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パブリック・コメント

西暦2000年問題対応に関する危機管理計画

データの取扱いについて

西暦2000年問題対応等に関する危機管理計画

本所では,「西暦2000年問題対応に関する危機管理計画(案)」に関し,1999年7月21日から8月10日までの間,パブリック・コメントを募集した結果,会員等6社からパブリック・コメントが寄せられた。 以下は,パブリック・コメントに対する本所の考え方である。

なお,本危機管理計画は,西暦2000年問題を契機として策定したが,他の要因による障害発生時にも本危機管理計画に準じて対応することとしたいので,「西暦2000年問題対応等に関する危機管理計画」と改めることとする。

1.基本的な考え方

ご意見

  • 危機管理計画の基本的な対応方法として,システム上の障害を人的に対処する意向が随所に見られる。しかしながら実際の障害時において,取引量の多い大手は,人力による処理は不可能であり,取引停止をせざるを得ない。この場合には,「会員並びに投資家に対する公平な取引機会の提供」が不可能であるため,基本的には取引停止を原則とすべきではないか。

大証の回答

  • 一部の会員が売買に参加できない場合であっても,大部分の会員が売買に参加可能な場合においては,公正な価格形成が可能であり,有価証券市場の 開設者として,可能な限り取引を継続し,会員及び投資家に取引機会を提供するべきであると考える。
    上記意見は1社からいただいたのみで,他の多数の会員は本所案に賛同いただいたものと考えるので,原案どおりとする。

2.想定されるケース及びその対応策

1)本所売買システムに障害が発生した場合

ご意見

  • 一部の会員のみの参加で市場が継続されるのは好ましくない。
  • 売買を停止する場合の売買高シェア,障害発生端末台数等の詳細を開示してほしい。
  • 「公正な価格形成が確保できないと本所が認めた場合」について,具体的な基準を示してほしい。
  • 東京証券取引所と同様,目安となる具体的な数値を明示すべきである。

大証の回答

  • 「一部の会員のみの参加で市場が継続されるのは好ましくない。」という意見は1社からいただいたが,本所の考え方は上記のとおりである。
    「売買停止の場合の具体的な数値基準を示してほしい」という意見は4社,また「東京証券取引所と同様,20%基準を適用してほしい」という意見は1社から,それぞれいただいた。
    20%基準を適用して取引停止した場合,正常な80%の会員の取引機会を奪うことになり,有価証券市場開設者としての責任が果たせない。平成7年の阪神淡路大震災発生時に,一部会員の端末が使用不能になり,売買に参加できないケースがあったが,本所は通常どおり売買を行った。
    また,具体的な数値基準の明示については,海外の例では具体的な数値基準を持たず,「会員への影響の度合い」等市場へのアクセスの状況を見て,各取引所の規則に基づいて対応するケースが多い。
    以上のような意見をいただいたが,会員の中では少数意見である。具体的 な数値基準の明示については,東京証券取引所の20%が絶対的なものではないと考えられるので,具体的な数値基準を明示することは困難である。本所としては,そのときの状況に応じて,「公正な価格形成ができない」,「市場が混乱するおそれがある」等と本所が認めた場合を除き,売買を継続するものとする。

ご意見

  • 立会外取引及びJ-NET取引についても,一部会員等が取引に参加できない場合停止すべきではないか。また,その場合の基準を明示していただきたい。

大証の回答

  • 立会外取引及びJ-NET取引は相対取引であり,発注可能な会員等が存 在する限り売買は継続する。また,立会外取引については,システムによる発注が不可能な場合はファックスによる発注も可能である。

2)本所情報システムに障害が発生した場合

ご意見

  • 情報システムに障害が発生した場合,証券会社内システムをはじめ,証券会社店頭の証券ボード,情報ベンダー端末等の市場情報が正しく表示されなくなる。この状況下で売買を継続すれば,投資家の不安心理と混乱を招くおそれが極めて大きいことは容易に想像できる。
    売買端末を問い合わせ用に使用することは,台数に限りがあり,人手で対応することは事実上困難である。
    このような混乱が予想されるなかで,あえて売買を継続した場合,取引機会の確保,公正な価格形成,円滑な取引の執行その他の面において重大な影響が生じるものと判断され,投資家保護と公平性の観点から売買を行うべきではないと考える。

