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会社の株価の決まり方

 株価(株式の値段)は基本的に買いたい人(需要(じゅよう))と売りたい人(供給(きょうきゅう))のバランスによって決まります。つまり、需要である「買い」が供給である「売り」より多ければ株価が上がり、供給(売り)が需要(買い)を上回れば株価は下がります。株価を動かす要因は、その会社自体に関係することと、株式市場全体に関係することに分かれます。

株価を動かす要因


① その会社自体に関係すること:事業に関するニュース、事件、人気など
② 株式市場全体に関係すること:金利、外国為替(かわせ)、政治、天候、国際情勢(じょうせい)など

業績と株価

 株価を決める最大の要因は、その会社の売上や利益の額などを表す「業績」です。赤字経営が続いて配当も払えないような会社の株式は買う人が減少するため、株価も低迷してしまいます。売上や利益が増えるなど、業績が良くなると予想されれば、配当が増えることも期待され株価も上がってきます。ですから、新商品がヒットしたりブームになったりすると、その会社が注目され、株価が上がることが多いのです。

人気と株価

 株価は人気によっても左右されます。イギリスの有名な経済学者だったケインズは、「株式投資は美人投票のようだ。」と言っています。つまり、誰が美人投票で選ばれるかを当てるためには、自分が美人だと思う人を選ぶのではなく、みんなが美人だと思う人を選ばなくてはならないということです。これを株式投資に置き換えてみると、多くの人が良い会社だと思わなければ株価は上がらないということになります。

金利と株価


 金利とは、預金や借金に対する利息の割合のことです。金利も株価に大きな影響を与えます。一般的には、金利と株価はシーソーのような関係にあるといわれています。金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向があります。金利の水準はその時の経済や国の政策によって調整されているものです。

外国為替と株価

 円やドルを交換する時の値段を決める外国為替相場の動きも、株価に関わってきます。外国の通貨と日本円を交換するときの円の価値が高くなることを円高、円の価値が低くなることを円安といいます。

たとえば、今まで1ドル=100円だったのが、1ドル=80円になる(円高)と…
1台1万ドルで車を輸出していた会社の収入は、
1台 1万ドル=100万円で売れていたのに、
1台 1万ドル= 80万円となり、20万円もうけが少なくなる。また、ドルでの価格を上げれば車が売れなくなる。→業績が悪くなるので、株価は下がる
1ドル=120円になる(円安)と…
1台 1万ドル=120万円で、20万円もうけが多くなります。→業績が良くなるので、株価は上がる。

逆に、輸入している会社は円高になれば、海外から安く製品や原料を輸入できるため、もうけが出ます(株価が上がる)し、円安になれば、もうけが少なくなります(株価が下がる)。

しかし、円高、円安のいずれにしても、急激な為替の変動は、経済を混乱させることから株価を下げる原因となります。

政治と株価

 国会議員選挙の投票結果や、予算案の作成、経済政策に関する首相や財務大臣等の発言などにも株式市場は注目します。これは道路や橋を造るということや、税金を高くしたり、安くしたりといったことなど、景気に影響を与えるさまざまな経済・財政(ざいせい)政策(せいさく)が政府によって決まるからです。

国際情勢と株価

 歴史的な株価の急落には多くの場合、国際情勢が影響しています。また、最近は株式市場の国際化とともに、外国人投資家の動きが日本の株式市場に大きな影響を与えています。
*「5_TOPIXは日本全体景気を知る手段」の株価の推移を見てみましょう。

自然災害、天候と株価

 たとえば地震で大きな災害が起こると、被害にあった会社の業績は悪くなったり、また猛暑(もうしょ)が続けばアイスクリームや冷たい飲み物、エアコンなどの製造メーカーの株価は上がりやすくなったりします。

 様々な要因で株価は動きます。つまり株式市場は、経済や社会の動きを反映しているのです。テレビのニュースや新聞の記事などを通じて、「経済」や「社会」の動きに興味を持ち、それが、私たちの暮らしにどのような影響があるのか考えていくことができれば、みなさんの視野も広がっていくことでしょう。

まとめ
株価は会社の価値を表すとともに、会社の未来に対する通信簿です。様々な要因によって決まります。皆さんの生活も株価に影響を与えているのです。
会社の株価の決まり方