TSE教育ホットライン
Vol.319 最近の株式市場の動向について(2019年3月)
年度末を迎え、早くも来週からは新年度となります。
3月に入り、東京株式市場を含め、国内外の経済情勢も風向きが変わってきたように感じています。
東京株式市場では、中国での経済成長率の目標引下げや、
欧州中央銀行のユーロ圏の経済成長率見通しの大幅下方修正を受けて、
世界景気の減速懸念が強まったことや、外国為替相場の円高進行などから大幅安となる場面がみられ、
1月2月とこれまで堅調だった相場の上昇基調が頭打ちとなり、一進一退の展開に変化してきています。
今月20日に内閣府から公表された「月例経済報告」でも、日本政府の国内経済に対する基調判断が、
「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」
と、これまでより一部修正されています。
中国向けの輸出が減少傾向で、国内企業の生産活動に影響が出ているようです。
中国経済については、緩やかな景気減速が認識される中、
経済成長率目標が6.5%程度から6~6.5%へと変更されたのと同時に、
財政・金融の両面で大規模な景気刺激策が実施されています。
一方、米国経済については、引き続き良好とみられているものの、
米連邦準備理事会が、将来予想される景気減速に対して警戒をはじめ、
政策を転換すると新聞等で報道されています。
あとはユーロ圏ですが、回復基調が続くものの、一部の国に景気の減速傾向がみられています。
特に、未だに定まらない英国のEU離脱に係る動向ですが、
その道筋によっては、大きな影響をもたらす可能性があります。
本来であれば、今月29日に英国のEU離脱期日を迎え、
翌30日以降移行期間が開始し、2020年12月31日で移行期間が終了となるはずでした。
しかしながら、今月中旬、英国議会下院にてEU離脱延期が可決されるまでになり、
その後のEU首脳会議では、英国の離脱時期については延期が認められたものの、
来月12日までに具体的な離脱に係る方針を示すように求められています。
現在英国では、依然として先行き不透明な状況が続いており、
近日中に行われる議会での採決の結果によって、離脱の行方が左右されることになると思われます。
このような海外情勢の中、この先の日本経済は、危うさを予感させる面もありますが、
GDPの7割を占める個人消費(約50%)と企業の設備投資(約20%)は、増加傾向にあります。
加えて、経済を支える社会インフラの更新時期が迫っていると言われ、
近い将来大きな設備投資需要が期待できると見る向きもあります。
「TSE教育ホットライン」では、今後も、社会・経済の「変化」について、
出来るだけ授業でご利用していただけるように、定期的に情報発信させていただく予定です。
(金融リテラシーサポート部 鈴木)