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TSE教育ホットライン

Vol.378「連載第十九回「歴史の中の市場と証券」」

江戸期の各藩への貸し付けは月0.6%程度(年利6.2 %程度)だったようですが、
その返済は大坂に回送された米を売却した資金から行われていました。
米の売却は小出しに行われるのではなく、入札方式で一括に行われました。
各藩に貸し付けている貸金業者は、その返済を確実に受けるために、一旦その入札に応札して米を抑え、
応札額を支払う際に実際には返済額を棒引きすればよいのです。

各藩の蔵屋敷の米の入札に参加できる仲買人を蔵名前の仲買人といい、参加資格は限定されていましたが、
多くは米商人というよりは、こうした大手の貸金業者でした。
彼らが入札で米を落札すると、代金をその藩に支払うわけですが、その支払いが完了すると
各藩から米切手という各藩の蔵にある米を引き取る事が可能な代金支払済み証を受け取ります。

蔵名前の仲買人以外の貸金業者は応札で米を抑えることはできないため、逆に、
返済を受けるための米を別途担保に取る必要がありました。しかし、この担保も米切手の形になっていました。

こうした借財と返済、借財の為の担保の差し入れが繰り返されると、手元に換金すべき米が十分に残らない状況になり、
各藩はまだ収穫もされていない将来の米を担保に米切手を発行したり、そもそも蔵に入っているよりもはるかに多くの米に相当する米切手を発行したりするようになります。
勿論、その米切手の入札に応札する豪商達がそういった事情を知らないわけがありません。

要するに、領主米の換金の仕組みが事実上の藩債の発行・引き受けという形になっていったのです。
そうして発行された事実上の藩債に等しい米切手が投機家等によって転々と売買されたのが、大坂堂島米市場です。
大坂堂島米市場で米切手を売却・換金できるからこそ、豪商達は米切手(藩債)の発行市場を支えることが可能だったのです。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

「18歳からはじめるNISA」JPX高校生向け教材のご紹介

私たちJPX(東京証券取引所 金融リテラシーサポート部)では、
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高校家庭科、高校公民科の学習指導要領と照らし合わせ「授業のねらい」等も踏まえた体験型の教材です。

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是非一度ご覧ください。

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

テレビやYoutube等で取り上げられることが多くなった「株式投資」ですが、子どもに対してどのように伝えればいいのでしょうか。

今回は『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)の著者でマネーコンサルタントの頼藤太希さんに、
大人も知っておきたい投資のテクニックとその伝え方について、それぞれ「投資手法編」「投資編」として解説していただきました。是非ご一読ください。

最近の株式市場の動向

東京ではお花見シーズンもほぼ終わり、次の楽しみはGW、とお考えの方々も多くいらっしゃるのではないかと思います。
ただ、最近は、天候が不順な日も続き、日々の寒暖差が大きいので、体調を崩しがちのようです。体調管理にご注意ください。

では、今回は今年3月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2024年3月の株式市場は、月の初めは、日経平均株価が初めて4万円台となったことや米国ハイテク企業の決算が好調なことなどから、
東京市場でもハイテク株を中心に買われ、堅調に推移しました。

中旬も、高値警戒感などから大きく下落する場面もありましたが、日本銀行がマイナス金利政策の解除やETF買い入れの終了などを決めたものの、
「緩和的な金融政策は継続する」との見方を示したことにより、外国為替相場で円安が進行したことなどから値上がり傾向が続き、TOPIXは34年ぶりの高値を記録しました。

月末にかけては、円安が是正されるとの見方から輸出関連株が売られる一方で、3月期末を迎える企業が配当金目的で買われるなどして、一進一退の値動きとなりました。
4月になっても、東京株式市場は、米国の金利動向や、海外情勢の影響などから、売り買いが交錯する相場展開となっています。

先月3月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+3.47%、
上昇した主な業種は、不動産、鉱業、石油株で、下落した主な業種は、海運、精密機器、医薬品株でした。

また、昨年末との比較では、3月末のTOPIXで見た上昇率は+17.00%、
上昇した主な業種は、輸送用機器、証券、保険株で、下落した業種は、海運株のみでした。


次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。

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