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Vol.386【東証マネ部!】2024年12月の注目記事!!

2024年11月5日から、東京証券取引所の取引時間が延伸されたのはご存知でしょうか。
これまで15時だった取引終了時刻は、なんと70年ぶりに変更されて、15時30分に。
何故このタイミングで30分の延長が行われたのか、本プロジェクトに携わった、
東京証券取引所 株式部 株式総務グループの若松弘晃さんと吉井皓亮さんに背景を聞きました。

金融経済教育といっても様々な切り口・種類のものがありますが、外部から講師を招く学校も増えてきているようです。
今回お話しを伺ったのは、投資シミュレーションアプリを活用し、市場環境を見極める力を磨きつつ、実在する企業の分析なども行うプログラム。
少し難しそうですが、プログラムを開発したベータインテグラル株式会社の代表取締役社長・川上泰弘さんと、
実際に授業で使われた灘高校公民科教諭の池田拓也先生に、それぞれのお考えや生徒たちの反応について伺いました。

最近の株式市場の動向

12月になり、急に寒さが増してきました。
先月までは、平年よりも少し気温も高めでしたが、今月は気温が1月並みとなる日もあり、季節の移り変わりが早いと感じています。
また、大雪となっている地域もあって、注意が必要です。お気を付けください。

では、今回は今年11月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2024年11月の株式市場は、月の初めは、10月の米国のISM非製造業景況感指数が改善したことや、
米国大統領選挙での勝敗が、早い段階で確定したことなどを好感して買われ、続伸しました。

中旬では、トランプ次期大統領による新政権の、米国への輸入関税の引き上げや、先端半導体といわれる、
大量生産される高機能な半導体チップにおける中国に対する輸出規制強化の動きへの懸念がある中、
ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感の高まりもあって、下落に転じました。

月末にかけては、日本銀行による追加利上げの観測を受けて、1ドル=149円台まで円相場が
円高方向へ進行したことなどから、輸出関連株の一部が値を下げ、下げ幅を拡大して終わりました。

12月になると、東京株式市場は、米国株式市場での株価動向や、
再び円安傾向が加速していることなどを受けて、一進一退に推移しています。


先月11月1か月間について、TOPIXで見た下落率は-0.55%、
上昇した主な業種は、銀行、証券、繊維株で、下落した主な業種は、電気・ガス、医薬品、輸送用機器株でした。

また、昨年末との比較では、11月末のTOPIXで見た上昇率は+13.28%、
上昇した主な業種は、保険、銀行、非鉄金属株で、下落した業種は、鉄鋼、空運、陸運株でした。

連載第二十七回「歴史の中の市場と証券~証券市場について歴史を遡って見つめる~」

横浜で始まった洋銀取引と明治の最初期の株式取引には共通点が多いです。
明治期の東京株式取引所が自身の起原という江戸期の堂島米市場の取引と比較しても、
横浜洋銀取引の方がはるかに明治期の株式市場に近い取引形態なのです。

例えば、前場、後場の区分、節商い(※)、場帳、取引時間、売買の方式そのもの、そして決済機関無しにもかかわらず、
預け合いを中心とした当事者間での清算・差金決済を行っているというような取引所の方式の根幹に関わる点です。

米切手の売買方式が横浜の洋銀取引に取り入れられたということはもちろん否定できないですが、
横浜の洋銀取引に関わる人々が堂島市場についての知識をほとんど持っていない(米取引の経験者がほぼいない)ことが幾つかの資料に散見されるので、
洋銀取引は洋銀取引として独自に形成され、それが、初期の日本の株式取引に強い影響を与えている可能性が高いと、私は考えています。

(※)取引時間中に、銘柄ごとに「板寄せ方式」での取引を順次繰り返して行うこと。

(寄稿者 石田 慈宏)

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