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4-2.自主規制とは②~上場管理とは~

証券取引所に上場されている株式は、世界中の投資者が投資をする対象になっています。証券取引所では、こうした投資者を保護するため、その上場されている株式、つまり上場企業が、投資するのにふさわしいものであるかどうかを絶えず確認し、足りないところがあれば改善してもらうよう働きかけを行っています。これが上場管理です。
具体的には、上場企業が適時・適切に企業情報を開示(タイムリーディスクロージャー)しているか、上場企業としてふさわしい企業行動を行っているかなどについて確認し、証券取引所が定めるルールに違反している場合には、社内体制の改善を求め、場合によっては上場廃止とすることで、証券取引所に上場されている株式の品質を保っています。

適時開示の審査

投資者が投資を行うにあたっては、投資判断を行うための材料、つまり企業情報が適時・適切に提供されていなければなりません。証券取引所では、このことをルールで定めています。上場管理では、企業情報の開示が適正に行われるように、主に以下の観点からチェックしています。
■タイミングが遅れていないか
■情報の内容が虚偽でないか
■投資判断を行う上で重要な情報が欠けていないか
■誤解を生じさせないか など

上場廃止の審査

上場企業としてふさわしくない企業の株式が売買されてしまうと、投資者に不測の損害を与えるおそれがあり、ひいては証券市場全体の信頼性が失われることにもなりかねません。このため、証券取引所では「上場廃止基準」というルールを定めており、これに該当した上場企業は、強制的に上場が取り消されることとしています。
上場廃止基準には、株主数や株式の売買高など、定められた数値を満たしているか形式的に確認する基準と、重大な虚偽の開示(虚偽記載)など、上場企業の行為の原因などをしっかりと調べて判断する必要がある基準など、様々なものがあります。

上場廃止基準の具体的な内容

ルール違反をした上場企業に対する上場廃止以外の措置

上場管理において、適時開示の審査等を行った結果、ルール違反があったということがわかった場合、必要に応じて、特設注意市場銘柄への指定、上場契約違約金の徴求、改善報告書の徴求などの措置が行われます。

特設注意市場銘柄への指定

虚偽記載など証券取引所が定めるルールに違反した上場企業のうち、社内で会計不正や誤りを防ぐ仕組みについて改善の必要性が高いと証券取引所が認めた企業を「特設注意市場銘柄」に指定することがあります。これは、ルール違反をした上場企業をすぐに上場廃止とはせずに、投資者に注意を促しつつ、企業に社内体制などの改善を求める制度です。

証券取引所の自主規制業務とは