銀行に資金決済を乗り換える等の措置をとることとするが、いかなる措置をもっても対応不能の場合は、原則として決済を繰り延べることとする。
- 障害の状況により、清算銀行利用会員等の過半数に影響が生じる程度に清算銀行のシステムに障害が発生し、かつ書面依頼等の代替手段により対応することが実務的に困難であると本所が認める場合には、決済を繰り延べる場合がある。
10 会員等のシステムの西暦2000年対応が十分でないと認められる場合
西暦2000年対応が十分でない会員等については、売買・決済全般に影響を及ぼすおそれがあるため、取引所取引全体の安全を確保する観点から、西暦2000年に決済を迎える売買への参加を認めない。
11 会員等のシステムに障害が発生した場合
本所売買システムが正常に稼働している限り通常どおり売買を行う。
また、会員等のシステムに障害が発生し、当該会員等が他の会員等に先物・オプション取引を委託した場合で、当該会員等の障害が復旧した場合には、当該他の会員等に委託したことによって生じた建玉を当該会員等に移管できるように対応する。
12 電力、通信網等(東京アクセスポイントを含む。)に障害が発生した場合
基本的には、本所売買システムが正常に稼働している限り通常どおり売買を行う。
また、会員等のシステムに障害が発生し、当該会員等が他の会員等に先物・オプション取引を委託した場合で、当該会員等の障害が復旧した場合には、当該他の会員等に委託したことによって生じた建玉を当該会員等に移管できるように対応する。
会員等との連絡体制
一斉同報ファックス、一斉電話を利用するほか、大証Webサイトにも掲載する。