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TSE教育ホットライン

Vol.370「連載第十一回「歴史の中の市場と証券」」

 国大名達による各領国での楽市楽座制度に代表される市場保護政策、そして、城下町の形をとった
市場(経済)運営と行政の一体化によって、それまでの、政治的権力と市場支配が分離した世界から、
政治的権力と市場支配が一体化して行きます。それは、古代からの神への信仰と取引に必要な信用が
渾然となった状態から、信仰と信用が明確に分離されていくことも意味していました。

 安土桃山時代から江戸幕府体制へと、楽市楽座的な市場政策は為政者達から特段禁止されることなく
継続されていきますが、19世紀初頭の江戸幕府による十組問屋制度に至る間、自由な市場参入、市場取引は
徐々に無くなっていきます。こういった変化には、幾つかのターニングポイントがあります。

 まず、一つ目の最大のターニングポイントは、平和になり日本全域の統一政権が誕生したことで、
戦国時代に形成された個々の市場がネットワーキングされていったという点です。このネットワーキングは
統一政権による度量衡の統一、石高制、貨幣制度、司法制度等のソフト面だけではなく、五街道と呼ばれた江戸と
各地を結ぶ陸路の整備や、河村瑞賢等による新航路の整備といったハード面の寄与が重なったということが重要です。
これによって、17世紀末にかけて様々な商品の物流が、大きな人口を擁し、水路などの通商上のインフラが整備された
大坂を起点にするようになっていきます。
 そうすると、大坂へ、或いは大坂からの大量の物資の物流を担う商人等が登場してきます。
これらの商人は、大量に商品を扱うため、業種毎に自然と集約され、楽市楽座のような小規模な業者による自由参入可能な
自由市場とは異なる市場を形成していきました。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

今月ご紹介の記事ですが、馴染みのないアルファベットとカタカナが並び抵抗を感じる人がいるかもしれません。
「ESG」とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)の頭文字を合わせた言葉で、
「ESG投資」というと、これらを意識して経営に取組んでいる企業などへ投資を行うことです。
余計に難しく感じてしまった人がいるかもしれません・・・では「SDGs」という言葉はどうでしょう?
「SDGs」とは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)です。こちらの方が浸透しているかもしれませんね。
企業がESGに配慮しながら活動を進めれば、結果としてSDGsで定められている目標が達成できるという考えがあり、セットでよく使われる言葉です。
ESG投資が進むことで、私たちの生活が豊かになると考えると、多少投資へのハードルが下がるのではないでしょうか。
ぜひ記事を読んで、ESG投資について学んでいただければと思います。

最近の株式市場の動向

今年の夏は、とても暑く、そして長く感じますね。それにまだまだ残暑厳しいですが、熱中症対策など、体調管理にお気を付けてお過ごしください。

今回は先月7月以降の東京株式市場の動向について、簡単に市況を振り返ってみます。

2023年の7月の株式市場は、月の初めは、東京市場でのこれまでの株価上昇による高値警戒感などから、大きく売られて大幅安となりました。
その後、月の中ごろでは、米国の連邦準備制度理事会(FRB)による金利の引上げ停止を予測する見方から、米国株式市場で値上がりしたことや、外国為替相場で1ドル=140円台まで円安が進行したことなどから買われ、株価は戻り歩調となりました。
月末にかけては、パウエルFRB議長が9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では金利水準を据え置く可能性があることに言及したため、東京市場でも景気の先行きに対する安心感から買われて、株価は上昇に転じ、TOPIXは、1990年7月以来となる、バブル後高値を更新して終わりました。
8月になると、米国経済の先行きや中国の景気悪化懸念などから、東京市場では株価は一進一退に推移しています。

先月7月1か月間について、TOPIXで見た上昇率は+1.48%、
上昇した主な業種は、鉱業、鉄鋼、海運株で、下落した主な業種は、医薬品、空運、食料品株でした。

また、昨年末からの比較では、7月末のTOPIXで見た上昇率は+22.7%、
上昇した主な業種は、鉄鋼、鉱業、卸売株で、下落した業種はありませんでした。

次号以降も、学校の授業等で参考にしていただけたら幸いです。