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Vol.343 連載「澁澤栄一と東京株式取引所」第二回

第二回は、「日本資本主義の契機、合本主義の源流」についてです。

現在NHKで放送中の澁澤栄一が主人公である大河ドラマ「青天を衝け」では、丁寧に栄一の少年期から青年期を描こうとしているようです。
我が国の資本市場発展の歴史にスポットを当てて、栄一を日本資本主義の父として観るならば、彼の合本(がっぽん)主義という独特の思想に注目せざるを得ません。
栄一の合本主義は一般的には資本主義あるいは、株式会社制度と解釈されています。
資本主義や株式会社制度は明らかに日本オリジンのものではありませんから、例えば、栄一がフランスに渡航した際に西欧文明に感化されて、それを日本に導入したのだという事になります。
でもこれでは、栄一の日本資本主義の父という呼称はつまり、日本に西欧の資本主義制度を持ち込んだ人という意味になります。

多くの経済学の研究者が、日本の資本主義社会と英米の資本主義社会の違いについて言及しているように、
日本には日本独特の資本主義の発展があり、その契機の一つとなったのが澁澤栄一です。
つまり、単に西欧の資本主義や株式会社制度が日本に入ってきたのではなく、日本独特の形になって入ってきたわけです。
栄一の合本主義とは、実はご本人も述べられているのですが、西欧に感化されて築かれた考えではなく、彼が少年期から心の中に育ててきた思想が源流になっています。
ですから、日本の資本主義というものを考えるとき、栄一が青少年期に強く影響を受けたとされる江戸中期の儒学者荻生徂徠の徂徠学や水戸国学、
それらがうまれた時代背景のようなものが大事になってくるのです。日本の資本主義の契機となった合本主義の源流には水戸国学や徂徠学があるのです(注1)。


(注1)坂本慎一(1998)「経済学雑誌」第99巻第3・4号、大阪市立大学経済学界
    曽暁霞 (2021)「日本における近代経済倫理の形成」作品社     参照


(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

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