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Vol.303 上場会社分析シリーズ(第4弾)インフラ設備の「高齢化」に向けて

朝晩は寒さを感じる季節ともなっているところですが、
秋は「芸術の秋」などと銘打ち各地でコンサートなどが開催されている光景を目にします。
一方、音楽業界では「2016年問題」に代表されるように、日本武道館や渋谷公会堂をはじめとする
定番のコンサート会場が相次いで補修工事期間に入ることで、会場確保が課題とされています。

コンサート会場に限らず、我が国の社会インフラである道路や橋梁の多くは
高度経済成長期に集中的に配備されたことから、今後急速に老朽化が進むことが懸念され、
国土交通省によると、今後20年で建設後50年以上を経過する施設の割合は、
国が管理している施設のみで、道路橋で全体の約67%、トンネルで約50%を占め、
これらを適切に維持管理・更新することが求められているそうです。

こうした課題に対して、これまでも国・自治体・企業では、様々な取組みを行ってきているところですが、
実際の補修・補強を担う代表的な事業者として、ショーボンドホールディングス株式会社(東証一部上場)を紹介します。

同社は橋梁をはじめとする社会インフラの補修・補強工事に特化した企業です。
会社の本業により得た利益である「営業利益」は、2014年度9,144百万円→2015年度9,303百万円→2016年度10,160百万円
と着実に数字を伸ばしており、その背景について、同社の決算資料である「決算短信」によると、
上記のような橋梁や高速道路などのインフラ設備の更新需要の高まりによるものとのことでした。

社会インフラは、我々が安全かつ豊かで便利な生活を営む上での前提となるものですが、
形あるものである以上、老朽化は避けて通れないところでもあります。
一方で我が国の財政状態を鑑みるとき、既にある設備をいかに長く使うかが重要であり、
引き続きこうした企業へのニーズも高まるとの見方があります。

高齢社会に入っている我が国において、社会インフラもまた「高齢化」が進むということは、
海外地域においても同様の対応が求められることも予想されます。
その意味ではこうした道路・橋梁をはじめとする社会インフラの「高齢化」で得られた知見や技術が、
将来海外でも活用される日が来るのかもしれません。


(金融リテラシーサポート部 斎藤 史貴)