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TSE教育ホットライン

Vol.320 最近の株式市場の動向について(2019年4月)

4月末になり、ゴールデンウィークも目前ですが、それ以上に来月からは新しい元号「令和」の時代を迎えます。
大きく期待も膨らみますが、現状認識もしっかり持って、将来を見据えて行きたいと思います。

4月の東京株式市場は、中国の景況感改善が意識される中、
「中国の習近平国家主席が米中交渉で大きな進展があったと発言」との報道などから値上がりしたのち、
米・EU の貿易摩擦再燃への警戒感や国内の経済統計の弱さから徐々に値を下げたものの、
米金融機関の好決算を受けた米国株高などを背景に上昇する場面もあって、売り買いが交錯した状況でした。

明るいニュースばかりではない最近ですが、
昨年度より懸念されております英国のEU離脱に係る動向は、未だに問題の解決には至っていないようです。
英国からの離脱期限の延期要請を受けて、
今月10日に特別欧州理事会において、今年10月31日までの離脱期限の延期が合意されました。
問題が先送りにされたような形で、この先、
速やかに英国議会において離脱協定案が承認されるかどうかによって状況が変わってくるようです。
10月31日に英国が離脱期限を迎えた場合、2020年12月31日が移行期間の期限となります。

今回は、今月18日に内閣府から公表された「月例経済報告」を参考に、
平成30年間の国内経済を簡単に振り返ってみましょう。

まず、GDP(名目)は、この30年間で420兆円から550兆円に増加しました。
国際比較をすると、米国、中国に次いで第3位ですが、一人当たりに換算すると10位にも入らないようです。
バブル景気後、デフレと言われた時期、リーマンショック、東日本大震災などを経て、
近年ではアベノミクスと呼ばれる経済政策の下、景気は回復基調が続いています。
30年間で約30%の増加ですが、単純に30年で割り算すると約1%という数字にもなります。

次に世界との貿易額では、67兆円から164兆円へと2.4倍ほどの増加となりました。
日本経済のグローバル化が進んでいるということかもしれませんが、
実はGDPなどに対する貿易額の比率である貿易依存度でみると、
日本は必ずしも貿易立国とは言えないのではとの意見もあります。
あるインターネットのサイトでは、日本の近年の貿易依存度は約27%で、207の国・地域のうち186位だと紹介しています。
他の主要国については、ドイツが高くて約69%(58位)、イギリス約40%(147位)、
中国約32%(174位)となっており、米国は日本よりも低くて約20%(200位)です。
貿易黒字や貿易赤字について考えるときには、単に金額で比較するのではなく、
それぞれの国で経済への影響が違うのではないかとの視点も必要ではないかと思います。

最後に、最近の特徴として、人手不足といわれる中、生産年齢人口(15~65歳)は減少していますが、
女性や高齢者の就業が増え、実際の就業者数は、ここ30年で最も多い水準となっています。
加えて失業率は約30年ぶりの低水準で、
有効求人倍率(企業が求める求人数と職を求める求職者の比率)は45年ぶりの高水準となっています。
こうした傾向は、国内経済の底堅さが持続することを示しているのではないでしょうか。

以上のように、「TSE教育ホットライン」では、これからも社会・経済の状況について、
授業でご利用していただけるように、定期的に情報発信させていただきます。
次回は、日本の財政事情を取り上げる予定です。


(金融リテラシーサポート部 鈴木)