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TSE教育ホットライン

Vol.340 連載企画第十回「コーポレート・ガバナンスの観点からみる家計の投資への意思決定①」

日本人の金融リテラシーと資産形成に関する国際比較に関する論点考察
第十回は「コーポレート・ガバナンスの観点からみる家計の投資への意思決定①」です。


前回までは、日本と英米の歴史を通じた株式会社制度の社会への浸透度の違い、それと株式取引制度の発展の違いが、家計の投資への意思決定に影響を与えているという話をしました。
今回からは、古くて新しい、「株式会社はだれの為に活動するのか」という問題への考え方の違いが、家計の投資への意思決定に影響を与えているという話をしていきます。

渋沢栄一は日本に株式会社制度を紹介する際に、「株式会社制度」ではなく、「合本主義」という言い方をしました。
合本主義は、「公の利益の実現のために多くの人がお金を出し合って事業をする」という理念であり、日本ではごく初期から、合本組織(株式会社)は公(当時は国家というニュアンスが強い)の利益の為に活動すべきという考え方がありました。
私的な利益は公的利益追求の結果得られるものという考え方です。

一方英米では、私的な利益の追求が結果として社会の利益を最大化する、という市場を中心とした考え方の下で株式会社が発達しました。
自然と、会社は株主の利益を最大化する為のものと考えられていたのです。
もちろん、株主つまり資本家は労働者に配慮しなかったわけではなく、労働者に配慮することが会社の利益を増加させることも知られるようになり、福利厚生に配慮する会社もたくさん現れますが、基本的には、株主の利益を図るための手段という考え方です。

歴史的、政治的、経済的紆余曲折があって、結果的に世界には大きく分けて二つの資本主義の形態があるといわれます。
英米を中心とした「自由な市場経済」とドイツや日本の「調整された市場経済」です。
英米では株主第一主義の会社が、日本ではステークホルダー主義の会社が多いとされ、1990年頃の実証研究で、日本企業の90%以上が従業員を最も重視するという結果が出て、世界中で日本の考え方が広く知られるようになります。



(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

プレゼンテーション大会 聴講者募集のお知らせ(2021/02/05)

大学生を対象とした、プレゼンテーション大会の聴講者を募集しています(2月5日 12:30~17:00)。
東京証券取引所が提供する大学生向け教育プログラム(講義)の受講生である大学生が、下記2つのテーマのいずれかに基づき、プレゼンテーションを行います(11組(個人を含む)の発表を予定)。
発表者は、慶應義塾大学、上智大学、横浜国立大学、東京理科大学の4大学の学生の皆様です。

【発表テーマ】
テーマ1:人生100年時代の長期投資を考える
テーマ2:上場企業の分析を通して、その将来性を考える
(選んだ業種のうちの2社について、株価を含む比較分析から考えます。医薬バイオ、教育、観光サービス業、その他を予定)

大学生向けのイベントとなっておりますが、レクチャーやプレゼンテーションの聴講や質疑応答、優秀賞の投票に教員の皆様もご参加頂くことが可能です。

ご関心をお持ちの皆様は、メール(university@jpx.co.jp) にて、①お名前 ②ご所属 ③担当科目 ④メールアドレスをお知らせください。
頂いたメールアドレス宛に、参加にあたり利用するZoomの情報をお伝えいたします。

今の大学生が、投資や証券市場、上場企業にどのような関心を持っているのかを知ることができる機会です。ぜひご活用ください。


問合せ先:
金融リテラシーサポート部 大学教育担当
university@jpx.co.jp

オンライン共催セミナーのお知らせ(2021/02/18)

【共催】初心者のためのiDeCo(イデコ)デビュー講座~これから始める個人型確定拠出年金~

東京証券取引所では、新型コロナウイルス感染の広がりのなかでも「金融経済の学びの機会を止めない!」との合言葉で、JPXアカデミー・オンライン講座など様々な動画コンテンツをご用意しています。

今般、教職員でも加入が可能となった「個人型確定拠出年金」(愛称:iDeCo(イデコ))に関する以下のセミナーを、投資信託協会との共催で「初心者のためのiDeCo(イデコ)デビュー講座~これから始める個人型確定拠出年金~」と題して開催します。

主に初心者の方に向けて、人気女性FP(ファイナンシャル・プランナー)で『行列のできる人気女性FPが教えるお金を貯める守る増やす超正解30』の著者でもある井澤江美さんの解説講演、そして、投信会社関係者が「iDeCoのことを全く知らない」という方に向けた対談などを通じて、分かりやすく解説いたします。


テーマ:「初心者のためのiDeCo(イデコ)デビュー講座~これから始める個人型確定拠出年金~」
講師 :井澤 江美 氏 株式会社 家計の総合相談センター代表取締役/株式会社
           マネーリテラシー研究所代表取締役
    佐藤 嘉伸 氏 三菱UFJ国際投信株式会社・お客さまサポート部 チーフマネジャー


問合せ先:
金融リテラシーサポート部 JPXアカデミー事務局
academy@jpx.co.jp

制作協力ラジオ番組「渋沢栄一から学ぶ経済」がスタートしました

明治から昭和初期にかけて活躍した実業家で、「近代日本経済の父」「社会起業家の先駆け」とも称される渋沢栄一から「経済」を学ぶラジオ番組「渋沢栄一から学ぶ経済」が本年1月からスタートしました。

渋沢栄一が経営を手がけた企業は500社以上。その起業家精神がどう育まれていったのか…
ラジオで聴く「エピソード劇」コーナーや、毎回の解説テーマ「しぶさわーど」など、楽しく学んでいただける内容です。
渋沢栄一が作り上げてきた経済史と、現在の経済の繋がりを紐解く30分です。

私ども東京証券取引所が、日本経済新聞社・QUICKと一緒に制作協力させていただいております。
インテリのお笑いコンビ「Gパンパンダ」が、実業家・渋沢栄一のエピソードを演じ、専門家が解説します。
渋沢栄一の偉業から「今の経済」が見えてくる番組です。
毎週、Gパンパンダの演じるエピソード劇のタイトルと今週の解説テーマ「しぶさわーど」を発表します。
是非、ご視聴ください。


出演:Gパンパンダ 星野光樹さん、一平さん
解説:名古屋市立大学大学院経済学研究科 横山 和輝 准教授

インターネットラジオ「radiko」でご視聴いただけます
※ラジオの場合:ラジオNIKKEI第1 毎週月曜日 12:00~12:30

記事紹介「歴史的な視点で経済や市場を学ぶ」

弊社Webサイト「東証マネ部!」の記事紹介です。

証券やデリバティブ商品を売買できる市場(しじょう)。
その仕組みができた背景や、経済にどのような役割を果たしているのか等について解説いたします。

2021/01/09(土)公開
【第8回】横濱開港のインパクト(前編)
【第8回】横濱開港のインパクト(後編)

2021/01/23(土)公開
【第9回】明治初期の貨幣・財政政策(前編)
【第9回】明治初期の貨幣・財政政策(後編)