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TSE教育ホットライン

Vol.365「連載第六回「歴史の中の市場と証券」」

●市場経済と金融

金融とは簡潔に言えばお金の貸し借りの事ですが、日本には古代から出挙(すいこ)と呼ばれる制度が存在しました。
これは農業の為の金融ですが、そもそも農業は、収穫の為の長い育成期間を要する産業であり、収入のために先行して支出を続けることになります。
つまり収入でその後の支出をカバーできない場合や、最初の収穫をえるまでの間に資金が必要となる場合など、金融は農業に欠かせない仕組みでもあるのです。
荘園※を経営するには、こうした金融知識が必要で、実際にそういった荘園経営実務の多くは大寺社の末端僧侶が担っていました。
さしずめ、現代でいう官僚+銀行員+経営コンサルタント的な役割ですが、当時、学問が出来る秀才の多くが僧侶になっていました。

この「農業金融」が王朝国家時代には、農民に対する税金のようになり、寺社を中心とした経済権益を握る側が、強制的に高利で農民等に貸し付けて利息を取るような事態になっていました。
政治権力側はこれを憂慮し、利倍法(元利返済は貸付元本の2倍まで)を何度も出しますが、寺社勢力側はこれを完全に無視している状況でした。

寺社勢力は市場と金融を握り、王朝政権末期、絶大な政治権力を握っていた後白河法皇ですら、鴨川の流れと山法師(寺社勢力)は自分の思い通りにならないと嘆くほどでした。

[※]奈良時代末以降,貴族や寺社が諸国に私的に領有した土地のこと。(広辞苑より)

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

27歳、つみたてNISA歴4年の体験談「積立ってめっちゃ地味」

社会人2年目の23歳からつみたてNISAを4年してきて感じたこと、20代のうちから資産運用をする意義について考えたことが正直に書かれた記事です。
劇的に増えるわけではなく地味だけれど、やる・やらないでは将来大きな差になると思うので、早いうちから積立投資を始めて継続することが大事だと感じたと書かれています。
2024年から始まる新しいNISA制度は、利用期限がなくなり現行制度より長く運用ができます。NISAの利用を躊躇されている方は、ぜひこちらの記事を読んでみてください。

株式学習ゲームリニューアルのお知らせ

「株式学習ゲーム」ホームページのデザインを3月14日に全面リニューアルしました。
操作方法に変更はありませんが、チーム登録が一括でできるようになり、より便利になりました。
ぜひご確認、ご活用ください。

最近の株式市場の動向

3月になって急に暖かさが増し、桜の開花時期も、例年よりもかなり早いものとなりました。新緑の季節も早まりそうな気配ですね。
今回は先月2月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2023年2月の株式市場は、月の初めは、企業業績の好決算を発表した会社が好感され、幅広く買われたことなどから株価は堅調に推移しました。
その後、月中には、日銀の金融政策に対する不透明感が強まるなどして、株価はそれほど上昇せず、上値が重い相場状況となりましたが、米ナスダック市場での株価上昇や、為替の円安進行を受けて上昇し、TOPIXは終値で見て約3か月ぶりに2000ポイント台を回復しました。
そして月末にかけては、米長期金利の上昇から株価が下落基調に転じる場面もありましたが、次期日銀総裁候補の植田氏が金融緩和策継続を示唆したことなどから、再び株価は上昇し、堅調に推移しました。
しかし3月になると、金融不安を背景に米国株式市場の動きに大きく影響を受け、東京株式市場は乱高下しています。

先月2月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+0.91%、
上昇した主な業種は、海運、鉄鋼、ゴム株で、下落した主な業種は、空運、精密機器、その他製品株でした。

また、昨年末からの比較では、2月末のTOPIXで見た上昇率は+5.37%、
上昇した主な業種は、鉄鋼、機械、証券株で、下落した主な業種は、空運、陸運、医薬品株でした。

次号以降も、定期的に配信します。学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。