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TSE教育ホットライン

Vol.338 連載企画第八回「歴史的経緯からみる株式会社制度と家計のポートフォリオ選択①」

日本人の金融リテラシーと資産形成に関する国際比較に関する論点考察
第八回は「歴史的経緯からみる株式会社制度と家計のポートフォリオ選択①」です。


前回は、日本の家計のポートフォリオ選択に影響する点として、社会制度や中古住宅市場全般での流動性の小ささを挙げました。
今回は、そもそも、株式の発生源である株式会社や株式会社制度がどれほど根付いていたのか、英米を例に考えてみます。

まず、英国では、株式会社というものを深く掘り下げて議論がなされた末、株式会社制度が数百年をかけて認められてきました。
大航海時代に誕生した東インド会社以来の“有限責任”という株式会社制度の根幹にかかわる概念について、
アダム・スミス(有限責任に否定的)とJSミル(有限責任に肯定的)、という人類史に輝く歴史的英知の主たちが激しい論戦を行いました。

また、米国は、そもそも新大陸として植民地開発された時から、株式会社(当時はその原型である特許状会社)によって成長してきました。
米国を作ったのは株式会社制度なのです。ですから、米国の歴史を紐解くと、米国を創った英雄たちの名前は、起業家達の名前になります。
シアーズ、カーネギー、フォード、ヴァンダービルト、JPモルガン、ロックフェラー・・・現代では、ゲイツ、ジョブス、ベゾス等でしょうか。
米国は戦国大名ではなく、まさに起業家こそが国を創ったヒーローであり、一方で、憎むべき悪でもあったのです。

例えば、スタンダードオイルやUSスチール、ペンシルベニア鉄道といった巨大な株式会社は、自分の都合で社会を動かし、
まるで絶対王政の国王が振舞うかのように米国人には見えました。
そういった巨大企業への反発や反独占の戦いもまた、米国の歴史に非常に大きな影響を与えています。

そしてこれらの企業は、冷蔵庫、車、エレベーター等の製品や水道等のサービスを通じて、人類史上最大の変化と繁栄を米国にもたらしました。

このように、深く株式会社制度が根づいていた英米と比較して、日本での株式会社、株式会社制度の始まりはどのようなものだったか、次回説明します。


(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

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記事紹介「歴史的な視点で経済や市場を学ぶ」

Webサイト「東証マネ部!」の記事を紹介いたします。

証券やデリバティブ商品を売買できる市場(しじょう)。その仕組みができた背景や、経済にどのような役割を果たしているのか等について解説いたします。
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2020/11/28(土)公開
【第7回】江戸時代の経済(商業・流通)の基本的な仕組み(前編)
【第7回】江戸時代の経済(商業・流通)の基本的な仕組み(後編)