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TSE教育ホットライン

Vol.374「連載第十五回「歴史の中の市場と証券」」

今回は領主米の換金の仕組みを説明します。
まず、各藩が廻送する米は各藩の大坂蔵屋敷に入ります。各藩の蔵役人はその米を一括して売却する為の入札を各藩の蔵屋敷などで行います。この入札に参加するのは、その藩の入札に参加資格を持っている商人だけなのですが、巨額の入札になるため、豪商として知られる資金力のある商人達でした。落札するのは高い値段をつけた商人からですが、最高値段の入札者がすべて落札するわけではありません。

落札した商人は落札額を入金すると、各藩の蔵役人から米切手と呼ばれる、蔵から米を受け取ることができる預かり証のような証券を発行されます。米切手は1枚あたり10石で、入札日や落札金額、藩の名前等が署名、捺印された約10cm×15cmほどの短冊状の紙片でした。
落札した商人達はこれを蔵に持って行って米を引き取り、大坂市中で売却していたのかというと、実はそうではありませんでした。

その米切手を思惑で落札価格よりさらに高い値段で買い取る者がいたのです。例えば、仮に今日は、1石1万円で落札したとして、3日後には米切手は1万2千円になるという思惑があれば、1万1千円で買いますという人が出てくるのは当然です。
なので、落札された米切手は、米と引き替えられることなく、そういった思惑で売買する人達の間で転々と売買されるようになっていきました。そう言った取引が、一つの特定の場所で集中して制度的売買されるようになったのが
17世紀後半に大坂の堂島新地が開墾された後ぐらいの頃、その堂島に皆が集まって米切手の売買が盛んに行われました。これが、大坂堂島米市場(おおさかどうじまこめいちば)です。

領主米が流通する仕組みについては、各藩の大坂蔵屋敷で領主米が入札されて米切手が発行される仕組みと、大坂堂島米市場で米切手が売買される仕組みの二つがありました。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

学習指導要領に金融経済教育が盛り込まれて1年以上経過しましたが、戸惑っておられる先生が多いと聞きます。
すべてを先生方がご自身でしようと思うと大変ですので、外部の力を借りることも大切だと思います。
そして、いきなり金融について子どもたちに教え込むのではなく、国語や算数など一般的な教科をしっかり学んで、まず思考力を身に付けることの方が大事であると専門家は説いています。
きっと参考になる部分があると思いますので、ぜひご覧ください。

もう1つご紹介するのは、11月に新規公開した記事で人気だった記事ランキングです。
来月から始まる「新しいNISA」に関する記事が3つもランクインしており、世間の関心が非常に高まっていることが伺えます。
年末年始にご自身の資産形成についてゆっくり考えてみてもいいですね。ぜひご参考になさってください。

最近の株式市場の動向

12月になりましたが、まだまだこの時期にしては過ごしやすい日が続いているように思います。ただ一方で、体調を崩して風邪などひいている方も少なくないようです。引き続き、体調管理にお気を付けください。

今回は先月11月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2023年11月の株式市場は、月の初めは、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が2会合連続で政策金利を据え置いたことから、米国での金融引き締めが長期化するとの観測で警戒感が和らぎ、東京市場でも買われるものが増え、堅調な相場展開となりました。
中旬になると、中国の経済指標が市場予想を上回るなどして、中国の景気に対する回復期待が高まり、東京市場も、引き続き買い安心感がみられ、続伸傾向となりました。
月末にかけては、米国の連邦準備制度理事会(FRB)の理事が利上げの終了や利下げ開始を示唆したことを受け、米国の景気後退が意識され、輸出関連などに売られるものが増え、上げ幅をやや縮小して終わりました。
12月になると、円高への警戒感や今後の景気鈍化が意識され、東京市場では若干の下落傾向となっています。

先月11月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+5.38%、
上昇した主な業種は、精密機器、電気機器、サービス株で、下落した主な業種は、パルプ・紙、鉱業、銀行株でした。

また、昨年末からの比較では、11月末のTOPIXで見た上昇率は+25.5%、
上昇した主な業種は、鉄鋼、鉱業、輸送用機器株で、下落した業種はありませんでした。

次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。