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Vol.347 連載第六回「澁澤栄一と東京株式取引所」

一橋藩士時代は澁澤栄一にとって幸せな時代であったようです。
しかし、そのような時期は長く続きません。
栄一の主君である一橋慶喜が第十五代の徳川幕府の征夷大将軍に就任するにしたがって、栄一も一橋藩士から幕臣となりますが、幕藩体制そのものを問題視していた栄一にとっては本意とは違ったようです。
ただ、幕府がパリで開かれる万国博覧会に使節団を派遣する事になり、その使節の一人に栄一が推されます。
栄一は、これによって、1867年にパリに派遣されることになりました。
誰にとっても初めての外国体験は鮮烈で、時に人生を変えるような体験となりますが、栄一にとってもこの時の体験が以降の栄一の活動に大きな影響を与えたと考えられています。

当時の欧州は産業革命直後で、日本と比較すると発達した科学に基づいた産業が極度に拡大しつつあり、重商主義的な欧州国家がアジアへの市場拡大を求めて膨張している時期でした。
特に、有限責任が認められた株式会社制度が花開いた時期であり、この株式会社制度を利用して調達された資本が
鉄道などの巨大なインフラに投資されて大きな成果を上げているその最中でもありました。

栄一がこのフランス派遣時に特に印象的な体験としてあげているのが次の3点です。
①一つ目はベルギー国王レオポルドからベルギーの産物の熱心な売込を受けたことでした。
それは、国王自らが商売に関係するという商業の地位の高さを表しており、日本における商人の地位の低さを想うと大きな驚きでした。
②二つ目は、フランスで徳川昭武の世話役を務める銀行家のフリュリ・エラールとヴィレット陸軍大佐が対等にやり取りしている姿でした。
官と民が対等であることに、日本との違いを想い、強い感銘を受けたのです。
③三つ目は鉄道社債と鉄道株を買った事でした。鉄道株は帰国の際に売って利益が出たと言われています。
この時、栄一は先述した欧州で熱を帯びていた株式会社設立ブームの一端を体験し、彼が以前から考えていた合本(がっぽん)主義に強い影響を与えることとなったのです。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

<先生のための「夏休み経済教室」>終了しました!

今年で13回目となった<先生のための「夏休み経済教室」>を今年も開催しました。
今年は初のオンラインでの開催を試み、2日間でのべ約400名の先生方にご参加いただきました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

金融や経済専門の先生だけでなく、地理や歴史が専門の社会科の先生や、
国語や英語、数学など、他教科の先生にも授業をする上でのヒントを得られた、
とのコメントを多数頂戴しました。

本経済教室の模様は弊社WEBサイト<なるほど!東証経済教室>に追って掲載いたします。
掲載の際は本メルマガにてお知らせをいたします。

今後も、実際の教育現場において、限られた授業時間の中で
効果的に金融知識を教えられるための授業支援プログラムに取組んで参ります。
引き続き弊社の活動へのご理解、ご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。