大証の回答

  • 本所情報システムに障害が発生し,必要な情報が提供できなくなった場合,顧客は直接市場情報を入手することが困難であり,市場情報が公平にかつ十分に伝達されていない状況下においては,公正な価格形成が確保できないものと判断されるので,当該障害が回復するまで売買を停止する。

3)東京証券取引所の株券売買システムに障害が発生し,株券の売買を停止した場合

ご意見

  • 先物・オプション取引において,既存の建玉の反対取引を大証で行う場合,これと東証にある既存の建玉との清算を可能とするよう大証・東証との間で協定を結ぶことを検討願いたい。

大証の回答

  • 大証・東証の間で反対取引ができるのは,株券オプションだけなので,要望は株券オプションのことと推測するが,「東証にある既存の建玉との清算を可能とするよう大証・東証との間で協定を結ぶこと」については,現時点では考えていない。

4)本所清算システムに障害が発生した場合

ご意見

  • 先物・オプションではフェイルの日の分を含めてネット決済にするかどうか方針を決定し,明記してほしい。
  • 振替(決済)指図を行えない場合は,決済を繰り延べるとあるが,具体的に当日の決済を繰り延べる時間は決めているのか。
  • 決済を繰り延べる場合の具体的に会員数を教えてほしい。
  • 客注については,対会員のみではなく,客先の決済も繰り延べる必要がある。
  • 障害回復に日数を要し,すべての売買を臨時に停止する場合における具体的な日数等の目安を教えてほしい。

大証の回答

  • フェイルの日の分を含めてネット決済を行う。ただし,日別の計算書が作成されていることが前提になる。フェイル分を含めたネッティングが作成不可能であればパソコンで対応する。
    客側の決済延期については,「先物・オプション取引口座設定約諾書」第9条(決済条件の変更)で明確にしている。

5)株価指数先物・オプション取引の対象株価指数がシステム障害により算出されない場合

ご意見

  • 自己のケースでは問題はないが,客注では問題がある。株価指数等の情報の発表は取引所の義務であり,これらの公開情報により,投資家は取引を行うことが基本である。この障害の影響として,例えば,前日終値と翌日始値に差が生ずるなどのケースを想定すれば,この銘柄の取引は直ちに停止するのが最善策ではないか。

大証の回答

  • 投資者の取引機会を確保し提供するという観点から,当該株価指数の構成 銘柄の取引が継続されていれば,通常どおり取引を行う。

6)機構システムに障害が発生した場合

ご意見

  • 客とL/Gで決済するには事務的に大変なので,あらかじめフェイルのマーケットルールを決定し明記してほしい。
  • 機構で止まっている決済指示は機構側で必ずデータを保存し,復旧後そのデータを会員に提供する方針を機構と合意し明記してほしい。
  • 障害回復に日数を要し,すべての売買を臨時に停止する場合における具体的な日数等の目安を教えてほしい。

大証の回答

  • フェイルのマーケットルール作成は本所単独ではできないので,今後の検討課題である。
    機構データの保存と会員への提供は行っている。

8)日本銀行金融ネットワークシステムに障害が発生した場合

ご意見

  • 基本的に大証案で問題はないが,資金繰りに影響するため,当日決済を厳守し,可能な限り決済時限の繰下げで対応することとしてほしい。
  • 「日銀小切手,振込帳票を日銀大阪支店に直接持参」とあるが,これは大証による持参のみか,大証会員も日銀大阪支店への持参すると いう趣旨か。後者ならば,弊社のような遠隔地会員にとってはほとんど不可能である。
  • 遠隔地会員は取引に参加できないため,「投資者や会員に公平な取引機会を提供」から取引停止を行うべきではないかと考える。
  • 障害回復に日数を要し,すべての売買を臨時に停止する場合における具体的な日数等の目安を教えてほしい。

大証の回答

  • 決済時限は可能な限り繰り下げる努力をする。
    日本銀行大阪支店に振込帳票を持参するのは本所と清算銀行との関係のものであって会員が持参する性格のものではない。

