教育支援プログラム for TEACHERS / PARENTS 教育支援プログラム for TEACHERS / PARENTS

TSE教育ホットライン

Vol.362「連載第三回「歴史の中の市場と証券」」

●律令国家の崩壊(王朝国家の誕生)と市場経済の誕生

中央の指令によって物資の移動をコントロールするのが律令制度ですが、実際にそれらの物資の移動を担っていたのは、移動の自由の特権をもつ、神人(じんにん)、寄人(よりゅうど)と呼ばれる天皇家や大寺院、大神社に付属して神事等の宗教的な儀礼に携わる者達でした。
8世紀の班田収授の法は、律令国家が天の下で、あまねく国民に平等に土地を貸し与えるというものです。
生産手段の根幹である土地を中央政府がコントロールする事が指令経済のカギであることは、歴史上、ソビエト社会主義連邦や毛沢東時代の中華人民共和国等でも同様でした。

 こういった中央のコントロールを地方で実際にオペレーション出来るのはその地域の有力者であり、彼らは自力で各地の荒れ地を開墾し、中央政府のコントロール下に無い土地を事実上私有化したりします。
また、そういった土地を中央の有力者や寺社に寄進して事実上の私有状況の保護を求めるようになります。

 このような歴史の流れの中で、10世紀には班田収授の法は墾田永年私財法の成立に依って有名無実化してしまいます。
これらの私有地は荘園という言葉で呼ばれるようになります。
中央政府においても、一部の有力貴族や大寺院、大神社に荘園が集中し政治的権力も集中していきます。
これが、歴史上よく知られた藤原摂関家を中心とした王朝貴族であり、律令国家は王朝貴族による政治支配体制に移行していきました。

 この時、中央国家が一括して支配していた特殊技能者達(大工、鍛冶師等)はその支配を外れて自由に各地に移動するようになり、それが各地方有力者の下で活動する事で各地域が自給的な経済を営むようになります。
勿論、完全に自給できるわけではなく、各地域は必要なものを融通し合うネットワークを形成していきます。
そのネットワークの中心に各地の「市場」があり、それを結び付けていたのが律令時代から地方と中央の物資の移動を担っていた神人や寄人でした。
これが原始的な市場経済の発端となります。

(金融リテラシーサポート部 石田 慈宏)

【東証マネ部!】今月の注目記事!!

どのような状況になったら投資を始める?投資を始める準備資金はいくらから?

「貯蓄から投資へ」「資産所得倍増計画」という言葉を耳にする機会が増え、投資への関心が高まりつつあると感じますが、それでもなお投資に躊躇している人も多いと思います。
そこで、どのような状況になったら投資を始めようと考えているのか、いくら余裕資金ができたら投資を始めるのか、20~40代の社会人を対象に調査を行ってみました。
少額投資非課税制度(NISA)がより使いやすく変わることが公表されましたし、まだ躊躇されている方は来年こそ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
記事の下部にある「ビギナーこそ知ってほしい“投資を始めた方がいい理由”」もあわせてご覧ください。