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TSE教育ホットライン

Vol.367「連載第八回「歴史の中の市場と証券」」

中世の市場は、交通の要衝に存在しました。
そこは人々の日常生活とは切り離された異界で、現代で例えるなら新宿の歌舞伎町と地方の住宅地くらいの違いの感覚でしょうか。
市場には宿場、酒屋(兼金貸し)、風呂屋、茶屋、為替屋、筆師等が存在し、刑罰の執行等も行われていました。

為替屋は特に重要で、各商人は重い金属製の貨幣を大量に持ち歩かず、実は、市場では、自分の買い物と売り物の債権・債務を相殺することで決済していました。
そういった債権・債務を決済するのが為替屋で、あえていうならば現代の銀行のような機能を提供していました。
債権債務は筆師によって文章化されて、それが為替屋に持ち込まれて決済に用いられていたわけです。
これによって、商人は大量の貨幣を持ち歩く必要がなく、債権債務の差額部分を支払ったり受け取ったりする程度でよかったわけです。

債務を決済できないと、市場で裁かれます。
裁きは沙汰人と呼ばれる市場関係者によって行われ、幕府などは介入できませんでした。
債務を決済できないと、最終的には自分自身を売る事になります。こういった債務奴隷は中世には多く存在したと考えられます。

債権債務は文章化されたと言いましたが、土地の権利証は売券という形で転々と売買され、借書と呼ばれる借用書も中世には存在しています。
これらは、証券の源流という事になります。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

2024年からNISA制度が変わる予定で、セミナーでも新しい制度についての質問が増えてきました。
こちらの記事は年代別の活用法を解説していますので、ぜひご参考ください。
新しいNISAの活用法を知る前に、どのような制度なのかしっかり知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

最近の株式市場の動向

ゴールデンウィークも過ぎ、早いもので初夏の気候となりました。
新入生・新入社員の方々も、そろそろ新しい環境に慣れてきた時期ではないかと思います。
今回は先月4月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2023年4月の株式市場は、月の初めは、米国にて市場の予想を下回った経済指標の発表や円ドル相場での円高の傾向もあって、売られる銘柄が多く、大幅安となりました。
その後月中ごろでは、植田日銀新総裁が、引き続き、大規模金融緩和維持する姿勢を示したことに加え、円安に転じたことなどから株式市場は上昇基調となりました。
そして月末にかけては、一進一退に推移した後、日本銀行が改めて、これまでのような大規模緩和維持を決定し、イールドカーブコントロール(YCC)と言われる長期金利の水準を誘導する政策の修正を見送ったことなどから、株価は上昇して終わりました。
5月になっても、コロナ対策が大きく緩和され、今後の先行きに対する期待感などから、上場基調が続いています。

先月4月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+2.69%、
上昇した主な業種は、その他製品、建設、電気・ガス株で、下落した主な業種は、鉄鋼、証券、金属製品株でした。

また、昨年末からの比較では、4月末のTOPIXで見た上昇率は+8.76%、
上昇した主な業種は、鉄鋼、ゴム製品、電気機器株で、下落した主な業種は、保険、水産農林、銀行株でした。

次号以降も、定期的に配信します。学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。