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TSE教育ホットライン

Vol.376「連載第十七回「歴史の中の市場と証券」」

領主米は大坂で消費される“商品としての米”という意味で大坂に送られていたことは間違いないですが、単純にその意味だけでありませんでした。
大坂に回送される領主米には各藩の財政上必要な担保、あるいは借財の返済原資という意味が色濃くありました。

典型的な江戸期の各藩の財政を考えてみましょう。各藩の収入のほとんどは領内の年貢米に依る税収に依存していました。
今まで述べてきたように、この年貢米を換金する事で、藩主、藩士の生活費、領主として藩経営に必要な支出がそこから賄われるわけです。
当然、予定収入は精緻に予測されていているわけですから、支出は予定収入の範囲内に収めるように予算が組まれます。
場合によっては、天候不順や災害等、予定外の支出に備えた予備費の計上や貯蓄も行われていましたが、各藩の収支のバランスは基本的に赤字、つまり、支出過多だったと言われています。

藩主が愚昧で贅沢三昧というような時代劇で見るような事もあったかもしれませんが、江戸期の武士は概ね質素で、
大名と言われる藩主は自由に消費生活を楽しめるような存在ではありませんでした。
土佐の山内容堂公でさえ、幕末期になって初めて妓楼での宴席に参加して、そのきらびやかさに驚いたと言われているほどに、質素だったのです。

しかし、彼らがそれほどに倹約に励んでいたとしても、幕府からの度重なる臨時の支出要請にはとても対応しきれず
(そもそも幕府は各藩の財政を苦しめる事を基本的な幕府の安全保障政策の基本にしていました)、
そういった予算外の支出について民間からの借り入れで賄う事が頻繁だったのです。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

「先生のための春の経済教室」開催します/経済教育ネットワーク

教員対象の、経済教育ネットワーク主催・東京証券取引所共催で行うセミナーのご案内です。

今回は、グローバル化と経済格差がテーマです。
今回の経済教室では、課題山積の国際経済において、公正で持続可能な社会の実現のために、どのような国際経済の授業が構想できるかを、
ご登壇の先生の講演と現場教員との討議を通して考えてゆきたいと思っています。
金融・経済教育だけでなく、新学習指導要領、他教科との連携、クロスカリキュラムなどに関心がある方々の積極的なご参加をお待ちしております。

対面参加、Zoom視聴共に事前申し込みが必要です。

■先生のための春の経済教室
・開催日時:3月23日(土) 13:00~17:00
・主催  :経済教育ネットワーク(共催:東京証券取引所(日本取引所グループ))
・開催方法:対面(慶應義塾大学三田キャンパス)+オンライン(Zoom)
・参加費 :無料
・申込締切:3月20日(水) ※先着順。定員に達し次第、締切より前に申込受付を終了することもございます。

詳しくは下記をご覧ください。

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

今月も先生方に2つの記事をご紹介します。

日本が再興するための鍵は「子ども・教育になる」と力説する、泉氏
この信念を持って多数の改善を実行された方が語る話には説得力があります。
日々教育に携わっている先生方にとって共感することが多々盛り込まれている記事だと思いますので、ぜひご覧ください。

書評家の三宅香帆さんによるシリーズ記事の1つです。
節約や貯蓄に努めている人は多いと思いますが、本書は貯めたお金の使い方について書かれているようです。
お金をどう使えば幸せになれるのか、どう使えば後悔のない人生を送ることができるのか、授業で子どもたちと一緒に考えてみるのもおもしろそうですね。

最近の株式市場の動向

早いもので今年も2月となりました。
今月上旬に関東地方は大雪となり、大きな影響が出ましたが、皆様は大丈夫だったでしょうか!?
その後は、比較的穏やかな気候が続き、春の訪れの気配も感じられるようになってきた気がします。

今回は今年1月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2024年1月の株式市場は、月の初めは新しいNISA制度が始まることへの期待感や外国為替相場で1ドル=145円台まで円安となったことから、自動車などの輸出関連株が買われるなどして値上がりし、東京市場の株価は大きく上昇しました。
中旬になると、米国株式市場での値上がりや、円安傾向が続いたことなどから、引き続き輸出関連株を中心に買われるものが多く、上昇基調が続きました。
月末にかけては、米国連邦公開市場委員会(FOMC)が金利引き下げに対して慎重であるとの判断が嫌気されて、米国ナスダック総合指数が下落したことを受け、東京市場でも、一時値下がりした場面も見られましたが、米国株式市場でNYダウが連日最高値を更新したことや、米国の経済指標でインフレ傾向が鈍化していることが好感され、底堅い相場展開となりました。

2月になっても、米国株式市場で値上がりが継続していることや、日本企業の業績が好調なことなどから、34年ぶりに日経平均の最高値を更新するなど、東京市場も上昇傾向が続いています。

先月1月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+7.81%、
上昇した主な業種は、海運、証券、輸送用機器株で、下落した業種は、ありませんでした。

次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。