9)清算銀行のシステムに障害が発生した場合

ご意見

  • 資金繰りに影響するため,当日決済を厳守し,可能な限り決済時限の繰下げで対応することとしてほしい。
  • 代替手段として日銀ネットで決済する,又は清算銀行をすぐ変更できるよう,現在の1証券会社,1清算銀行のルールの例外事項設定によって対応してほしい。
  • 取引所と会員間の証拠金,差金の受渡しで,特に追加証拠金に関しての障害時には,弊社のような遠隔地会員にとって,大阪で処理を行うとは不可能に近い。この場合には,繰り延べることは可能であるのか。また,可能な場合には取引を続けてできるのか。リスクの点か らは証拠金の差入れ不可能な場合には取引停止を希望する。

大証の回答

  • 決済時限は可能な限り繰り下げる努力をする。
    日本銀行大阪支店に振込帳票を持参するのは本所と清算銀行との関係のものであって会員が持参する性格のものではない。

10)会員等のシステムの西暦2000年対応が十分でないと認められる場合

ご意見

  • 西暦2000年対応が十分でないと認められると判断する基準等を教えてほしい。

大証の回答

  • テストにおいて度々障害発生し,西暦2000年対応ができているとは認められない場合は,当該会員に2000年に決済を迎える売買への参加を御遠慮願う。
    本所においては,現時点においてすべての会員(特別参加者を含む。)がテストに参加し,問題なく終了している。

11)会員等のシステムに障害が発生した場合

ご意見

  • 発生した障害が自社システムのみならず,大証各システムに影響を及ぼす場合は,上記ケース1(1)と同じ対応策(すなわち売買停止)が用いられるべきである。緊急時においては,発生源が不明な場合の方がむしろ通常であるため,発生源がどこであるか(大証自身のシステムか,会員等の自社システムか)によってプランを分けても意味はない。障害対応中,及び事後に障害の発生原因と対処方法,システム再立上げと市場再開の時期は随時報告する等,通知,連絡を徹底してほしい。大証の各システムに影響を及ぼさない場合 は,会員等固有の障害であり,大証は通常どおり業務を行うべきと思われる。
  • 先物・オプション取引については,取引停止を行わず続行した場合,証拠金,差金の受払いにおいて,手続きが煩雑となる。
  • 東証の危機管理計画には,具体的に参加できない会員の過去の売買高シェアが20%以上という数字が挙げられていたが,貴所はどうか。
  • 1(3)と同様具体的な基準は設けているか。

大証の回答

  • テストにおいて度々障害発生し,西暦2000年対応ができているとは認められない場合は,当該会員に2000年に決済を迎える売買への参加を御遠慮願う。
    本所においては,現時点においてすべての会員(特別参加者を含む。)がテストに参加し,問題なく終了している。

12)電力,通信網等(東京アクセスポイントを含む。)に障害が発生した場合

ご意見

  • 1(3),11(1)~(3)と同様具体的な基準は設けているか。
  • 電力に障害が発生した場合,貴所は何時間程度電力なしの状態で持続できるか。
  • 電力等の障害は,Direct Feedに影響を与える場合がある。Direct Feedは貴重な情報源であり,Direct Feedが正常に機能しなければ,遠隔地会員は取引に参加できない。「投資者や会員に公平な取引機会を提供」から,この場合には取引停止を行うべきではないかと考える。
  • 参加できない会員数及び当該会員の過去の売買高シェア,障害発生端末台数等を総合的に勘案し」について,東証と同様,目安となる具体的な数値を明示すべきである。

大証の回答

  • テストにおいて度々障害発生し,西暦2000年対応ができているとは認められない場合は,当該会員に2000年に決済を迎える売買への参加を御遠慮願う。
    本所においては,現時点においてすべての会員(特別参加者を含む。)がテストに参加し,問題なく終了している。

3.会員等との連絡体制

ご意見

  • 現行の一斉同報ファックスと貴所ホームページへの掲載のみによる連絡方法は,障害情報をすみやかに会員に知らせるという面から不十分ではないか。ファックスでは担当者が席をはずしている等,こちらの認知に遅延が発生してしまう可能性があるし,ホームページへの掲載では,常に貴所ホームページにアクセスして情報のアップデートを確認しなければならない。会員については,一斉電話による障害情報の連絡を行うとともに,より複数の通信手段を用いて迅速かつ確実な 伝達を期することが望ましい。

大証の回答

  • 現行の一斉同報ファックスと本所ホームページへの掲載のほか,一斉電話を設置することとしている。