経済を学ぶ for STUDENTS 経済を学ぶ for STUDENTS

TOPIXで日本の景気をみる

 テレビのニュース番組で、「本日のTOPIXは○○ポイント、日経平均株価は○○円です。」と報道されているのを聞いたことがありますか?このTOPIXや日経平均株価というのは、個別の株式ではなく、株式市場全体の動きを表した数値(指数・指標といいます)です。
 今まで、個別の会社の株価が上がったり下がったりする要因について勉強しましたが、株式市場全体の動きは、各会社の株価を見るだけでは分かりません。そんな時に目安となる数値が、株価指数です。日本の株式市場を表す代表的な指数として、TOPIXや日経平均株価などがあります。これらの指数の動きを見れば、市場全体の動きをつかむことができます。
  TOPIX 日経平均株価
対象銘柄 プライム市場を中心とした上場銘柄
代表的な225銘柄
計算の考え方 時価総額(株価×発行株式数) 株価の平均

<参考:新市場区分変更に伴うTOPIXの見直し>
TOPIX の構成銘柄は、2022年10月末から2025年1月末(予定)にかけ、移行をしていきます。

TOPIXの推移

下のグラフは1980年以降のTOPIXの推移を示したものです。この期間に株価に大きな影響を及ぼした出来事をみていきましょう。

株価指数ヒストリカルグラフ -TOPIX (東証株価指数)- を見ることができます。

①バブル経済を迎えた株式市場

 1985年以降、日本政府は景気を上げるために金利を低くしていたため、銀行からお金を借り、土地や株式を買う会社や個人が急増し、土地の値段や株価が上がりました。当時「土地神話」という言葉があり、経済が良ければ土地の値段は上がると言われ、土地を買えば儲かると思われていたのです。1989年末にはTOPIXは史上最高値(2884.80ポイント)を記録しました。「株長者」「土地長者」という言葉もこの頃よく使われていました。

②バブル崩壊後

 土地や株式の値段が上がり続けるという神話が崩れ、良かった景気が泡のように無くなり(バブル崩壊)、経済は急速に縮小していきます。銀行はお金を借りる会社が激減したことで、苦しい状況に追い込まれました。会社は今後の見通しが暗いので守りの姿勢になります。また、投資家は今後の経済は伸びないと思い、株式などを買いません。そのため長期にわたり低迷状態が続きました(失われた10年)。
 低迷期には、働いている人の給料が上がらず、物を買わないので、物価(モノの値段)も上がらないというデフレ経済と呼ばれる状態が続きました。政府は景気を良くするため、ゼロ金利政策(金利をゼロにして、お金を借りやすくする)と量的金融緩和(世の中にあるお金の量を増やす)による「超金融緩和」の政策を行いましたが、大きな成果が出ないまま、株価は2003年にかけて大きく下落(770.62ポイント)することとなりました。

③リーマンショック前後の株式市場

 景気が徐々に回復し、それに伴い株価も上昇が続いていきましたが、2008年に世界的な金融危機(リーマン・ショック)が発生し、その影響は大きく世界経済も不況となりました。2011年の東日本大震災のあとの2012年にはバブル経済後最低の水準(695.51ポイント)となりました。

④コロナ禍前後

デフレ経済から抜け出せない状態が続いていたので、政府は景気回復の為、「アベノミクス」といわれる経済政策を打ちました。日本の経済は長い低迷期を抜け、少しずつ上向きになり、株価も上昇傾向が続いていましたが、2020年新型コロナ感染症拡大のため、緊急事態宣言などを行い世界中が不安な状態になり経済の低迷期が続きます。その後、新型コロナ感染症が落ち着き始め、経済が動き出し株価の上昇が続いています。
まとめ
日本経済全体の動きを示す指数の1つがTOPIXです。ニュースでも注目してみましょう。